文=鈴木栄一 写真=野口岳彦

試合には敗れるも、攻守に質の高いプレーを披露

8月25日、バスケットボール日本代表はチュニジア代表と強化試合を戦った。前日には格上のドイツを破っており、この勢いのまま連勝で終わりたかったところだが、コンディション面を考慮し八村塁、篠山竜青の先発2人が欠場。第4クォーター開始早々に14点リードを許したところから一時は追い付く粘りを見せるも、終了間際に決勝点を許し76-78で競り負けた。

この試合、渡邊雄太は2点差を追う残り6秒とプレッシャーのかかる場面でフリースローを2本決めるなど17得点4リバウンドをマーク。本人としては最後、自分が1対1でマッチアップしたマイケル・ロールに決勝シュートを決められたことに悔いが残った。

「ファウルを一つ残している場面で、それは知っていたんですけど1対1で止められる自信がありました。その判断が良かったのか悪かったのか、結果こうして負けてしまったので、ワールドカップで同じ場面があれば確実にファウルでプレーを止めます」

もっとも、あれは決めた相手選手を褒めるべきシーンでもある。40分間を通してのパフォーマンスを振り返れば、攻守両面であらためて存在の大きさを感じさせた。渡邊自身もこう語る。

「自信に繋がった試合だと思います。アルゼンチン、ドイツ、そしてチュニジニアは世界ランクこそそんなに高くないですけどセンターのサラ・メジリはNBAでも活躍しています。そういったレベルの高いチームを相手に、特にドイツには勝つことができました。アルゼンチン、チュニジア戦も前半放された中で後半に粘って追い付くという場面はありました」

足首のケガも癒えて「もっとできるという感覚」

このように一連の強化試合を振り返る渡邉は、さらに「自分たちはアジアでは勝っていましたが、世界の中では現状としてどれくらい位置にいるのか分かりませんでした。それがこの3戦でワールドカップの前に分かったのは収穫です」と、自分たちの立ち位置をある程度は把握できたと続ける。

一方で、課題についてはこう語る。「3試合を通して出だしだったり、前半に放される部分がありました。そこはワールドカップに向けて改善していかないといけない部分で、あとはリバウンドです。ゾーンディフェンスをやっている時間帯でボックスアウトができていない場面がいっぱいありました。そういうところは一人ひとりが意識を強く持たないといけないです」

渡邉は8月上旬の練習中に右足首を捻挫した影響で、プレータイムの制限がなくなったのは24日のドイツ戦からだった。翌日のチュニジア戦でも25分間出場し、いつもの彼らしいパフォーマンスを見せてくれたことは大きなプラス材料だ。

「もっとできるという感覚ですけど、コンディショニングに関しては徐々に上がっていっている。試合勘も戻って来たと思います。その点でアルゼンチン戦は20分の時間制限がありましたがが、他の2試合はリミットなしでできました」

いよいよワールドカップへ「日本一丸で臨む」

いよいよ、本番まで約1週間を切ったが、渡邉はあらためてここに至るまでの長くタフな戦いにおけるチームメートの貢献ぶりに感謝する。「予選の4連敗からここまでチームが引っ張ってきたのはBリーグでプレーしている選手たです。彼らが腐らずに、ニック(ファジーカス)、(八村)塁や僕が入った時にもやりやすい環境でプレーさせてくれるので感謝しています」

「ビッグ3という言われ方をされますけど、Bリーグの選手たちがいなかったらワールドカップ出場はなかった。日本一丸で臨めたらいいなと思います」

アメリカでの渡邉と言えば、プレースタイルの特徴として3ポイントシュートとディフェンスを持ち味とする『3&D』と見られている。だが、今回のトレーニングマッチではこの2つの要素に加え、積極的なゴール下へのアタックからオフバランスになってもシュートをねじ込むスラッシャーとしての非凡な才能も光った。世界を舞台にしても『3&D』にプラスアルファの要素を加えたプレーを遂行することで、日本代表を一つ上のレベルへと引き上げてくれるはずだ。