連載2回目は、伊藤新盛(スポ2=岐阜・中京学院大中京)、伊東隼汰(社2=東京・早大学院)、村上雅弥(スポ2=香川・坂出)の2年生トリオ。3選手とも自由形短距離を専門としており、今年の日本学生選手権(インカレ)の男子50メートル自由形では、全員で決勝に進出することを目標に掲げている。今回はそんな3人に、今季の振り返りやプライベート、そしてインカレに向けての意気込みなどについて伺った。

※この取材は8月22日に行われたものです。

「まさかあそこまでタイムが出るとは」(伊藤)


今季成長を見せた伊藤

――今季を全体的に振り返っていかがですか

村上 今シーズンSPチームは、自分の納得のいくようなレースができている人もいれば、今インカレに向けて勢いに乗っている選手も出てきていて、基本的に全員がインカレに向けて頑張っていっているという感じですかね。僕自身は選手権(日本選手権)で一つ目標を達成することができたので、あまり他の試合でがっつり調整をかけるというわけでもなく、インカレに合わせようとしている感じですね。

伊藤 僕は今年に入ってからベストをずっと出し続けてきていて、インカレでもベストを出したいのですが、今までが調子良過ぎた分ツケが回ってきたのか、感覚がいいときと悪いときとの差が激しいです。今できることは何かを考えたら、練習で常日頃からいい感覚の泳ぎができるようにすることなので、それが現状ですが、この3人でA決勝に残るというインカレの目標は絶対に変えずに、達成できるように頑張りたいです。

伊東 調子が悪いという表現はあまり好きではありませんが、遠くから見たら調子が悪いような状態が続いていました。さっき雅弥がSPチームにはいろいろな人がいると言っていましたが、僕以外はほとんど調子がそこまで悪くなかったので、そういった意味でいろいろな人がいたのかもしれないですけどね。早慶戦までを見るとかなりタイム的にも気持ち的にも低迷していた状態だったのかなとは思っています。

――インカレに向けてという点ではいかがですか

伊東 確実に上がってきているなとは思っています。泳ぎの感覚もそうですし、タイムも上がってきています。その辺については「あのときすごく沈んでいたな」というのが分かるくらいには戻ってきているんじゃないかなと思っています。

――4月以降のレースで印象に残っているものはありますか

村上 レースというよりは練習の中の1本で、3週間前ぐらいの土曜日のメインで行った練習ですが、50メートルを2回、ブロークンという100メートルのレースペースをイメージするような練習の中で、泳ぎが自分の中で何か意識したというわけでもなく、抵抗のないように変わったという1本があって、それから楽に速く泳げるようになりました。きつい練習でも楽に速く泳げるようになったという点で、その練習の1本が4月以降で一番印象に残っています。

――調子はいいということでしょうか

村上 今は移動や合宿の疲労もありますが、7月の早慶戦のころよりも調子はいいです。

――他のお二人はいかがですか

伊藤 冬六(東京六大学冬季対抗戦)ですかね。一番身体的にも精神的にも絶対にベストを出せるという状態で、そこからチャレンジレースで(村上と)2人で日本選手権(参加標準記録)を切ったので、あの時が一番「水泳楽しい!」という感じでしたね。あとは(レース後)隼汰くんが抱きしめてくれましたし(笑)。

伊東 僕は4月の日本選手権の、100メートル(自由形)の予選が印象に残っています。自分ではいい感じに調子を上げてきていたつもりだったので、目指していたものと実際の格差と、取り組みの方向性の違いを思い切り突きつけられました。この方針ではなかったんだなというのを、タイムの差で突きつけられたようなレースだったのかなって。そういった意味でも衝撃的で記憶には残っています。

――そこから変えた部分はありますか

伊東 いろいろ変えましたが、早慶戦の後に1週間ぐらい休みをとって、その後に練習環境を1年の頃と同じように戻しまして、(クラブと学内の練習が)半分半分というかたちで今はやっています。本当にいろいろなことを変えました。

――そもそも昨年のインカレ後に練習環境を変えたのはなぜですか

伊東 サギヌマ(サギヌマSC鷺沼)の人数がすごく増えて中学生や高校生と泳いでいて、25メートル×6レーンの小さいプールに50人ぐらいが一気にいて、もう泳げないなと思って(笑)。それで「大学でやってみますね」というふうになったのが一番の理由ですね。

――大学に練習環境を移されてみていかがでしたか

伊東 タイムを結果的に見たら良くないですが、設備も指導者の方々もいいですし、そういった面では環境はすごく恵まれていたなと思っています。

――1年生の途中から寮生活になったと思いますが、いかがですか

伊東 暇ですけど面白いですよ(笑)。

――大変なことはありますか

伊東 僕がこれを言っていいのかは分かりませんが、1年生のときは仕事がいろいろあるので。僕は9月ぐらいからしかやっていないのでこんなことを言っていいのかは分かりませんが、それは大変だったのかなと思いますね。

――伊藤選手は昨年に比べて活躍されていると思いますが、小島毅コーチらのアドバイスなどはありましたか

伊藤 小島コーチからは正直何も言われていなくて。でも、練習中に自分の感覚をしっかり覚えて、調子がいいときと悪いときとの上下動がないようにするというのはいつもおっしゃっています。最初は意味が分かりませんでしたが、日に日にやっていくうちに少しつかめるようになってきて。そして安定した泳ぎだったりタイムが出せるようになってきたのかなと思います。

――日本選手権では自己ベストを更新して、あと少しで準決勝進出というところでしたが、振り返っていかがですか

伊藤 最近のレースでは朝イチのレースはなかなかなかったですし、まさかあそこまでタイムが出るとは思わなかったので。目標は22秒台でしたが、悔しさは全然なくて満足している自分がありました。

――早慶戦もいい結果だったと思いますが

伊藤 はい、感覚も良かったです。

――初出場でしたが、雰囲気はいかがでしたか

伊藤 最初はあまりつかめていなくて、思った以上に大勢の観客がいたのですごく緊張はしました。

――村上選手は以前決勝でもいいタイムを出せるようにしていきたいという話がありましたが、その対策はされていますか

村上 今のところ練習でも、速いタイムで何本も泳げるようにという練習をできるようにという意識はしているところですね。早慶戦が終わって、国体予選の香川県選手権に出場した時は、どちらかといえば午後の方がタイムは良かったんですよね。100メートル自由形と50メートル自由形で午前と午後は分かれていましたが、自分としては50の方が良かったんじゃないかなと思っています。インカレの初日は50メートル自由形の予選が終わってリレーの予選があって、決勝2種目と、4本泳がないといけないんですよね。少なくとも予選でA決勝に残って、かつ決勝でタイムを上げるというようなことができたらいいなと思っているので、そういう練習を合宿でも積んだという感じですね。

――伊東選手は日本選手権男子50メートル自由形で、呼吸法をノーブレで泳いだとおっしゃっていましたが、それは今でもされているのですか

伊東 やったりやらなかったりというのがありますが、ストレートアームという肘を伸ばさないような泳ぎのときは、基本は呼吸をしないように意識しています。

――男子50メートル自由形と男子100メートル自由形の泳ぎで変えているポイントはありますか

伊東 見ていただければ分かると思いますが、全く違うんですね。去年のインカレはストレートアームという肘を伸ばすような泳ぎの調子が上がらずB決勝になってしまい、B決勝ではギャロップという2回に1回呼吸のリズムのあるような泳ぎで、50を泳ぎました。去年もですが、今年も一応両方で調整しています。

――他のお二人はいかがですか

村上 一応僕は今まで50と100で泳ぎを分けていましたがうまく100のタイムが上がらなくて、先ほど印象に残ったと言った練習の前に、小島さんに、「50の浮き上がりをイメージして(100メートル自由形を)泳いでみたら」と言われたんですよ。50だとテンポを速く(腕を)回して、100だと落としているのですが、50のテンポのまま浮き上がってきて、途中で100の泳ぎに変えたらどうかと。そうアドバイスをいただいてやってみたら、思った以上に100の泳ぎのテンポに落としたときでもストロークの長さが長くなって、50のスピードのまま100を泳ぐことができるような泳ぎになってきているので、この前の練習で意識し始めたというところですかね。

伊藤 僕は隼汰と同じようで違います。ノーブレはできないんですよ。50は2回呼吸で、100は前半が4回に1回呼吸で、後半は2・2・1とリズムを刻む感じで100は泳いでいますね。

「(レース前の緊張は)程良いわくわくした緊張」(村上)


最近練習中に好タイムをマークしたという村上

――話は少し変わりますが、世界選手権で印象に残っているレースはありますか

伊東 100メートル(自由形)のドレッセル選手(米国)の46秒台は相当衝撃的でしたね。それが一番面白かったですね。

伊藤 僕もです。

村上 一緒ですね(笑)。

――今の種目を専門にされたのはいつ頃からですか

伊東 距離も含めてだと僕は高校2年生ですかね。中学1年生のときから50メートル(自由形)を軸にやっていて、高校2年生のときにタイムが上がったので若干100に軸が寄りましたね。

村上 僕は小4からですね。同じスイミングクラブでリレーを組むときに、背泳ぎも平泳ぎもバタフライも選手がいて、クロールの選手がいなかったんですよ。僕は背泳ぎをしていましたが、僕よりも速い人がいたので「おまえクロールしろ」と言われまして。小学生なので4×50メートルメドレーリレーで、そこから50メートル自由形を始めたら、その次の年にメドレーリレーでチームが全国優勝してしまい、僕はクロールから変えられないという。それで、今まで続いています。

伊藤 僕は中3です。中2のときまではずっと背泳ぎをしていましたが、急に背泳ぎが(タイムが)伸びなくなってしまったので、クロールにで試合に出ていたらベストがすごく出ていたので、クロールになりました。

――招集所ではどのように過ごされていますか

村上 僕は喋りますね。

伊藤 僕も喋ります。

村上 彼(伊東)は…。

――よくヘッドホンをされている印象ですが

伊東 そうですね、ヘッドホンはしていますね。音楽を聴いています。結構メンタルが弱い方で周りの環境に左右されやすいので、外の音はシャットアウトしています。

――緊張はされますか

伊藤 めっちゃします。

村上 それはもちろん。

――それでも喋れるのですか

村上 それなりに自信があったり、リラックスしている部分はあるので。ステージの前で何かをしないといけないときの緊張というよりは、程良いわくわくした緊張という感じですね。

――試合モードに切り替わるタイミングはいつですか

伊藤 僕2週間前です。今は(インカレに向けて)少しずつという感じです。頭の中では「金曜日試合だ、金曜日試合だ」という感じです。いつも日曜日にレースがあって、この前のW杯(FINAワールドカップ東京大会)は金曜日で曜日調節が合わず、うまく泳げなかったので、そこから(インカレも)金曜日だとたたき込んでいます。1週間前ぐらいからどんどん緊張します。本当にやばいときは前日に寝られないです。

伊東 試合モードは招集所とかアップのときですかね。ただ、試合に向かっているなという感覚は2週間前ぐらいから少しずつ強くなっていきます。日常生活の中でもふと、「試合前だから悪いものは食べないようにしよう」となりますね。

村上 きょうはマック(マクドナルド)じゃないだろ、とかね(笑)。

伊東 それはいつもだろ(笑)。そういう意識は2週間前から徐々に強くなっていきますね。

「メドレーリレーだけは今年僕らが(優勝を)取り返さなければならない」(伊東)


個人種目だけでなく、リレーでの活躍も期待される伊東

――男子50メートル自由形の目標は3人全員で決勝進出とのことですが、それぞれに具体的な目標はありますか

伊藤 予選で22秒7を出したいというのがあります。(自己ベストとの差は)0秒3ぐらいです。

村上 僕は今予定しているのは、予選をマックスでいき切らないけど、ベストを出してA決勝にいって、決勝で目標タイムは22秒5を出して表彰台というのを一応目標にはおいています。

伊東 いけるところまでという感じですね。

――伊東選手と村上選手は、男子100メートル自由形に関してはいかがですか

伊東 それもいけるところまでいくという感じですね。

村上 1フリはチャレンジです。予選からマックスで泳いで、決勝に残れればラッキーというぐらいです。

――リレーに関してはいかがですか

伊東 僕は400のメドレーとフリー、8継(男子4×200メートルフリーリレー)に出ますが、メドレーリレーだけは今年僕らが(優勝を)取り返さなければならないと思っています。去年は中京大と明治に負けて3連覇ができなかった種目で、今年も正直厳しいのかなと思っていましたが、早慶戦で平河(楓、スポ1=福岡・筑陽学園)が相当タイムを上げて、幌村さん(尚、スポ3=兵庫・西脇工)も調子が上がってきているので、しっかり今年は取り返さなければならない種目だなと感じています。他のリレーは必ず決勝に残らないと(個人種目に比べて)得点差が激しいので、まずはA決勝に全て進めるように予選から力を使って、そこからどこまで順位あげられるのかというふうになってくるのかなと思っています。

――村上選手はリレーに出場するのは初めてだと思いますが

村上 一応4継(男子4×100メートルフリーリレー)メンバーでいます。その日(個人種目と合わせて)4本泳がなくてはいけなくて、予選で周りを見ながら泳ぐということが僕はあまりできないので、いかにチームに迷惑をかけないように、しっかりA決勝に残れるような泳ぎができたらいいなと思っています。A決勝に残ればその日の最終種目なので、力を振り絞っていけるところまでだと思います。取りあえずA決勝に残るということが目標です。

――男子4×100メートルフリーリレーや男子4×100メートルメドレーリレーで意識している大学はありますか

伊東 4継はあまり把握してないですけど…。

村上 僕らがA決勝に残るという目標なので。

伊東 ただ、メドレーリレーでいえば今回は日本大学ですかね。

――個人として意識している選手はいますか

伊東 個人は…ほとんど全員ですかね。

村上 いないです。誰を倒すとか誰に勝つというわけでもなく、残ったメンバーの中で誰が1番速いのかというのを決めるだけだと思っているので、どこまで自分がいけるかというのは試してみたいというところですかね。でも、好タイムを期待してしまう選手というのはいると思います。自分が見ていてすごいなと思う選手はみんないると思いますが、ライバルとか倒しにいくというのではないです。

――ライバルは自分自身ということでしょうか

村上 まあかっこよくいえばそうですね(笑)。

――和歌山合宿ではどのような課題を持って臨まれましたか

伊藤 僕はその前の週の水曜日に、ハードワークでぶっ倒れてしまって…。それで泳ぎの立て直しがうまくできていなかったので、とにかく体力向上もしつつ、泳ぎを立て直すというところがすごく重要だった週ではないかなと思っています。どんどんフォームも良くなりましたし、左手の感覚も戻ってきているので、いい感じに準備が進められていると思います。

村上 僕は、泳ぎと筋肉のキレを増すという目標を立てていました。前半戦は、水曜日のいつもやっているゴールセットというメニューがあって、その後に100メートルのダイブ、飛び込んでレースを意識する練習をしていました。そこではベストタイで泳ぐことができていたり、結構泳ぎの調子が良かったです。でも、木曜日にあった筋トレで、オーバーにやり過ぎてしまい、その日から疲労がガツンと溜まっている状態での練習だったので、少し手の感覚が悪くなったりしていました。なので、前半は良くて後半は頑張って乗り切ったって感じでしたね

――伊東選手はいかがですか

伊東 サギヌマで練習するときは短水路なので、1週間ちゃんと長水路で泳げる機会はそんなに多くないですね。アクアアリーナ以上に和歌山のプールは辰巳(東京辰巳国際水泳場)の(インカレ)本番に近いような環境で泳げる場所なので、レースのイメージをつくることも念頭に置いて、それ以上に3週間前で最後の追い込みの時期なので、体力やスプリントを鍛える最後の機会だと思って臨んできました。

――合宿中のミーティングでは何を話されましたか

伊藤 声掛け?

村上 少しきつくなったときの声掛けであったりですね。「明るくいこうぜ」という感じです。結果的に体調を崩している選手もいたり、うまく調子が乗らない選手、頑張って調整に入った選手というように、個人個人いろいろな状況にありますが、みんなインカレに向かって楽しく最後までやろうぜという感じでミーティングは終わりました。

――伊東選手は昨年もリレー3種目に出場されましたが、疲労という面ではどのように乗り越えていかれますか

伊東 乗り越えるしかないので、背水の陣ではないですが、やるしかないです。去年は3日間で9本でしたが、今年は多分3日間で10本になるので、疲れるということは当たり前のようなものです。疲れたからどうというよりは疲れることは分かっているので、その中でパフォーマンスをいかに出していくかというのを考えています。

――伊藤選手はインカレの出場が初めてとなりますが、大会の印象はいかがですか

伊藤 全国の大学生が集まる一番大きい試合なので、選手権の時みたいに思い切りレースを楽しむような感じで、決勝に残れるように頑張りたいです。

――最後にインカレに向けての意気込みを改めてお願いします

村上 3人同時でいいんじゃない?

一同 3人でA決勝です。

――ありがとうございました!

(取材・編集 宇根加菜葉、井口美祐、樋本岳)


3人で一緒に決勝を泳げるか注目です!

◆伊藤新盛(いとう・しんせい)(※写真右)

1999(平11)年6月8日生まれ。182センチ、72キロ。岐阜・中京学院大中京高出身。スポーツ科学部2年。専門種目は自由形短距離。母校の野球部が、甲子園で東海大相模高、作新学院高といった強豪を撃破。準決勝進出と、快進撃を見せました。中でも面識のあるエース不後祐将選手の活躍には、「(自分も)頑張ろうと思いました」と刺激を受けたそうです!

◆伊東隼汰(いとう・はやた)(※写真中央)

1999(平11)年7月5日生まれのB型。188センチ、81キロ。東京・早大学院高出身。社会科学部2年。専門種目は自由形短距離。昨年同様、色紙には『我流』という言葉をチョイスされた伊東選手。今年は伊藤選手、村上選手と共に、1枚の色紙に書いてくださりました!

◆村上雅弥(むらかみ・まさや)(※写真左)

1999(平11)年9月4日生まれのAB型。176センチ、69キロ。香川・坂出高出身。スポーツ科学部2年。専門種目は自由形短距離。日曜日がオフの競泳部門。オフの日もあまり外出しないという村上選手は、部屋でゆっくりと過ごしていると、いつの間にか『サザエさん』が始まっているそうです。