渋野日向子(20歳)が全英女子オープン制覇を果たしてから、はや1カ月。その興奮はいまだ収まることなく、”渋野フィーバー”は一段と高まる一方である。多くのファンが見つめるなか、プレーする渋野日向子 その現状と渋野…
渋野日向子(20歳)が全英女子オープン制覇を果たしてから、はや1カ月。その興奮はいまだ収まることなく、”渋野フィーバー”は一段と高まる一方である。
多くのファンが見つめるなか、プレーする渋野日向子
その現状と渋野の快挙を受けて、同僚であり、ライバルでもある他の女子プロたちはどんな影響を受けたのだろうか。
また、台頭著しい渋野ら「黄金世代」の活躍は、女子ツアーにどんな効果をもたらしているか。何人かの選手に話を聞いてみた――。
「黄金世代」の中でも、渋野ととくに仲がいい大里桃子(21歳)は、渋野の活躍に刺激を受けつつも、自らの立ち位置については冷静に語った。
「渋野の活躍を見ると、『自分もがんばろう!』という気持ちになりますけど、『早く追いつかなきゃ』みたいな、気持ちが逸ることはありません。”黄金世代”同士での高めあい効果とか言われていますけど、それで『自分もやらなきゃ』とか、焦ってしまうのはよくないと思うので。
もちろん(黄金世代の)みんなががんばっている姿を見ると刺激になります。みんな仲がいいから、お互いに高めあってはいると思います。でも、あくまでも、渋野は渋野であって、私は私なので、自分のペースでやっていけたらいいかなと思っています」
同じ「黄金世代」の高橋彩華(21歳)は、2016年の日本女子アマチュア選手権の覇者で、アマチュア時代は同世代でトップクラスの存在だった。しかしプロになって、当時無名だった渋野が躍進。今や、立場は逆転している。そうした現状をどう思っているのだろうか。
「『自分もがんばらなきゃな』という感じにはなりますよね。アマ時代とは立場が逆転? そうですね、私もアマチュアの時みたいな(思い切りのいい)パターが打てるようになればいいですけど……。ただ、アマとプロでは違うので。賞金とか、予選通過とか、いろいろと懸かっていて、そこが難しいところですね。
(全英女子オープンの優勝を決めた)渋野選手のような”壁ドン”パットですか? (今の)私では、無理です。不安なことが少しでもあると打てなくて……。調子がいいときは、強く打てていたほうなので、そういう状態だったら、打てるかもしれないですけど。
“黄金世代”の中で、お互いに刺激をし合うかと言えば、(みんなの)成績を見て、『あ~、うまいな』とか思ったりします。同じ世代で、(相乗効果は)たぶんあると思います。でも、私はまだ(パッティングなどに)不安要素があるから、『私もできる!』と思うところまではいってないですけど……」
学年で言えば「黄金世代」のひとつ上の選手たちは、どんな思いなのか。たとえば脇元華(21歳)は、渋野の全英女子オープン優勝を受けて、自らへの影響についてこう語った。
「やっぱり、自分もがんばろうとは思いますよね。(渋野は)同じ年代の人間だから、『自分だって、できるはず』と思うし、それがいい意味で、自分たち(のレベル)を引き上げていくことはあると思います」
最後に、シード選手として長年活躍する笠りつ子(31歳)にも話を聞いた。彼女は、女子ツアー全体における”渋野効果”を期待していた。
「(渋野の存在は)自分の刺激になると思います。といっても、ライバル的な意味合いではないですよ。やるのは、あくまでも自分ですから。自分は自分のことをやるだけです。
また、女子プロゴルフ界全体のことを考えれば、(渋野の活躍で)新しい風が入ってきて、女子ゴルフ界がまた注目が集まるのはいいこと。(渋野は)あと10年は活躍するだろうから、その間にさらに次の世代も育ってくれれば、いい流れになると思いますね」
渋野の快挙が、多くの選手たちに刺激を与えたことは間違いない。そしてそれは、女子プロゴルフ界全体に、大きな効果をもたらすことになるだろう。