2回戦123456789計北海道教大釧路校0000000000早大02001010X4(早)○久郷-吉田♢(本塁打)鈴木1号2ラン(2裏) ♢(二塁打)須能(2裏)、鷲田(7裏)、竹本(8裏) この日のヒーローは鈴木涼馬(商4=東京・早実)…

2回戦
北海道教大釧路校
早大
(早)○久郷-吉田
♢(本塁打)鈴木1号2ラン(2裏) ♢(二塁打)須能(2裏)、鷲田(7裏)、竹本(8裏)

 この日のヒーローは鈴木涼馬(商4=東京・早実)だ。2回、左翼スタンドに先制の2ランを叩き込むと、8回にはあわやレフトオーバーかというあたりを好捕。バットでも守備でも、その実力を遺憾なく発揮し、スタンドを沸かせた。鈴木の活躍もあり、早大は4-0で北海道教大釧路校に勝利。3回戦へ駒を進めた。


2回に2ランを放った鈴木

 試合が動いたのは、2回。須能浩太郎(商2=東京・早実)の打球はフラフラと上がったが、相手の拙守により運良く二塁打となり、出塁に成功する。1死二塁となり、打席には鈴木。5球目のカーブを打つと、打球は左翼へと上がっていき、なんとスタンドイン。2点を先制する。その後もたたみかけていきたい早大だったが、なかなか打線がつながらない。それでも、5、7回にスクイズを決め、計2点を追加。「4点目を取られたら追い付けない」と試合中話していた北海道教大釧路校を引き離した。


完封勝利を収めた久郷

 この試合の先発は久郷太雅(創理4=静岡・沼津東)。初回からテンポ良く試合を進め、5回には三者連続三振を披露。9回を投げ切り、一度も二塁を踏ませない圧巻の投球を見せた。8回の先頭打者にはあわや左翼手・鈴木の頭上を越えようかという大きな当たりを放たれたが、これを鈴木が好捕。バックの好プレーもあり、完封勝利を収めた。「他の投手を休ませることができたのでその点は良かった」(久郷)。東京六大学春季リーグ戦でのチーム防御率1点台という圧倒的投手力を武器に、この先の難敵も撃破していきたい。


全日に入って当たりが出ている鷲田

 この試合、最も活躍したのはもちろん鈴木だろう。しかし、鷲田拓未(スポ1=神奈川・日大高)にも注目していただきたい。この日、鈴木の2ラン以外で点が入ったのは5回と7回。そのどちらの回も鷲田が先頭打者として出塁しているのだ。5回は次打者の二ゴロの間に封殺されたため、直接得点に関わったわけではないが、どちらの得点も鷲田から始まっていることは間違えない。夏季オープン戦ではあまり調子が良くなかったが、「試合に出ればヒットが出るだろうと思っていた」(鷲田)。この春に入学してきたルーキーでありながら、大舞台でいい働きを見せている。対照的に上位打線はこの日あまり快音が聞かれず。打線は水物とはいうが、少し不安な結果だ。次戦は、優勝経験もある大阪経済大。東都1部の強豪校・東洋大を倒してきた相手でもあり、厳しい戦いが予想される。勝利には上位打線の奮闘が絶対条件。強敵を撃破し、6年ぶりのベスト4入りなるか!

(記事 金澤麻由、写真 瀧上恵利、西山綾乃、池田有輝)

★連載「Today’s Feature」第6回 鈴木涼馬


試合後、加藤大(人4=大分上野丘)と笑顔で話す鈴木(右)

 鈴木の良さといえば、何といってもそのバッティングだろう。当たれば大きい、長打力が魅力だ。しかし、本塁打を放ったのは2年時の東京六大学春季リーグ戦が公式戦では最後だった。昨季はその打撃力を買われてスタメンの座を射止めたが、そのバットは鳴りをひそめた。

 「これからの自分に期待したい」。そう開幕前に話して挑んだ今大会。夏季オープン戦から調子を上げ、好調を維持したまま全日本大学選手権へ。そして2試合目でその力が爆発した。第1打席では左翼への先制2ラン。第2、3打席では打球を左翼前に鮮やかに運んだ。第4打席は安打とはいかなかったが、進塁打を放ちチャンスを広げた。この結果に、東京から駆け付けたご家族も喜んでいた様子。「(春は当たっていなかったので)ホッとした」(お父様)。「うれしかった」(お母様)。「野球人生最後の大舞台」と意気込んで勝負に挑んでいる息子の雄姿に笑顔を見せた。

 また、今大会は好守も連発。鈴木涼馬ここにありというところを存分に見せつけている。泣いても笑ってもこれが学生最後の夏、今年が最後の青春だ。ともに時間を積み上げてきた仲間のため、長年支えてきてくれた家族のため、そして何より野球と向き合い続けてきた自分のため――。多くの思いを背負って打席に立つ。みんながその一撃に期待している。やっぱり涼馬がナンバーワン!

(記事 金澤麻由、写真 池田有輝)

★『打倒・東洋大』はかなわず 準々決勝は関西王者との大一番


サヨナラ勝ちを収め、スタンドに向かってこぶしを突き上げる大阪経大ナイン

 「東洋と当たるまでは勝ち進みたい」。「東洋と当たったら絶対勝ちたい」。「東洋を倒して日本一に」。これまで何度も東洋大に苦杯をなめさせられてきた早大ナイン。全日本大学選手権(全日)を前に、『打倒・東洋大』への思いを次々と口にしていた。しかし、東洋大は1回戦で無念の敗退。全国の大舞台での再戦はかなわなかった。

 東洋大を破ったのは、大阪経大。60年以上の歴史を持ち、2度の全日優勝経験がある強豪校だ。今年は近畿六大学春季リーグ戦を制すと、関西地区大学選手権(※)で13年ぶりの優勝。堂々の『関西地区第1代表校』として全日に乗り込んだ。

 初戦となった東洋大戦は、全日本出場予選会1次トーナメントの早大戦で完封リレーを見せた瀬下泰世(4年)、竹内海斗(2年)から着実に得点を奪い、8ー3で快勝。続く2回戦では西南学院大に3点をリードされたが後半に追いつき、延長10回サヨナラ勝ち。全国の大舞台でもその実力を遺憾なく発揮している。

 しかし、実力を発揮しているのは早大も同じだ。1回戦、2回戦合わせて被安打4と、投手陣の安定感は健在。2回戦では2つのスクイズを決めるなど、少ないチャンスをものにすることもできている。3回戦はロースコアの展開が予想されるため、いかに粘り、チャンスをものにできるかが鍵となる。早大野球の真価が試される試合となるだろう。

※…関西の6つのリーグの1位校などの8チームのみが進出できるトーナメント大会

(記事、写真 池田有輝)




コメント

久郷太雅(創理4=静岡・沼津東)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

少ない球数で完投することができ、他の投手陣を休ませられたのでその点は良かったと思います。

――北教大釧路校はいかがでしたか

全然情報がない中だったのでぶっつけ本番のような感じでした。ストレートにタイミングを合わせて思い切って振ってくる感じだったので、ストレートを中心に組み立てつつも変化球を打たせるということを意識しました。

――雨で1日試合が順延しましたが、調整面などはいかがですか

僕は1回戦で投げていないのであまり影響はないです。

――あす以降に向けて一言お願いします

あした以降も出てくる相手は強いところばかりですし、継投なども予定通りとはいかず総力戦になると思うので、どんな場面でも自分のピッチングをしてチームを勝利に導けるように頑張ります。

鈴木涼馬(商4=東京・早実)

――きょうの試合の感想をお願いします

相手の情報があまりない中で自分たちの野球ができたので良かったかなと思います。

――北教大釧路校はいかがでしたか

守っていてもバットが振れているのを感じましたし、ノックを見ていてもいいチームだなと感じました。

――春シーズンはなかなか調子が上がりませんでしたが、きょうは好調でした。何か対策などはされましたか

特に対策などはしていないのですが、不調のときこそ結果を気にせずに一打席一打席集中するということを気を付けました。

――きょうの打撃を振り返っていかがですか

夏のオープン戦から調子が良くて、それをそのまま公式戦でも出せたことが良かったと思います。

――本塁打を打った際の球種は何でしたか

多分カーブですね。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

ベスト8ということで、相手もここまで勝ってきたので強いと思うのですが、きょうの試合みたいに自分たちの野球をやれば勝てると思うので頑張りたいと思います。

鈴木選手のご両親

――きょうの試合をご覧になっていかがでしたか

 とにかく勝って良かったですね。全国大会で3回戦に進めたということで、チームが勝てたことが良かったです。

 本人が「野球人生最後の大舞台」って言っていたので、少し調子が悪くて打てていなかったので本当にホッとしました。うれしかったです。

――鈴木選手は全日についてご家族に何か話されていましたか

 直接は特に言っていませんでしたが、早稲田スポーツのツイッターでチェックしています。小学校3年から野球を続けてきて、『集大成』って書いていたのを(早スポの特集で)見たので、最後の集大成としてこの舞台に立っているのかなと思います。

 本人は全くしゃべらないので、一言も(笑)。

――きょうは本塁打を含む3安打を放ち、守備ではファインプレーもありました。ご覧になっていかがでしたか

 ここのところ当たっていなかったので、最初のホームランが出た時にはホッとしたというのが正直な気持ちですね。

 もうきょうは出来過ぎです。次につなげてくれたらいいと思います。

――次戦に向けてメッセージをお願いします

 一試合一試合大切に勝ち進んでほしいなと思います。その先には優勝ということを目指してみんなで頑張ってほしいと願っています。

 応援席が本当に熱いのが伝わってくるので、皆さんの仲の良さがひしひしと心に伝わってきます。ありがたいと思っています。皆さんで一丸となって戦っていってほしいと思います。

鷲田拓未(スポ1=神奈川・日大高)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

1回戦に勝ってきょうの試合に臨んだので、みんな全日本の試合の雰囲気に慣れていたと思います。アップからいいかたちでゲームに入れました。

――2安打放たれましたが、現在のバッティングの調子はいかがですか

8月からいい状態で名古屋に来れていて、それが継続してできていると思います。

――オープン戦ではあまり当たりが出なかったそうですが、現在の好調の要因はなんですか

結果は出てないですが、自分的に内容はそんなに悪くなかったと思っていました。試合に出ればヒットが出るだろうと思ってやっていて、それがいい方向につながっています。やることはそんなに変えてないのですが、いい流れを自分の中で持ってこれたことが好調の要因だと思います。

――あしたへの意気込みをお願いします

全日本のベスト8に入ったのでだいぶレベルは上がってきましたが、自分自身はあまり緊張せず楽しめています。このままいい流れで頂点まで行ければいいなと思います。