連載第1回は、今年女子部に加入した3人のルーキーたちだ。4月の日本選手権で2位入賞を果たし、存在感を見せた浅羽栞(スポ1=東京・八王子学園八王子)、ジャパンオープンで自己ベストを大幅に更新した斎藤千紘(商1=東京・早実)、練習環境が大幅に変化した中でしっかりと早稲田基準をクリアし、日本学生選手権(インカレ)の出場権を手にした松浦優美奈(人1=沖縄・開邦)。平泳ぎを得意とする期待の新鋭たちに、インカレへの意気込みなどについて伺った。

※この取材は8月21日に行われたものです。

「1年目からちゃんと活躍したい」(斎藤)


千葉県選手権で早稲田基準を突破した斎藤

――入学してからここまでを振り返ってみていかがでしょうか

浅羽 今季は日本選手権で結果を出すことを目標にやってきましたが、派遣記録には全然届かず、ユニバーシアードの選考にも選ばれることができなくて少し悔しい年になってしまったと思っています。

斎藤 最初はベストが出なくて苦しい時期が続きましたが、その苦しい時期にちゃんと自分のことを見返して、今自分には何が足りないんだろうということを把握して、コーチといろいろ相談し、大学入ってからはちゃんとベストを更新することができました。悪かったことがあったからこそ、いい結果も出たのかなと思います。

松浦 私は4月に大学に入学してから環境が変わって、まずはインカレに出場するための早稲田基準の突破を最初の目標にしてやってきましたが、それを7月の大会で切ることができて目標を達成することができたので、今はインカレに向けて頑張っています。

――早大および早実高を志望した理由を教えてください

斎藤 私が中学2年生のときに参加した東京都の合宿で伊藤愛実さん(平31社卒)がいらっしゃって、その方とお話した時に、「高校どうするの?」というお話から「早実いいよ」と勧めてくださって、学校見学とかにも行ったりしました。大学受験がないからのびのびと水泳ができるかなと思って志望しました。

浅羽 私は大学からですが、他の大学に比べて環境面でも整っていますし、トップの選手と一緒に泳げる環境があるからです。特に(学年が)かぶることはありませんでしたが、同じ種目の渡部香生子さん(平31スポ卒=現JSS)がいて憧れていた環境でもありますし、やはり今までそういう人たちと切磋琢磨(せっさたくま)してこられなかった分、大学ではいろいろな方面でやっていきたいなと思って志望しました。

松浦 私は早稲田大学を文武両道の学校として小さい頃から憧れていて、自分が通っていた高校に指定校推薦で早稲田の人間科学部の枠があったのでそれで入学しました。

――どれくらいの頻度で大学で練習されていますか

斎藤 私は基本クラブ練なので、月に1回の合同練習の時だけコーチにお願いして参加させていただいているというかたちです。

浅羽 私は週に1回、インカレ前とかは問わずに、参加させてもらうようにしています。

松浦 私も普段は千紘と一緒で、月1回の合同練に参加させてもらっていますが、8月からインカレまでの期間だけ、強化として毎日学内の練習に参加させてもらっています。

――6月には初めての早慶戦に出場されましたが、いかがでしたか

斎藤 今までは見ている側だった伝統ある早慶戦に参加できたことにはうれしく思いました。やはりチームで戦うということが高校の時にはなくて、しかも慶応との戦いということで、みんな戦っている姿はかっこいいなと思いましたし、自分もチームのために頑張ろうと強く思いました。

浅羽 2つの大学での対抗戦というものは高校のときはなかったので、そういう点では雰囲気が(高校時代の大会と)全然違いましたし、水球や飛込、アーティスティックスイミングなどいろいろな種目の観戦もできて、そうやって早稲田の水泳部としてチーム一丸となって戦えるのはいいなと思いました。

松浦 私も大学の水泳部に入って、水泳部全体で出る試合は初めてでしたが、慶応との対抗戦ということでチーム一丸となって戦えたので、自分もチームの一員であるということを改めて感じることができた大きな試合だったなと思います。

――ここからは個人の質問に移らせていただきます。斎藤選手は千葉県選手権で早稲田基準を突破されましたが、それに向けて取り組んでいたことはありましたか

斎藤 本当にその時期は調子が悪くて、練習でも泳ぎたくないと思ったこともありました。でも私は中1、高1と、1年生の時に結果が残せていなくて、それが本当に嫌で。しかもこんなにすてきな同期たちや先輩方に囲まれた環境で水泳をしているので、1年目からちゃんと活躍したいと思って、気持ちで乗り越えました。

――ジャパンオープンでは女子50メートル平泳ぎで自己ベストを記録されましたが

斎藤 ずっと短水路ではいいタイムを出していましたが、長水路ではなくて、今まで選手権(日本選手権)、オープン(ジャパンオープン)でいい結果を出したこともなかったので、そこでちゃんとB決勝に残れたっていうのはすごくうれしかったです。

――ご自身で考えるその理由はありますか

斎藤 体幹を強くしたことと、あとはウエートトレーニングで筋力をつけたことかなと思います。

――浅羽選手は高校時代に国際大会への出場経験が多くあると思いますが、その経験は大学入学後も生かされていますか

浅羽 そうですね、やっぱり大学生になってジュニアからシニアになるという変わり目で、ジュニアの国際大会には結構出させていただいていろいろなところに行ったりいろいろな経験ができましたが、シニアの世界大会で戦いたいという思いが大学に入って強くなりました。やはりシニアで戦えないとトップになったという感じが全然しないので、大学に入ってもっとシニアで戦えるようになりたいと思いました。

――日本選手権では女子100メートル平泳ぎで自己ベストを更新し、女子200メートル平泳ぎでは表彰台に上りましたが、振り返ってみていかがですか

浅羽 その(日本選手権の)前に山に登っていて、そこから高地トレーニングなどをしていたので、結構自信はありました。先にあった100メートル(平泳ぎ)で自己ベストが出て、200メートル(平泳ぎ)でも結構いいタイムが出るんじゃないかなと思って臨みましたが、自己ベストが出なくて、悔しかった部分はありました。でも初めて表彰台に乗れて、タイムだけじゃなくて結果が出たということで自信はつきましたし、やはり表彰台に乗りたいという思いが強くなりました。

――松浦選手は東京六大学春季対抗戦には出場されていませんでしたが、いつ入部をされたのですか

松浦 入学してから水泳部の担当の方と連絡を取って、監督などと面談して決まったので、六大学が終わった後の頃に正式に入部が決まりました。

――斎藤選手と同じく千葉県選手権で早稲田基準を突破されました。振り返ってみていかがですか

松浦 4月から練習環境が変わったこともあって、6月にも3回くらい大会がありましたが自分の思うようなタイムが出せていなくて。レース動画を振り返っていたら、自分は後半の伸びが得意ですが、その部分があまりできていなかったと感じました。千葉県選手権では、前半から突っ込むのではなく、前半は楽に入って、後半、特にラスト50(メートル)で上げるというのを意識して、シーズンベストで早稲田基準を突破することができました。

――クラブ練習と比べて、大学での練習は大変ですか

松浦 普段は短水路練習ですが、大学は長水路で、周りもレベルの高い人が多いので、必死で付いていっています。

――お二人はどうですか

浅羽、斎藤 きついですね(笑)。

浅羽 でも1コースに少ない人数で泳げるので、他の大学さんと比べても環境はすごくいいと思います。

「すごく価値のあった2位」(浅羽)


高校2年時の総体が印象に残っているという浅羽

――水泳を始めたきっかけは何ですか

浅羽 私は兄が水泳をやっていて、そこにお迎えなどで付いていったときに「やりたいな」と自分から言って始めたのがきっかけです。

――何歳くらいのころですか

浅羽 4、5歳くらいのときです。

松浦 私は小さい頃からピアノや英語など親がいろいろやらせてくれて、水泳は1歳くらいからベビーコースに入っていました。1番好きだったのが水泳で、選手(コース)にも上げさせてもらって、ずっと続けています。選手になったのは小学校に入る少し前です。

斎藤 私も松浦さんと同じでベビースイミングが最初で、そこからそのまま続けているという感じです。最初は教育の一環としてやっていて、途中から自分でやりたいと言い始めたと思います。

――今までの競技人生で印象に残っているレースはありますか

松浦 高3の2月に九州カップという大会がありましたが、沖縄のチームとして出るのが最後の試合で、そこで200メートル平泳ぎで3秒くらいベストを縮めて、JO(ジュニア五輪春季大会参加標準記録)を突破して優勝することができました。その大会は沖縄のコーチとか選手から応援されて臨んだ試合で自信もあったので、自分のやってきた努力が1番報われたなと思った大会でした。

斎藤 私は高3の春JOです。2月までJOの標準がまだ切れていなくて苦しかったですが、いろいろな方からアドバイスをいただいたり、陸トレ前に自分で考えた体幹トレーニングを取り入れたりして、結果がきちんと出たので、努力はやはり報われるんだなと思いましたし、つらくてもちゃんと前を向いていようと思いました。本当に久しぶりにいい結果で泳げて、親が泣いて喜んでくれてそれが本当にうれしかったです。

浅羽 私が一番印象に残っているのは、高校2年生の時のインターハイ(総体)の200メートル平泳ぎのレースです。前半の入りを速くして、後半勝負するレースを初めてやって、その時2番だったんですよ。1年生の時は優勝していましたが、2位だったのにすごく価値のあった2位だなと思って。その時もベストが出て、最後は競り負けてしまいましたが、出し切れたレースで自分の中でも印象的です。

斎藤 そのレースめっちゃ覚えてる!

浅羽 自分でも今思い浮かべると若かったなって(笑)。結構盛り上がったレースみたいで。

斎藤 すごかった。応援し過ぎて声枯れたもん(笑)。

浅羽 私が端の方(のレーン)だったんですよ。(優勝した)今井選手(月、東洋大)が真ん中の方で、2人の間は空いていましたが、ビデオで見ると面白いレースだと思います(笑)。

――レース前のルーティンはありますか

松浦 私はルーティンを決めちゃうと、できなかったときが怖いので決めてないですね。

浅羽 ルーティンといえるほどではないですが、レース前に下を向いて怖い顔になりがちなので、入場する前は絶対に上を向いて笑顔で入ろうと決めています。それはいいなと自分の中で思っています。

斎藤 ルーティンではないかもしれませんが、レース始まる前は一礼して、レースが終わってからも一礼するのは、小学校3年生くらいのときからずっと必ずやっています。「お願いします!」という気持ちで泳いでいます。

――注目ですね(笑)。皆さん世界選手権はご覧になったと思いますが、印象に残ったレースはありましたか

浅羽 海外の選手になりますが、50メートル平泳ぎでイタリアの14歳の女の子(ピラト)はすごく覚えていますね。ビデオで映った時も「若っ!」って思いました(笑)。世界水泳全部を通して思ったのは、日本はベテランの選手が多いですが、海外では若い人たちが急成長していて、自分も全然若くないんだなって思いました(笑)。日本の水泳界では私はそんなに上(の年齢)ではないですが、若くても活躍している選手はしているなと思い、刺激を受けました。

斎藤 私はセントラルの先輩の松元克央さんが、200メートル自由形でメダルを取ったことです。練習中でしたが一回(プールから)上がって、みんなでプールの観覧席にあるテレビで水着のまま応援していました。何回か合宿も一緒にさせていただいていて、間近で見ていたので、本当に感動しました。世界で2位っていうのもすごいですし、日本人で初めて(この種目でメダルを獲得して)、歴史を塗り替えたのは、すごいの一言では申し訳ないくらいかっこよかったです。

松浦 ピーティー選手(英国)の平泳ぎです。私は短距離が苦手で200しかタイムが出せないので、あのピッチはすごいなと。どうやったらこんなにできるんだろうって圧倒されながら見ていましたね。

「自分の限界を少し打ち破れた」(松浦)


充実した合宿を過ごしたという松浦

――ここからはインカレについてお聞きしたいと思います。まず、現在のコンディションはいかがでしょうか

斎藤 きょうの朝も練習があって、その結果をコーチに連絡したら、「結構速いじゃん」って言ってもらえて。私は「いいのかな?どうなんだろう」と思っていましたが、仕上がってきてはいるのかなとは思います。ですがここで油断せず、あさってからまた合宿があるので、仕上げていこうと思っています。

浅羽 そうですね、一回体調崩したりはしていましたが、大きなけがはせずに順調にきているので、もうひと山超えてちゃんとレースができたら、いい結果はついてくるかなと思っています。

松浦 私は8月から学内で練習させてもらっていて、周りのレベルが高いのでついていくだけでも必死ですが、その中でも自分の泳ぎをしっかり見つめ直しながら、練習中でも今までよりも頑張り抜くことができるようになっているなと思っているので、インカレまでこのままの調子を上げていきたいと思っています。

――インカレにはどのようなイメージを持っていますか

斎藤 水泳は個人のスポーツですが、インカレだけはチームで戦っているなと思っていて。結構テレビとかでも見てきて、盛り上がっているところなどは本当に楽しそうだなと思っていました。今まで経験したことのない試合だと思うので、楽しみにはしています。

浅羽 インカレは想像つかない部分が大きいですね。私もいろいろなビデオを見たことがありますが、ハイタッチをしたり入場の仕方が独特じゃないですか。そうやってチームで戦っていることを実感できますし、それを自分の力にして結果につなげられたらすごくいい大会になるのではないかなと思います。

松浦 大学のチームとして戦うということで、1種目しか出場はできないですが、その中で1点でも取ってチームに貢献したいです。そういったモチベーションで練習も頑張れているので、チーム戦というものがとても楽しみです。

――和歌山合宿で得たものはありますか

斎藤 自分は持久力が本当になくて、「とにかく泳いで持久力をつける」と今までは思っていましたが、先輩方と話していくうちに、ただ泳ぐだけでなくてどう考えて泳ぐかが大事だと言われて。短い距離でも泳ぎ方を変えれば、泳ぎを保てるようになるとおっしゃっていて、考え方が変わりました。効率のいい泳ぎをしようと思うようになりました。

浅羽 初めて大学で合宿をして、チームとして一緒にいるということがやっぱり学外の練習だと感じることがなかったので、交流を深めることができてこのチームで戦いたいなという思いが強くなったのが一番の収穫です。

松浦 すごく整った環境で練習することができましたし、自分の泳ぎに一回一回の練習で毎回集中して臨むことができました。レース水着を着た練習でも自分の思った以上のタイムを出すことができたので、自分の限界を少し打ち破れたかなと思います。

――インカレでの具体的な目標を教えてください

斎藤 私は、ベストを出さないとB決勝に残れないようなタイムですが、それでもやっぱり4月から合同練習や合宿に参加してきて、早稲田のために戦いたいという気持ちが強くなってきたので、1点でもチャンスがある限り取りにいこうと思います。とにかく点数が取れるようにここから頑張っていこうと思います。

浅羽 私のインカレでの目標は、200メートル(平泳ぎ)で優勝することと、100メートル(平泳ぎ)では表彰台に上ることです。結構100メートルは混戦になると思っていて。1、2位の選手は抜けていると思いますが、タッチ差の勝負になると思うので、気を緩めることなく、少しでも上の順位に上がれるように頑張りたいと思います。

――意識している選手はいらっしゃいますか

浅羽 100メートルでは新潟医療福祉の深澤舞選手と東洋大学の今井選手が持ちタイムは上ですね。その2人に付いていって、あわよくばみたいなところでうまくやっていけたらいいなと思います。

――松浦選手はいかがですか

松浦 私も斎藤選手と一緒で、自己ベストを出して、1点でも取りにいくことが目標です。現状はあと1秒くらいあげればB決勝には進めるタイムなので、今調子も上がってきているのでこのまま点数を取れるように頑張って、チームに少しでも貢献できたらというのが目標です。

――最後に意気込みをお願いします

斎藤 ベストを更新して、笑顔でいっぱいのインカレにしたいと思います。

浅羽 充実した楽しい初めてのインカレにしたいです。

松浦 挑戦してベストを更新したいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 島形桜)


終始和やかな雰囲気の取材でした!

◆浅羽栞(あさば・しおり)(※写真右)

2000(平12)年8月4日生まれのA型。169センチ。東京・八王子学園八王子高出身。スポーツ科学部1年。専門種目は平泳ぎ。「面白かった授業は」という質問に、深見英一郎先生の運動部活動論を挙げた浅羽選手。死亡率の高い水泳の授業で、どのように事故を防ぐかなどについて学ばれたそうです。

◆斎藤千紘(さいとう・ちひろ)(※写真中央)

2000(平12)年10月30日生まれのA型。165センチ。東京・早実高出身。商学部1年。専門種目は平泳ぎ、個人メドレー。商学部で文武両道に励む斎藤選手。テスト期間は大変だったそうで、早実高の先輩にテストの過去問をもらっていたそうです。

◆松浦優美奈(まつうら・ゆみな)(※写真左)

2000(平12)年6月19日生まれのA型。162センチ。沖縄・開邦高出身。人間科学部1年。専門種目は平泳ぎ。大学の授業について伺うと、「毎回の授業でミニレポートなどがたくさん増えて、少し大変」と話した松浦選手。それでも「何とかうまく水泳と両立できている」と、頼もしい言葉を残してくださりました!