文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

ゴベア、ミッチェル、アデトクンボと並んでの選出

バスケワールドカップ、日本代表はトルコとの初戦に敗れた。立ち上がりでつまづいて試合のほとんどで2桁のビハインドを背負い、終盤にも反撃できない完敗だった。エースの八村塁は15得点を挙げたものの、トルコの徹底マークに遭って満足にボールも受けられない状況。チームとしても個人としてもトルコの対策を打開できず、フィールドゴール成功率は30%(10本中3本成功)と低調だった。

それでも、前半残り1分を切って決めた豪快なダンクが、FIBAが選ぶ大会2日目のベストプレーに選ばれている。33-47と離され、何とか10点差に詰めて前半を終えたいという状況、八村のチェイスを振り切ってボールを受けようとした相手選手がファンブルした隙を逃さずスティールに成功すると、そのままリングに突進。自分の右側に付く相手を身体でブロックしながら、フリースローラインから一歩踏み込んだところで跳躍。ブロックをかいくぐって伸びのあるダンクをリングに叩き付けた。

他に選出されたのはフランスのルディ・ゴベア、アメリカのドノバン・ミッチェル、そしてギリシャのヤニス・アデトクンボとNBAのオールスタークラスの選手たち。今秋からNBAに臨む八村にとっては良いアピールとなった。

それでも大事な初戦を落としたことに変わりはない。八村は試合後、テレビのインタビューに応じて「僕にとって初めてのワールドカップで、世界の強さを感じられた」と試合を振り返るとともに、「僕らとしても100%ではない。オフェンス、ディフェンスもリズム乗らない中でやっていた」と、チームとして攻守が噛み合えばまた違った展開に持ち込めると主張する。

その後は待ち構える報道陣を完全スルー、一言も発することなくロッカールームへと引き上げた。

チェコ戦、アメリカ戦で勝利するには、八村の突出した個人能力をチームとしてどう生かすか、その策を見いだして遂行することが絶対条件。しかし同時に、八村自身もエースとして、相手の徹底的な対策を打ち破って結果を残すことが求められる。チームが負けたにもかかわらずベストプレーに選出されたのは八村ただ一人。ハイライトに選ばれ、なおかつチームを勝たせる。重すぎる役割かもしれないが、八村だからこそ期待されることでもある。