文=鈴木栄一 写真=野口岳彦 取材協力=UNDER ARMOUR

過去2シーズン、Bリーグで最も才能豊かな若手として輝きを放った馬場雄大が、今夏さらにもう一段階上のステージへとステップアップを果たそうとしている。アルバルク東京のBリーグ連覇に貢献してファイナルMVPとなると、オフにはかねてから目標としていたアメリカ挑戦を本格スタートさせ、マーベリックスのローテーションの一員としてNBAサマーリーグで爪痕を残した。海外志向の強い馬場にとっては、ワールドカップでの活躍も自分のキャリアを切り開くカギになる。渡邊雄太、八村塁に続くNBAプレーヤーを目標とする馬場に、その決意を語ってもらった。

「まず何より今の日本代表を早く世界に披露したい」

──馬場選手には、このワールドカップが初の世界大会になります。心境はいかがですか。

本当にワクワクしかないです。こういう大きな舞台では技術だけではなく、いかに強い気持ちを持った選手が集まるかが大事だと思います。今のチームには、ニック(ファジーカス)、塁や雄太など、自信を持ったプレーヤーたちがいるので楽しみです。世界大会はいろんなスカウトが来ているし、そこでの活躍次第でこの先の道も変わってくる。そういったところで思うものはあります。ただ、まず何より今の日本代表を早く世界に披露したいのが一番です。

相手は世界の強豪で格上とか、勝てたらジャイアンツキリング云々といった考えはありません。相手がどこであれ自分たちのやるべきことが100%できたら勝てる。相手がどうこうではなく、自分たちの出来次第で結果は大きく変わると思っています。

──ニック選手、八村選手、渡邊選手と一緒にプレーをすることで、何か馬場選手にプレースタイルで変化があるのか、特に意識する部分はありますか。

特に変わらないと思います。(フリオ)ラマスヘッドコーチが各選手に求めることはそれぞれ違って、それでしっかりコート上の5人が合うように考えられています。塁と雄太は走れるので、そこに加わっていくことで自分の強みも生かせる。あとは彼らが作ったノーマークを自分がいかに決められるかだと思っています。

──NBAを目指す馬場選手にとって、予選グループでアメリカと活躍することは、NBA関係者の目に留まりやすくなるという意味でツイているのでは?

あらためて言われると「持ってるな」って思いますけど(笑)、それに関して気にしたことはないです。正直、どんな相手とやっても見ている人は見ていると思っています。多くの人に見てもらえる機会はありがたいですけど、特に意識することはありませんね。

「何が自分にとってベストなのかずっと考えてきました」

──今回のアメリカ挑戦の前、まずは25歳までの3年計画とおっしゃっていました。それを考えると、サマーリーグでは順調な第一歩となった手応えがあるのではありませんか?

正直、ケガもあって最後まで思うようなプレーができなかったので、準備のところも含めて完全にアジャストできなかったという反省点はあります。ただ、自分らしさを垣間見せることはできたと思います。そういったところでは良いスタートでした。また、やはりアメリカのスタイルに慣れる時間は必要だと思っているので、短いスパンではなくて少し長い目を持って準備していきたいです。

──今回のNBAサマーリーグを含めここまでの自身の歩みについて、順調に来ていることへの安堵感などはありますか。外から見ると、大学1年生から主力としてインカレ3連覇、4年生でプロに転向してBリーグ連覇。サマーリーグでもある程度の結果と、右肩上がりの印象です。

あんまり上手くいっている、いってないとか考えたことがないです。その時その時のベストな判断をして、その中で頑張ったからこその今がある。現状がベストとは言えないですけど、これまでの成果であり、この先も選んだ道を頑張るだけと思っています。

また、これまでの道のりでいうと正直、自分の力も多少はあると思いますが、何よりも僕は幼い頃からここまで本当に周りのサポートに恵まれていて、そのおかげで今がある。これからも自分は周りに感謝ながら、常に全力でやっていきたいです。

──海外でのプレーを考えた場合、学生の時にアメリカに渡るのが主流です。その中で馬場選手は日本国内で力を磨いていく選択をして、実際に成果を残しています。それでも日本に残る、決断についてちょっとでも不安になったりしたことはありましたか。

進路のタイミングでは、何が自分にとってベストなのかずっと考え、悩んできました。だからこそ最終的に選択した道を、全力でやらないといけない、という思いに繋がっていったんです。一見するとポンポンポンと来ているかのように思われるかもしれないですが、苦しみや葛藤はもちろんありました。

──アメリカ経由ではなく、日本で高校、大学、プロリーグを経て海外のトップリーグでプレーできる選手になる。その道のパイオニアになりたいと意識するところはありますか。

そうですね。それは正直、僕にとって任務とまではいかないですけど、自分に課せられたもの、求められているものだと思います。そういった開拓者になることを僕自身も望んでいます。

雄太は田臥勇太選手以来となる2人目のNBA選手となって道を作りました。塁も史上初のドラフト指名からのNBA選手と新しい道を作りました。あと残されたのはBリーグからNBA、日本から世界という道で、それを達成するのは僕でありたい。そういった部分での流れは自然と感じていますし、やらないといけないです。

このことを意識するようになったのは最近です。雄太と塁に続いて、自分もNBAに行きたいと言っている中で、自分の立ち位置は何だって考えた時、Bリーグを経験しているのが2人とは違う部分。そこから新たな夢として考えるようになりました。

「気持ちが入ったプレーをするところが自分の武器」

──馬場選手にとって、ワールドカップはいろいろな意味で今後のキャリアに大きな影響を与える可能性を持った大舞台です。でも冒頭で「ワクワクしかない」と言いました。バスケットボールで物怖じすることはないと自分でも思いますか?

ちょっと人とは感覚が違うのかもしれないです。そもそもバスケットボールに関しては緊張という言葉が頭にない。目の前の敵をどう倒すかとか、何をやってやろうという思いしかないんです。ただ、バスケ以外では緊張しいで、メディアさんの対応もそうです。それが勝負事なると負けず嫌いの性格が出て、緊張とかない感じに繋がるのかなと。

──では、例えば大学4年生の時は、現役大学生でBリーグデビューに教育実習と2つの初めてがありました。どちらが大変でしたか。

もちろん教育実習です(笑)。そこは慣れていないですし、子供たちの前で話すことも得意ではなかった。バスケのユニフォームは勝負服ですが、スーツは着慣れていない。教育実習の方がいろいろと緊張しました。

──あらためてワールドカップを前に、馬場雄大はこういう選手です、とアピールするとしたらどこになるか。そして自分の目標を叶えるため、ここだけはブレない、と意識するところを教えてください。

相手が自分より大きくても、身体能力がすごくても気持ちでは負けない。それがリバウンドだったりルーズボールだったりの球際の競り合いでボールを取れるかどうかの違いで出てきます。他にもリングへのアタックなど全部、気持がプレーに現れる。気持ちが入ったプレーをするところが自分の武器なので、そこを見てほしいです。そして、自分がどこに行きたいのか、どこを目指しているのか。そういった信念や、高みを目指すところはブラさずにやっていきたいです。