全日本学生選手権(インカレ)の最終日を迎えた。前日の戦いを勝ち進み、最後のインカレに臨んだ宇井大和(スポ4=和歌山・新宮)と松本直毅(スポ4=神奈川・横浜清陵総合)。松本は準々決勝で惜しくも敗退となったが、宇井が全試合テクニカルフォールで…

 全日本学生選手権(インカレ)の最終日を迎えた。前日の戦いを勝ち進み、最後のインカレに臨んだ宇井大和(スポ4=和歌山・新宮)と松本直毅(スポ4=神奈川・横浜清陵総合)。松本は準々決勝で惜しくも敗退となったが、宇井が全試合テクニカルフォールで勝利し、見事インカレ初優勝を成し遂げた。

 松本は準々決勝から始まった。相手は昨年のインカレ3位の実力者出口滋文(日体大)。予選までは点差を大きく離して勝ち進んできた松本だが、今回は苦しい試合展開となる。予選と同様に相手よりも先に前に出て攻めることでパッシブを獲得。しかし、パーテールポジションから得意のグラウンド技を出すことができず、1点止まりとなってしまい、そのまま第2ピリオドへ。良くない空気が広がる中、折り返し直後すぐに場外に押し出され同点に追いつかれる。相手の力強いタックルにしっかり対応する松本だったが、残り1分半でパッシブを献上してしまいピンチに。しかし、相手がかけてきたグラウンド技に倒されないよう必死に耐え無失点に抑える。少ない時間で1点を追う展開。松本は矢継ぎ早にタックルし相手を追い込んでいくが、一歩及ばず1−2と無念にも昨年と同様準々決勝敗退となった。「前に出てパッシブをとってグラウンドで返すという形を徹底しておこなっていこうと」というように語っていた松本は、予選まではそのかたちが発揮できたが準々決勝では思うようにできなかったと試合後悔しさをにじませた。


強敵相手に勝ちパターンを出せなかった松本

 「自分の思い通りのレスリングができた」と自身も話していたように前日までの予選でも全てテクニカルフォールで勝利しコンディションの良さを見せていた宇井。この日も快調に駒を進めた。この日最初の試合であった3回戦目を第1ピリオドで決着させると、準々決勝では投げ技からバックポイントとローリングを重ね勝利。準決勝も4点技を2度決めわずか1分半で決勝進出を果たし、昨年の準決勝敗退の壁を軽々と超えた。そして迎えた決勝。相手は昨年のインカレ2位入賞の強敵である堀江耐志(徳山大)。しかし、強敵相手に守勢に回ることはなかった。前に出て組み手争いを優勢に進めるとそのまま相手を押し出し先制点を獲得。そこから組み合う時間が長く続くが、力強いタックルから隙が生まれた相手を宇井がすかさず狙ってバックを奪い、3点のリードを抱えて折り返した。再び激しいタックルの応酬となった第2ピリオド。しかし、開始4分、相手に腕を回した宇井がそのまま投げ技に持ち込み一挙4点を獲得。最後まで主導権を握り続けた宇井は直後バックポイントを獲って決着。強者相手にテクニカルフォールで勝利した。勝利後リング脇で応援していた早稲田のチームメイトに笑顔を向ける宇井。早稲田最後の夏、ついにインカレ初優勝を成し遂げた。さらに全試合テクニカルフォールで無失点という結果。まさに圧巻の優勝と言える内容だった。


投げ技を駆使して全試合テクニカルフォール勝ちを決めた

 4日間で3名の学生王者を出した早稲田。そのうち2名はインカレ最後の4年生。両者ともに昨年のリベンジを見事果たした。表彰台へ上がったのは8名。太田監督は「おそらく過去にないくらい良い成績だったのではないか」と4日間を統括した。今大会で前期は締めくくりとなり、これからは内閣総理大臣杯や天皇杯全日本選手権などを控える後期を迎える。上り坂の早稲田がこれからどれほどの快進撃を見せるのか。個人としてもチームとしても共に大きな成果をあげられることを待望する。

(記事、写真 北﨑麗)


今大会敢闘賞を受賞した宇井

結果

男子グレコローマンスタイル

▽67キロ級

宇井大和 優勝



▽97キロ級

松本直毅 準々決勝敗退







コメント

太田拓弥監督

――宇井選手の優勝について

本人のしっかりとした前へのプレッシャーとか自分の攻撃パターンが活きて、全試合テクニカルフォールといったかたちで、良いかたちで優勝できて、最後の試合だったのでチームにとってすごく良いインカレの最終日を迎えられたと思いますね。

――松本選手の準々決勝敗退の原因はどこにありましたか

やっぱりローリングのところですね。最初にパッシブとってそこで返しきれなかったので。相手も全日本選抜(明治杯)で勝ってるなかで、相手も研究していてのでそれでずらされて返しきれなかったところが敗因でした。あと場外に押し出されたのでそういったところかなと。しっかりと修正して大学選手権に向けて準備していきたいと思いますね。

――インカレ最終日を迎えましたが、この4日間を統括して

僕もコーチやヘッドコーチ、監督として20年近くやらせてもらってるんですけど、おそらく過去にないくらい良い成績だったのではないかと思います。負けた選手もここを改善すれば勝てるというような内容だったのでそういった意味で今までにないくらいすごく手応えのある大会だったかなと思いますね。

――後期に向けてチーム全体での修正点はありますか

そうですね、引き続き組み手のところだったり先制点獲るところだったりロースコアでの対応だったり、そういった実戦で出た課題をしっかり学生に伝えて落としこんで。大学選手権や全日本グレコもありますのでそこで総合優勝できるように課題を修正したいと思います。

――後期でのチームとしての大きな目標とは

やっぱり大学選手権、フリーもグレコもありますのでそこでの総合優勝ですね。しばらく優勝から遠ざかっているので、3位狙いとか表彰台とかじゃなくて、優勝できるメンバーが揃っていると思ってますし。特に上位進出者が他の大学と比べて全然遜色ないですし、そういった意味でしっかり総合優勝目指して頑張らせたいなと思いますね。

宇井大和(スポ4=和歌山・新宮)

――優勝おめでとうございます!

ありがとうございます。

――今の率直な気持ちを聞かせてください

インカレは今まで優勝することができなかったので、4年の最後で優勝することができて嬉しいですね。

――インカレで目標にしていた勝ち方は何ですか

最後だったので、とりあえず内容よりも結果を求めて、勝ちに貪欲に試合に挑みました。結果的に全試合テクニカルで無失点で勝つことができて内容もついてきて良かったなと思います。

――今回のインカレは悔いなく終えることができましたか

そうですね、自分の思い通りのレスリングをすることができたので良かったですね。

――後期の目標は

後期は自分が一番目標としているグレコ選手権があって、昨年も優勝することができて2連覇するチャンスがあるので、必ず2連覇できるように頑張っていきたいと思います。

――後期へ向けて修正点はありますか

そうですね、4点獲れるところを2点になっちゃったりというところがあったので、そこを確実にポイントを獲れるようにもうちょっと技を磨いていかないといけないなと思います。

松本直毅(スポ4=神奈川・横浜清陵総合)

――インカレへの意気込みはどのようなものでしたか

優勝目指して頑張っていたんですけど、不甲斐ない結果に終わってしまいました。

――インカレではどのような戦い方をしていきたいと考えていましたか

やはり自分の得意な前に出てパッシブをとってグラウンドで返すというかたちを徹底しておこなっていこうと思っていました。

――準々決勝ではそれができなかったことが敗因となりましたか

そうですね、そこに尽きると思います。

――予選ではその勝ち方ができていましたか

はい、もうやりたいようにできたかなと思っています。

――今大会の収穫は

フィジカルの部分で負けているところがありましたし、あとはまだ得意技のグラウンドもツメが甘い部分があったなという印象を持ったので、これから修正していきたいなというふうに思ってます。

――今大会は前期の締めくくりとなりましたが後期の目標は

一番は全日本グレコローマン選手権で優勝することを第一にやっていきたいと思ってます。

――後期でおこなっていきたい勝ち方はどのようなものでしょうか

やはり今大会でもやったように、グラウンドで点数獲って先攻逃げ切りで引き続き頑張っていきたいと思うんですけど、その強みをもっと強化してどの選手にも通用するように技を身につけたいと思っています。