関東学生トーナメント、全日本学生選手権、関東学生選手権。今年度行われてきた学生大会に早大の絶対的エースの姿はなかった。島袋将(スポ4=三重・四日市工)はプロの強敵もひしめく国際大会に身を投じ、将来を見据え戦いを続けてきたのだ。そしてITFインドネシアF2フューチャーズで目標であったシングルス初優勝、初のATPチャレンジャーツアー(チャレンジャー)本戦出場となった四日市チャレンジャーではシングルスベスト4に入賞。ユニバーシアードでも男子ダブルス銅メダルを獲得するなど華々しい成績を収め、庭球部に帰還した島袋。進化を遂げたエースにこれまでの戦いを振り返るとともに、早大庭球部として臨む最後の団体戦へ向けた意気込みを伺った。


※この取材は8月31日に行われたものです。

「4年間の中で一番濃かった3ヶ月間」


これまでの戦いを振り返る島袋

――今年はITF男子サーキット(フューチャーズ)をメインに活動していて、ユニバーシアードやチャレンジャーにも出場なさっていますが、ここまで振り返っていかがですか

 そうですね、早慶戦が終わってから3ヶ月ぐらい経って。本当にこの大学4年間の中ではすごく濃い3ヶ月だったと思います。ユニバーシアードがあって、ダブルスで銅メダルが取れたり、チャレンジャーでベスト4に入れたり、インドネシアのフューチャーズで優勝できたり。学生大会以外でここまで勝つことがなかったので、自分自身すごく楽しかったですし、今後につながる大会ばかりで、すごく自信にもなりました。そういう意味で濃かったですね。

――「濃かった」とおっしゃいましたが、これほどまで学生大会以外の大会に出場なさることもありませんでしたよね

 そうですね、基本は学生大会の個人戦に出ていたので。今回は学生大会の個人戦には出ずに、国際大会の方に出させていただいていたので。学生の4年間の中でも一番濃かったと言っても過言ではないと思いますし、ある意味すごく楽しかったですね。

――学生大会には出ずに国際大会に出場していこうという考えはいつ頃から考えていたことなのでしょうか

 そうですね、この考えは去年ぐらいから実際のところはあって。去年アジア大会がインカレと重なって、出なかったりということもあったんですけど。もう4年生ですし、来年からプロになるということで、プロ選手のスケジュールにも慣れていきたいなということも感じていたので、嶋﨑監督(徹夫、平元商卒)や弥起さん(石井ヘッドコーチ)にも相談しつつ。このように国際大会を回るというスケジュールになりました。

――プロになるということですが、所属等は決まっているのですか

 所属はまだ決まってないですね。なので同時にいわゆる就職活動中ですね(笑)。

――ここまで結果を残せている要因として何か感じる部分はありますか

 一番は自分のテニスに少しずつ自信を持ててきたというのがこの結果につながっていると感じていて。サーブの調子もすごく良くて、そのサーブがトップの選手に通用するというのがチャレンジャーや他の試合を通じても感じて。試合でトップ選手に対して通用したっていうのが、気持ちの部分でも「まだまだできる」と強く持てるようになって。それがいわゆる自信ってやつですね。

――メンタル面と技術面が相乗効果になっていると

 そういうことですね。

――ずっと目標とおっしゃっていたフューチャーズのシングルス優勝を果たしました。手応えであったり、率直な心境としてはいかがですか

 本当に学生のうちに1回は(フューチャーズの)タイトルを取りたいなと思っていたので、率直な気持ちとしてはめっちゃ嬉しいですね。チャレンジャーの翌週の大会で優勝できたっていうことで、2週連続で結果を残せたということは自分自身、体力面的にも精神的にもレベルアップしたのかなと感じます。

――JTAランキングも40位前後から20位(2019年9月3日現在は17位)まで上がりました

 めっちゃ上がりましたね(笑)。やっぱり大きいです、国際大会のポイントは。上がり方が尋常じゃないので、20番ぐらい上がりましたもんね。全日本選手権のシード権も付くか付かないかぐらいだと思うので、すごく大きいですね。

――ちなみに、今年の全日本選手権での目標は優勝ですか

 優勝いきたいですね。学生で優勝ってかっこよくないですか。学生は日当なので、賞金がほとんど持って行かれちゃうんですけど(笑)。決して今まで全日本選手権で勝ってきているわけではないので、チャレンジャー精神でいきたいですね。強い選手ばかりが出てくると思うんですけど、怖気付くことなく、学生で優勝できるように頑張りたいなと思います。

――ユニバーシアードにも選出されました。代表に選ばれた時の心境はいかがでしたか

 代表の選手として戦えるということは誇りに思えますし、嬉しい気持ちもありました。去年のアジア大会の時も代表として選んでいただいて、その時は銅メダルだったので、銅メダル以上の色は取りたいなという強い気持ちはありましたね。

――結果としてはダブルスで銅メダル、シングルスと混合ダブルスはベスト16でした。結果に関しては率直にどう受け止めていますか

 メダルを取れたことは本当に良かったんですけど、ダブルスは本当にチャンスがありましたし、それを取りきれなかった悔しさはあります。シングルスと混合ダブルスの方も勝てなかったという悔しさはすごく大きいですね。レッドクレー(土のコート)で初めての試合だったので、戦い方というのもすごく難しいなと改めて感じました。ただ苦ではなかったので、土のコートでやり続けたいなという気持ちも半分ありました。

――土のコートは日本ではほとんどありませんよね

 ないですね。ハードコートだったり、オムニコートばっかりなので。自分自身ジュニア時代はオムニコート、高校からハードコートでやってきて、クレーは全くやってこなかったんですけど、悪い感触はなかったですね。普段とは違う感覚で楽しかったというか、戦い方も全然変わるので、逆にクレーコートでは自分のプレーがどう生きるのかを実際試合をやりながら探していくっていうこともすごく楽しかったです。

――アジア大会でもともに代表入りをしていた伊藤雄哉選手(University of Texas at Austin)と今回ダブルスを組みましたが、組んでみた感触としては

 事前合宿からずっと一緒に練習をしていたんですけど、本当にペアリングもすごく良くて。「ドロー次第ではメダルいけるな」って二人で話していて(笑)。実際取れたのは良かったですね。

――混合ダブルスは慶大の佐藤南帆選手と組んでいらっしゃいました

 いやー、あれは本当僕のせいで負けてしまったといいますか。中国のペアだったんですけど、僕がカバーしきれなかったというか、力んでしまってミスをしてしまったり、サーブが入らなかったり。混合ダブルスに関してはすごく情けなかったです(笑)。

――佐藤選手は1年生にして慶大のエースを張る選手ですが、ともに戦ってみて感じたことはありましたか

 いや強いです。組んでみて思ったんですけど、本当にめちゃめちゃ上手いです。男子とのラリーも全然打ち負けないですし。僕が前にいて南帆ちゃんが後衛でストロークを打っていても、「南帆ちゃんなら大丈夫でしょ」っていう信頼を持てるぐらい、安定感というか、なんでもできる選手だと思います。

――ユニバーシアードを通じて、収穫はありましたか

 シングルスは第2シードの選手に負けてしまったんですけど、クレーコートだったにしろ自分のテニスは通用するなと感じました。クレーコートでも戦えるっていう自信も持てましたし、ダブルスでもアジア大会に続きメダルを持ち帰れたっていうことは嬉しいですし、収穫かなと思います。ただシングルスでももう少し勝ちたかったですし、もっといい色のメダルを取りたかったというのが正直なところではありますね。

「(リーグは)本当に全勝したい」


島袋(左)は昨年のアジア大会に続き、ユニバーシアードでも銅メダルを獲得した。写真右はダブルスを組んだ伊藤選手(写真=島袋選手提供)

――四日市チャレンジャーでベスト4に入賞しましたが、大会を振り返っていかがですか

 四日市は半地元で、本当にいろんな人たちに応援していただきました。初めてのチャレンジャー本戦だったので、行けるところまで行きたいと大会前から思っていて。正直なところ、3番のドローを引いたときは「1個勝っても第一シードの内山さん(靖崇、北日本物産/9月3日付JTAランキング男子シングルス4位)か」と思ったんですけど、でもある意味チャンスでもあるのかなと思って。1回戦は望月選手(勇希、中大)で、厳しい試合だったんですけど、地元パワーというんですかね。そのおかげですごくのびのびとできましたし、最後の準決勝の試合までのびのびできたかなと思います。ただ、初めての本戦でまさかベスト4行けるとは思っていなかったので。すごいですよね(笑)、びっくりしました。

――杉田祐一選手(三菱電機/9月3日付JTAランキング男子シングルス6位)との準決勝を振り返って

 強かったですね。リターンがすごく上手くて。サーブがいいところに行ったなって思っても返球されますし、逆に追い込まれてしまうぐらいでした。少しでも読まれてしまうとカウンターを食らうので、あれだけサーブを打つのにプレッシャーを感じたのは初めてでしたね。出だしは本当に苦しみました。最初からバンバン来られて0-3になって、「何もできない!」って(笑)。ただラリー戦に関しては追い込まれることはあまりなくて、ストロークからポイントを取れる場面も全然ありました。でもやっぱり勝負所になると積極性というか、一歩僕が引いてしまうプレーを杉田さんはしてくるので、なかなか取らせてもらえませんでしたね。すごく差を感じましたし、「これが元40位(ATPランキング自己最高36位)にいた選手か」と思わされました。

――望月選手とは多く試合をしていますが、意識する部分はありますか

 めっちゃ当たるんですよね。日本のフューチャーズは僕が少し勝って、そうしたら望月も後半勝って。なので切磋琢磨(せっさたくま)というか、お互いを刺激し合っているというのは感じますね。正直なところ望月選手が勝った時は「僕も頑張らないとな」って感じますし、やっぱり意識する部分はありますね。

――インドネシアF2では江原弘泰選手(イカイ/9月3日付JTAランキング男子ダブルス10位)と組んでダブルス優勝なさいました。江原さんと組んで、勉強になる部分はありますか

 そうですね。江原さんはプライベートでも仲良くさせてもらっていて、上の先輩なんですけど、試合中ものびのびと楽しくプレーさせてもらっているので、僕自身すごくやりやすいと感じています。江原さんは安定しているんですよね。派手なプレーはあまりないんですけど、ちゃんと自分の役割を果たしてくれるので、安心できます。一緒にダブルス組んでいて、大きいですね、そこは。僕がミスをしなければ勝てるので(笑)。

――ダブルスでも好成績を残していますが、手応えは感じていますか

 そうですね、ダブルスの成績の方がぶっちゃけいいんですよね(笑)。関口さん(周一、Team REC/9月3日付JTAランキング男子シングルス13位)だったり、江原さんだったり、ペアに恵まれている部分もあるんですけど(笑)。ボレーの感覚だったりも徐々に良くなってきているなというのは実感していて、それは早大でも、ナショナルトレーニングセンターでもボレーの練習を多く取り入れているので、その成果が出ているのかなと思います。

――ここ最近の大会で印象に残っている試合はありますか

 やっぱり四日市チャレンジャーの内山さんとの試合(◯7−6、6−7、6−3)ですかね。内山さんと試合をする前々日に、その時はドローが決まっていなかったので、会場で一緒に練習させていただいて。それで内山さんと当たるってなって、まさかだったんですけど(笑)。僕はノンプレッシャーでやるだけだったので、序盤から自分のテニスをちゃんとしようとそればかり考えていました。内山さんも初戦でしたし、僕がノンプレッシャーで臨んでくることでプレッシャーや固さがあって、「チャンスがあるかな」と試合をしながら思っていて。タイブレークでファーストセットを取れて、セカンドセットも先にワンブレークをして5−4で自分サーブだったんですよ。まあそこをいつも通り落として(笑)、タイブレークになってそのまま持って行かれ。ファイナルセットもいつもだったら持って行かれる流れだったんですけど、そこで切り替えができて。今まではなんとなくファイナルセットに入ることが結構多かったんですけど、今回は負けたくないっていう思いを感じて。簡単にポイントを落とさず、1球でも多く返して、「絶対に勝ってやる」っていう気持ちでやっていたので、それが最終的に勝ちにつながったのかなと思います。僕が良くて、内山さんが悪くてギリギリ勝てたと思っていますけど、それでも勝てたことは本当に良かったです。

――今年は中国、イタリア、インドネシアと世界中を飛び回っていて非常にハードな生活を送っていますが、そこで観光することなどはありましたか

 イタリアはしましたよ。ナポリの街を観光しました。最終日に自由時間があったので、街に出て本場のピザでも食べようってなって。ピザとパスタと、お酒を飲んだり、お昼から(笑)。幸せでしたね。楽しかったです。中国、インドネシアは夜ご飯は近くのホールに行って、ホテルに戻って寝てっていう繰り返しだったので、普通の遠征でしたね(笑)。

――非常にハードな日程で試合をこなしてきましたが、コンディションの方は問題ありせんか

 インドネシアの3週目の時に体の疲労はすごく感じて、このリーグ戦もあったので、ここは無理するところじゃないのかなと感じて、途中でリタイアしました。ただケガなく終われたのは良かったですね。3週続くとなると体もやっぱり筋疲労で厳しかったですね。

――ではリーグの方に話を移させていただきます。久々に早大の庭球部に戻ってきていかがですか

 みんなとあまり合流することがなかったので、インドネシアから戻って、少しオフを取って、久しぶりにみんなと練習した時は楽しかったです。

――リーグへ向けて、チームの雰囲気はいかがですか

 いいんじゃないんですかね。みんな雰囲気良くやっていて、その中にちょっとした緊張感もあるので。あした(リーグ前)最後の練習ですけど、ちょっとずつ本番に雰囲気を近づけることができれば、出だしからうまく流れに乗っていけるんじゃないかなと思いますね。

――早大のチームメートは夏の学生大会を戦っていましたが、結果の方は追っていましたか

 見てましたよ、めちゃめちゃ。男子はインカレはダブルスは決勝に2ペア行って、シングルスはベスト8に優之介(田中、スポ3=埼玉・秀明英光)だけですか。シングルスでもうちょっと上位に行くんじゃないかなと思っていたので少しびっくりした部分はあったんですけど、やっぱり他大も強くなっているなというのは正直なところですね。でもダブルスで2ペア決勝に行けたということはリーグにつながると思いますし、チームにとっても心強いですね。シングルスもみんなめっちゃ強いので。

――ラストイヤーで最後の団体戦ですが、迎えるにあたっての心境はいかがですか

 寂しい気持ちもありますけど、やっぱり最後は全勝で終わりたいなとすごく思いますね。まずは王座(全日本大学対抗王座決定試合)に行けるように、チーム一丸となって戦って、王座への切符を勝ち取るというのが目標ですね。

――早慶戦で敗れた羽澤慎治選手や、インカレ優勝の今村昌倫選手(慶大)、先ほどのお話にもありました望月選手と対戦する可能性もありますが、そういったライバル選手にはどう挑んでいきますか

 どこの大学も強い選手ばかりなので、そういった選手にしっかり勝っていきたいですし、羽澤選手だったり、法大だったら岡垣(光祐)選手へのリベンジ戦も込めて。(岡垣選手に)勝ったことないので。1回だけ当たってそこで負けているので(笑)。ラストイヤーにかける思いを誰よりも強く持って、本当に全勝したいですね。

――最後に、改めて最後の団体戦への意気込みをお願いします

 ラストイヤーということで、悔いが残らないように。最後まで楽しく、チーム全員で一緒に戦いたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 林大貴)


最後のリーグ戦、エースとして『全勝』を誓います!

主な成績

ITF男子サーキット
▽甲府国際オープン
シングルス2位
▽かしわ国際オープントーナメント
シングルスベスト8
▽ITF中国F4フューチャーズ
シングルス2位 ダブルス2位
▽ITFインドネシアF2フューチャーズ 
シングルス優勝 ダブルス2位(江原)
▽ITFインドネシアF3フューチャーズ 
シングルスベスト16 ダブルス優勝(江原)

ATPチャレンジャーツアー
▽四日市チャレンジャー
シングルスベスト4 ダブルスベスト8(関口)

ユニバーシアード
シングルスベスト16
男子ダブルス銅メダル(伊藤)
混合ダブルスベスト16(佐藤)

◆島袋将(しまぶくろ・しょう)

1997(平9)年7月30日生まれ。183センチ。三重・四日市工出身。スポーツ科学部4年。ATP世界ランキング男子シングルス473位、ダブルス880位(2019年9月3日付)。JTA(日本テニス協会)ランキング男子シングルス17位、ダブルス19位(2019年9月3日付)。四日市チャレンジャーでベスト4に入賞した際には、警備員が規制を掛けるほどサインを求められたという島袋選手。コートの外でも着実にトップ選手への階段を昇っているようです!