今年も8月3日から10日まで、静岡県伊豆市にある日本競輪選手養成所を主に、ガールズサマーキャンプが行われた。2010年から始まり、今年で10回目を数えることになった。
ガールズサマーキャンプとは“自転車の楽しさを多くの人に分かってもらいたい”というコンセプトを基にした女性限定キャンプのことである。
「ガールズケイリン入りを目指す女子が参加するもの」と、捉えている方も少なくないだろうが、決してそうではない。結果的にこのキャンプを経て、プロ入りした女子は多数いるが、まだまだマイナー競技である自転車について少しでも興味を持ち、理解を促す、深めていくのが一番の目的なのだ。

参加者は第1回目こそ数十人だったが、ここ最近は100人前後に増えている。参加者の年代も中学生から上は30~40代までと、実に幅広い。今回も参加人数が多いために8月3日から6日、7日から10日と、2つのタームに分かれて実施された。さらに自転車競技経験者や大会出場経験者などで、Aグループ、Bグループなどに振り分けられる。五輪だけでなく、パラ五輪出場を目指す参加者もいた。


サマーキャンプではないが、時を同じくして福岡県の久留米競輪場で『九州地区ガールズ合宿』なるものも開かれた。現役の選手たちに、養成所の選手候補生(ちょうど夏帰省中の時期であった)らが。そして、これから養成所の試験を受ける女子たちが集った。久留米は小林優香(福岡106期)、児玉碧衣(福岡108期)、林真奈美(福岡110期)、大久保花梨(福岡112期)、内村舞織(福岡112期)など、ガールズケイリンの一大勢力になっている。元々、育成には定評があった地区だが、こういった取り組みを実施するということは今後、一層の力を入れる意思表示だとも受け取ることができる。また、このような試みとして、サマーキャンプから派生した『ガールズサテライトキャンプ』も年1回、実施されている。ガールズケイリンが始まって7年、育成を主眼としたものが、徐々にではあるが浸透してきた感じである。

期間限定の『キャンプ』ではないが、弥彦競輪場、豊橋競輪場、函館競輪場は独自の育成スタイルを確立している。弥彦のクラブスピリッツからは1期生の加瀬加奈子(新潟102期)、中川諒子(熊本102期)。豊橋のT-GUPは116期の卒業記念クイーン・鈴木樹里(愛知116期)、函館のホワイトガールズプロジェクトからも寺井えりか(北海道114期)など、よく名前を耳にする選手たちが活躍しているが、そういったチームに所属しているから必ずしも養成所に合格できるとは限らない。ただ、すぐ隣に志を同じくする人間がいれば、モチベーションは上がるだろうし、お互いがプラスに作用することは間違いないであろう。仮に養成所に合格できなかったとしても、ある一定の期間、目的を持って行動したことは後の人生においてプラスになるはずである。


話しをガールズサマーキャンプに戻すが、後半の第2タームにはナショナルチームのブノワ・ベトゥ短距離ヘッドコーチのアシスタントコーチを務めたセバスチャン・ノータン氏が特別参加した。国内外のトップアスリートや一流の指導者から直接指導を受けられるのも、このキャンプの良さだろう。中には今秋に迫った養成所の試験を受ける参加者もいたそうだ。

近年、日本のスポーツ界は卓球をはじめとして、幼少期より英才教育を受けるシステムが定着してきた。ガールズサマーキャンプの認知度が上がれば、自ずと自転車界の裾野も広がっていくだろう。現在の業界を背負っているのはガールズと言っても過言ではない。2024年のパリ五輪、2028年のロサンゼルス五輪を担う若手がガールズサマーキャンプから出てきたら、この業界ももっと盛り上がるのではないだろうか。