文=丸山素行 写真=野口岳彦

最終メンバー発表前には「受験前の子供みたいな感じ」

バスケットボール日本代表はニュージーランド、アルゼンチン、ドイツ、チュニジアとの国際強化試合を終えて、いよいよワールドカップ本番を迎える。昨日、決戦の地となる上海へと旅立った最終エントリーメンバー12名の中には、安藤周人の姿もあった。

それでも、チュニジア戦を終えた時点では安藤自身が代表生き残りに確信を持てずに、「ずっとドキドキしています」と期待と不安が入り混じった心境だった。「眠れない夜も続いていて、受験前の子供みたいな感じです。安心できないですし、リアルに50%かと」

八村塁と篠山竜青が欠場したチュニジア戦は当落線上の選手にとって最後のアピールの場だった。安藤は8分間の出場で3得点と、スタッツとしてはインパクトに欠けた感は否めなかったが、それでも「自分が課題としていたドライブは積極的にアピールできた」と、結果より過程を重視し、気落ちする様子は見られなかった。

5試合あった強化試合で、安藤は平均10分弱のプレータイムを獲得し、コンスタントに出場機会を得ていたが、唯一ドイツ戦では出番がなかった。非公式とは言え、日本がヨーロッパ勢を下した記念すべき試合だったが、「勝ったんですけど、あの舞台に立てなかったのでちょっと悔しい思いもありました」と、手放しで喜べずにいた。

さらに安藤はベンチでチームを見守りつつ「自分は何ができたのかな。僕が立ってるビジョンが見えなかった」と、自身がチームメートと肩を並べるイメージが湧かなかったと明かした。

「ウイング陣がいかに塁をサポートしていけるか」

強気な発言こそ聞かれなかったが、結果的に安藤は12名のロスター入りを果たした。ピュアシューター不在のチームにおいて、安藤のシュート力はトップクラスにある。それでも安藤はワールドカップに向けて「得点は別に取らなくてもいい」と、ディフェンス面の重要さを語る。

「メインで出ている人に得点は引っ張ってもらえればいいと思います。得点を取りたいのは当たり前ですけど、ディフェンスで貢献できたらいいと思っているので」

190cmの安藤は日本では大型シューティングガードの部類に入る。だが世界が相手となると、大きいどころかミスマッチになることも多い。安藤も「190は小さいので、もっとフィジカル的にコンタクトしていきたい。打たれる前にできることがあると分かったので、もっと突き詰めていきたいです」と、ディフェンスに活路を見いだそうとしている。

「塁がチームを引っ張ってくれてるイメージを皆が持っていると思う」と安藤が言うように、ドイツ戦は八村塁が31得点を挙げて勝利の立役者となった。だからこそ、「ウイング陣がいかに塁をサポートしていけるかが大事」と安藤は主張する。

ワールドカップでは八村へのマークは今まで以上に厳しくなる。そのため、いかに八村の負担を軽減させるかが日本にとって重要となる。得意の3ポイントシュートでディフェンスを広げ、よりハードさが増した守備でチームを盛り立てる安藤の活躍に期待したい。