ソフトボールという競技において、外野への飛球は試合を大きく左右するものになる。頭を超えてしまえば大量失点にもつながりかねないし、逆に捕球することができれば大きく試合の流れを引き寄せることができる。そんな重要な3つのポジションを担う古川晴野…

 ソフトボールという競技において、外野への飛球は試合を大きく左右するものになる。頭を超えてしまえば大量失点にもつながりかねないし、逆に捕球することができれば大きく試合の流れを引き寄せることができる。そんな重要な3つのポジションを担う古川晴野(スポ4=神奈川・厚木商)、堀奈々美(スポ3=千葉経大付)、丹野ちさき(人3=岩手・一関第一)に、チームの雰囲気や外野守備に関すること、さらにはプライベートな話に至るまでいろいろなことを伺った。

※この取材は8月15日に行われたものです。

4年間で今が一番いいチーム


現状のチームについて語る古川選手

――新体制になって以降の戦いぶりについてみなさんそれぞれ振り返ってください

古川  このチームは、練習中とかでも先輩後輩関係なく意見を言い合えるし、終わってからもみんなで仲良くできて、しっかりと切り替えのできるチームです。なので、私が4年間いた中でも一番良いチームだと思っています。春季リーグの時には、特別ページシステムの仕組み上、もしかするとインカレに行けないかもしれないという瀬戸際の部分もありました。でもしっかりとそこで勝ち切ることができて、それもいいチームになった要因かなって思います。この勢いのままインカレでも勝ち進みたいなと思います。

丹野 4年生がすごくみんな頼れて、私自身ついていきたいなあと思う先輩たちばかりです。チーム的にはこの前も実業団と練習試合をしたんですけど、しっかり良い準備ができて、全体がインカレに向けて4年生中心にまとまってきたなという印象です。

 私自身ずっと内野手をやっていて、春のページシステムから外野を初めて任されて、最初はかなり緊張しました。でも、先輩外野手2人に助けられながら試合をこなしていくうちに、だんだんこのポジションにも慣れてきました。前の2人がいったようにチームの雰囲気もすごく良くて、3年間早稲田でソフトボールをやってきた中で今が一番楽しいです!

――ここまでチームとしてうまくいっている点はどこだと思われますか

古川 お互いを尊重しあっているところがうまくいっている点だと思います。チーム内にはどうしても価値観が合わないメンバーが出てきてしまうものですが、そこで、嫌だから関わらないとかではなくて、ダメな部分があったらフォローしてあげようとかっていう風にみんなが考えることができて、すごく受け入れ体制のあるチームだなと思います。

丹野 根本的に信頼できる関係があるので、例えば何か指摘があっても素直に受け入れられたり、みんなで喜ぶときはみん名で喜んだりして、一人のプレーがみんなのプレーみたいになってきている点はうまくいっているのかなと思います。

 私的には増子さんを中心としたいいチーム作りができている点がうまくいっていると思います。

――では逆にチームとしての課題はどこになりますか

古川 チーム的にはまだ少し隙みたいなものがあるのかなと思っています。リードしててチーム全体が浮ついた気持ちになっている時にひとりでも冷静に物事を見ることのできる人がいれば抑えられるし、逆にチーム全体がおちこんでいる時に一人でもムードメーカーがいればいいところでチームの雰囲気を変えられたりするんですけど、現状はそれがうまくいっているとはいいがたいです。その部分は4年生がしっかりと先頭に立ってやらないといけない部分なのかなと思います。

 今は個人としてもチームとしても結構状態が上がってきているんですけど、それも東日本でうまくいかなかったところからきているところが大きいです、雨で試合開始が遅れたりして気持ち的に試合に臨めなかった部分もあったし、自分自身も外野でかなりミスをしてしまいました。そのような悔しさがあったからこそ、練習メニューを練り直してしっかりとそれに取り組んで、うまく状態を上げていけているのかなと思います。

丹野 4年中心にいい方向にはむいているとは思うのですが、インカレに向けて勝つために全員が同じ方向を向くという部分をどう作っていくかが課題だと思います。

――では古川さんに代表してここまでの打線の出来に関して採点するとしたら100点満点中何点ですか

古川 80点くらいですかね。というのも、選手一人ひとりが自分たちの役割を理解し始めていて、これまではどうしてこの打順なんだろうとか疑問に思っていたところもあったと思うんです。けど、今の子たちは自分が、何番だからこういう役割をしなくちゃいけなくて、次につなげなくちゃいけないということを理解できていると思ったのでこの点数にしました。残りの20点は、それをしっかりと結果を残さないといけないという部分で残しておきました。

――みなさんの外野全体の守備を100点満点中何点になりますか

古川 70点くらいですかね。というのも、まだ伸びしろがあるし、内容に比べてもともと技術力も高くはなかったんですけど、成長幅は内野陣よりもあるのかなと思います(笑)。

――では、丹野さんは古川さん、古川さんは堀さん、堀さんは丹野さんのプレーに関する印象について語っていただけますか

丹野(古川について) すごく勝負強くて、この前のトヨタとの練習試合でもフェンス際の打球をダイビングキャッチしてピンチを救ったりしていて、ここぞという時にいいプレーを見せてくれる本当に頼もしい先輩だと思います。

古川(堀について) とても器用だなあと思います。彼女は今までほとんど内野しかやってきていなくて、私自身内野手もやっていたことがあるので、よくわかるんですけど、外野のフライとかって結構感覚がないと取れなくてそれが身につくのに割と時間がかかるんです。それをほんの数日ですぐに対応させて実戦で困らないレベルに仕上げてきたのはほんと尊敬です!

堀(丹野について) 外野の真ん中をどっしりと守るお母さんみたいな存在です(笑)。どんなときもテンションの波がなくて、安定してて冷静だし、守備の時は特に頼ってます!

――外野手のお三方から見た投手陣の印象はいかがですか

 とにかく守りやすいです。実業団との練習試合の時なんかも、そんなにジャストミートされて内野を越されることが多くなかったので、外野を守る経験の浅い私でも何とか守ることができています(笑)。

丹野 主に投げている3人(廣瀬、伊藤、増田)にそれぞれに特徴があってそれが生きているなあと思います。私自身守っていてみんなすごく守りやすいです。

古川 二人が言っているように守りやすいんですけど、とにかく逆球が少ないので、打球方向を予測しやすいなあというのが大きいです。あと、あの3人はみんなまさにピッチャーだなという性格をしていて、めちゃくちゃキャラが強くて自分の世界観を持ってるなあと思います。

――試合中打球の捕球に関してなどのお三方での連携に関してはお話しいただけますか

古川  結構3人で試合中に声を掛け合うということは特に意識しています。

 内野手出身ということもあって、割と深い当たりのフライに弱いので、自分は後方にポジショニングすることが多いので、前の方をちい(丹野)に任せるようにしています。

丹野 こういう感じで、お互いの範囲ではないところをカバーしあって、一球一球それができていると思っています。

(堀について)やるときはやる女


気さくに質問に答える堀選手

――だいぶ質問の趣が変わるのですが、他己紹介をしていただきたいです。

堀(古川について) ナチュラルに面白い人(笑)。自然体の存在そのものが、みんなを和ませてくれる感じがします。

古川(丹野について) 優しくて頭が良くて頼りがいがあって、最高な後輩ですね。勉強教えてもらいたいです(笑)。

丹野(堀について) やるときはやる女(笑)。ソフトボールの時はめっちゃ勝負強くて、ここぞという時に打ってくれたりして頼りがいがあるんですけど、普段はチームの末っ子でかわいがられる感じです。

――お三方でご飯に行かれることはありますか

古川 ないねー

丹野 でもこの前3,4年会をやりましたねー

 晴野さんやばいことになってたよねー(笑)

古川 まああの時はみんなはっちゃけてたからなー(笑)その前に1,2年会をやってたという話を聞いたので、私たちも負けじと3,4年会やろうってなったんです

――試合前のゲン担ぎは何かありますか

古川 私は、曲を聴くときに、悔しかったり苦しかったりした時期の曲を聴いて、そのときこういう気持ちだったからその時の気持ちを大切にしようっていう風にやっています。なので、試合前に聞く曲とかも日によってバラバラですし、そういう風にして気持ちを奮い立たせてます

 私はひたすら神頼みですね。バット振るときも、絶対明日打てますようにってお願いしながら振ったりしてます(笑)。

古川 可愛い~

丹野 私は身の回りの全部のものをきれいにして回りますね。激落ち君使うと結構汚れとれるので、それを結構使ってます。あと試合でしか着ない服とかも決めたりしてます。

――オフの日にはどうやってリフレッシュしていますか

古川 私は家にずっといると体調が悪くなったり気持ち悪くなったりしてしまうので、絶対外に出るようにしてます。

丹野 家に何があるんですか?(笑)

古川 何があるとかじゃないんですけど、引退したらだいぶやばいレベルで気持ち悪くなります(笑)。なので、外出るときは友達と遊んだり、買い物したり、映画見に行ったりして無駄な一日にならないように過ごしてます。

 私はオフの日でも朝7時とかに起きるようにしています。もうアラームとかかけなくても目が覚めちゃうんですよね(笑)。結構家が遠いんで、普段朝5時起きとかなんですよ。ちなみにこの前のオフは家族とバーベキューして過ごしてました。

丹野 私は気分で動くことが多くて、映画見に行こうかなあって決めたりしても、プラスアルファでふらっと別のところに行っちゃったりとか、あとはいきなり箱根行こうって思い立って一人で箱根の温泉に入りに行ったりとかしたこともありました(笑)。

古川 この子一人で高尾山に行っちゃったりとかもするんですよ(笑)。

――すさまじい行動力ですね(笑)

丹野 はい。結構ノリと勢いで動いちゃうタイプです(笑)

最後は二人と楽しんで試合に臨みたい


この三人の連携は強固なものであるようだ

――初戦が一昨年優勝校の環太平洋大(IPU)に決まりましたが、インカレの組み合わせを見た印象をお聞かせいただけますか

丹野 もうやるしかないなと思いました。初戦強いチームの方がモチベーションも上がるし、本当に頑張ろうと思えました。

 初戦の相手がIPU(環太平洋大)って決まった時に、2回戦、3回戦なんてどうでもいいっていうか、本当に初戦にすべて懸けるくらいの気持ちで臨まないといけないなと思いました。

古川 とにかく1試合目が決勝という気持ちでぶつかりたいと思っています。

――インカレに向けての練習で外野手としてどのようなことを重要視していますか

古川 ホームに指す送球は絶対にアウトをとれるようにというところを強く意識して練習しています。正直、打球が飛んでくる回数自体は、外野は内野と比べると全然少ないのですが、飛んでくるときに限ってめちゃくちゃ重要な場面だったりするので、いくら練習しても本番で1回失敗してしまっては意味がなくなっちゃいます。なのでとにかく質にこだわって、アウトにしなければならない場面で絶対にアウトを取るというところを重要視して練習しています。

丹野  自分達のピッチャーや相手打者によってどうしてもポジショニングが変わってくるので、相手選手ごとのポジショニングをしっかりと考えながら練習しています。

 私も同じで、ポジショニングの重要性というものを東日本で痛感したので、一人ひとりのポジショニングをしっかりと考えてやっていきたいです。

――インカレに向けて残り1か月を切りましたが、この3人で外野を守ること機会はもう最後になってしまいます

古川 もう感謝しかないです。この二人で良かったなと思います。私自身強くものを言えるほうではないので、こんな頼りない私についてきてくれて感謝してます。最後は二人と楽しんで試合に臨みたいなと思います。

丹野 この二人が両翼にいると安心できて、よしがんばろう!と思えるので、この二人と一緒に楽しんでやりたいなと思います。

 こんな新人みたい私をここまで気にかけて助けてきてくれたので、最後一緒に頑張りたいです。あと、もともと外野でスタメンだったけれど、けがをしてしまった隈元(愛子=スポ3=千葉・木更津総合)の分までしっかりと結果を残したいです!

――インカレではお三方それぞれどのような形でチームに貢献したいですか?

古川 私は試合で活躍できるバッターの助けになるようなプレーをしたいです。試合では必ずMVPというか活躍する人が出てくると思うんですけど、それには必ず助けたり目立たせる人の存在が必要になります。なので、確実に送りバントを決めたり、ファインプレーとまではいかなくてもとれるアウトは確実にアウトにするといったことを個人的には意識して頑張りたいと思います。

丹野 素直に打ちたいです! 私は基本的に6番を任されることが多いのですが、上位のバッターが出たらチャンスで回ってくることも多いので、自分で返せるランナーは返したいですし、自分の後ろの打順にも岡田(夏希=社4=神奈川・厚木商)さんや廣瀬(夏季=スポ4=北海道・とわの森三愛)さんのような頼れる4年生もいるので、流れを止めないようにしっかりとやっていきたいです。

丹野 もうここまで来たら細かいことは考えるというよりはとにかく全力でやるというか緊張は絶対すると思うんですけど、それをエネルギーに変えられるように、楽しんで取り組みたいです!

――ありがとうございました!

(取材・編集 篠田雄大、写真 大島悠希)


インカレでも強固な守りを見せてくれることでしょう!

◆古川晴野(ふるかわ・はるの)(※写真中央)
1997(平9)年9月15日生まれのA型。149センチ。神奈川・厚木商業高出身。スポーツ科学部4年。外野手。安定した守備で外野の三人のまとめ役的存在の古川選手。バッティングに関しては「自分は上位打線を輝かせれる存在に徹したい」と、いぶし銀としての姿勢を崩さない彼女ですが、リーグ戦では長打を放つなど、決して上位打線に劣らない打力も持ち合わせています。集大成となるインカレでは試合を決めるヒロインになることを期待せずにはいられません!

◆丹野ちさき(たんの・ちさき)(※写真右)
1998(平10)年6月13日生まれのB型。167センチ。岩手・一関第一高出身。人間科学部3年。外野手。主にセンターのレギュラーを張る丹野選手。英語の授業でバッティンググローブについて熱く語るなど道具へのこだわりが強く、特にミズノが一番お気に入りなのだそうです。そんな道具を身にまとい、インカレでも大活躍してくれることを期待しましょう!

◆堀奈々美(ほり・ななみ)(※写真左)
1998(平10)年12月29日生まれのA型。162センチ。千葉経大付高出身。スポーツ科学部3年。内野手or外野手。主にレフトを守る堀選手は、ファンクラブに入るほどの大の嵐ファン。試合前にはtrouble makerなどを聞いて気分を高めたりしているそうです。インカレでは、彼女が「嵐」を巻き起こし、チームを勝利に導いてくれることでしょう!