PGAツアー2018-2019年シーズンの最終戦となるツアー選手権(8月22日~25日)が、ジョージア州のイーストレイクGCで行なわれた。プレーオフシリーズ(全3戦)の最終戦でもある同大会には、フェデックスカップのポイントランキング上位3…

 PGAツアー2018-2019年シーズンの最終戦となるツアー選手権(8月22日~25日)が、ジョージア州のイーストレイクGCで行なわれた。プレーオフシリーズ(全3戦)の最終戦でもある同大会には、フェデックスカップのポイントランキング上位30名が参戦。今季ツアーを彩った世界のトッププレーヤーたちが、年間王者の座を目指してしのぎを削った。

 プレーオフ第2戦のBMW選手権で、今季の自身最高位となる3位でフィニッシュした松山英樹も6年連続で出場。今年からハンディキャップ戦(※)が導入され、前週を終えた時点でポイントランキング15位まで浮上した松山は、トップと7打差の3アンダー、11位タイでスタートした。
※フェデックスカップポイントランキングに応じたストロークのハンディキャップを設定。1位が10アンダー、2位が8アンダー、3位が7アンダー、4位が6アンダー、5位が5アンダー、6~10位が4アンダー……26~30位がイーブンパーでスタート。

 初日「66」と好発進したが、2日目には「75」と崩れた松山。落雷によって一部順延となった第3ラウンドでは再び「66」と伸ばしたが、第3ラウンドの残りをこなしたあとに行なわれたファイナルラウンドは「71」にとどまって、通算5アンダー、9位タイでシーズンを終えた。

「(最終日は)長い一日でした。最後の最後に、こんなに長くならなくてもいいですよね(苦笑)。(第3ラウンドの残りは)よかったと思います。(最終ラウンドも)そのままの流れでやりたかったですけど、なかなかうまくいかなかったですね。

 ティーショットが、右に左にと暴れてしまっては……。ラフからのショットを毎回やらされたらきつい。それに加えて、パッティングも、よかったものが徐々に悪くなって、踏ん張れなかったという感じです。

(ショットに関しては)右を嫌がって、自分が小手先で無理やり左に持っていったりして、そういう『右が嫌だ』という感情が出た瞬間に、左へのミスが多くなっていました。『小手先でやらない』と決めた時にはいいショット、ほぼほぼ完璧なショットを打てていたんですけど……。

 昨年1年間、いろいろなことをやって、球をいじって曲げすぎた(影響もある)。その精度を高めようと、ちょっと前の自分のイメージに戻そうと思ったら、今度はまた余計なことを心配してダメだったり。まあでも、いいところは格段によくなっています。(来シーズンは)勝てるように、しっかりとがんばりたい」



今季最終戦のツアー選手権で9位タイと奮闘した松山英樹

 序盤からショット、パット、小技も冴えた初日は、6つのバーディーを奪った松山。4つスコアを伸ばして、通算7アンダー、7位タイへと浮上した。

「スタート前からドライバー(の調子)が悪かったので、ちょっと不安がありましたけど、最初のうちはいいショットが打てたので『よかったな』と思っていた。チャンスも多かったですし、パットも12番ぐらいまではすごくよかった。

 それが後半になって、ショットが暴れ出して、右に行き始めて……。フェアウェーから打てないので、アイアンショットどうこうと言うレベルでもなく、ちょっと苦しい流れが続きました。パットもうまく決め切ることができなくて残念でした」

 ボギー発進となった2日目は、1バーディー、4ボギー、1ダブルボギーの「75」。5つスコアを落として通算2アンダー、順位も15位タイに後退した。

「全部、よくなかったですね、はい。練習場では(調子が)よかったし、スタートホールでは(ショットが)暴れていましたけど、4、5、6番あたりはすごくいいショットが打てていて、7番もいい感じだったんですけど……。8番で(ティーショットを左の)池に入れてから、左のミスを嫌がったというか……。

 ミスをすると、どうしても切り替えがうまくできなくて。ハザードのあるコースだと、なんて言うんですかね、勝てないというか、自分のメンタル的にまだ(ショットへの)不安が強すぎて……。(難コースを克服する)それだけの力がないんじゃないかなと思います」

 落雷でサスペンデッドになった3日目。松山は第3ラウンドの12番まで終えて、そこまでに2つスコアを伸ばして、暫定で12位タイまで浮上した。

 迎えた最終日、第3ラウンドの上がりホールで3連続バーディーを奪取。松山は通算6アンダー、6位タイまで順位を上げて最終ラウンドに向かった。

 そして、今季最後のラウンドでは3バーディー、4ボギーの「71」。2度目の年間王者となったロリー・マキロイ(北アイルランド)らと上位争いを演じることはできなかったが、トップ10フィニッシュを決めてシーズンを締めくくった。

「昨季の1年間は、スイングもパッティングも悩んでうまくいかない期間が長かったですけど、今年はいずれも徐々によくなっているなかで、安定するまでにはいかなかった。もうひとつ、(よくなる)きっかけが何なのか、わからないまま過ごした1年でした。

 でも、先週と今週で(よくなる)ちょっとしたきっかけが見つかった。それが、いいショットを打った時のピン側につく回数に表われていたりして、自分の目指している球筋に近くなってきていると思う。あとをそのショットを(継続して)打てる精神力や体力、そこを磨いていけば、来シーズンは楽しみになるんじゃないかなと思います。

(同じ未勝利でも)昨季より今季のほうがよかったなと思います。自分の癖もわかったので、(自身の新シーズン初戦は)1カ月後ですけど、それまでにどれだけ直せるか、だと思う。(シーズンの)最後に気づきがあって、ずいぶんと長い間探していたものが見つかった。それを、より高い精度でやれるか。本当に、あともう少しの精度がすごく大事だな、と。

(来シーズンは)オリンピックもありますけど、最初のうちはそのことはあまり考えず、まずは勝つことだけを考えたい。そのためにも、このオフを大事にしたいと思います」

 2シーズン連続でツアー未勝利には終わったものの、ついに上昇への「気づき」を得ることができたという松山。来季への見通しはかなり明るい。

 新シーズンでは、日本で開催される『ZOZO CHAMPIONSHIP』(10月24日~27日/千葉県)での奮起も期待し、そのあとには、日本勢初のメジャー制覇、東京五輪でのメダル獲得など、大いなる夢が見られることを楽しみにしたい。