21日、虎ノ門ヒルズ4階ホールBにおいて大学スポーツ協会(UNIVAS)がスポンサーシップ発表会を行った。今回は、その中でも大学スポーツに青春を捧げたスペシャルゲスト3名(田中浩康氏・宮﨑大輔氏・田中雅美氏)が登壇して開かれたトークセッションの模様をお届けする。

田中浩康氏は早稲田大学野球部の黄金時代を担い、卒業後はプロ野球選手として東京ヤクルトスワローズや横浜DeNAベイスターズでプレーし、現在早稲田大学野球部でコーチを務める。「今は140人近くいる部員を監督1人が指導している。卒業生がボランティアで教えに来ることもあるが、目が行き届いているとはいえない状況」と語った。早稲田大学といえば、宿敵・慶應義塾大学との早慶戦が有名だ。特に野球は明治神宮球場に2万人以上の観客が詰めかけるが、伝統の舞台に立てるのは100人以上いる部員のうち、ほんの一握り。「サマーリーグや新人戦など試合を増やし、少しでも多くの選手たちに出場機会が与えらるような工夫もされている」と、自身の現役時代との変化を指摘。さらに、「IoTボールなどのテクノロジーが導入され数値化されることで、安全面の確保やモチベーションアップに繋がるのでは。」と、今後の進化に期待を寄せた。

宮﨑大輔選手はハンドボール日本代表にも選出され、現在は日本体育大学3年に再入学している。大学入学当初と現在ではハンドボールを取り巻く環境が大きく変わったと感じてはいるが、まだ多くの課題が残っていると指摘する。「色々な大学の部活を体験できる期間を設けてほしい。アメフトやレスリングの動きがハンドボールに活きる部分もある。プロのように他競技の練習を取り入れられたら、大学スポーツはもっと変わると思う」。他にも「分析を外部のプロフェッショナルに委託することで、学生が競技の継続をもっと選びやすくなるような環境作りを整えられるのではないか」と、現役学生という他の2人にはない視点で意見を述べた。

スポーツコメンテーターとしても活躍するシドニー五輪水泳女子400mメドレーリレー銅メダリスト・田中雅美氏は、女子部員第一号として中央大学水泳部に所属した際の苦労を語った。「寮は男子部員しか入れず、一人暮らしをしていた女子部員は横の繋がりを作ることが難しかった。部員の心のケアもしてあげられる指導者が、大学にもっと増えると良いと思う」。大学アスリート、中でも女子選手たちが、心身ともにバランスが取れた状態で広く活躍できる環境作りの必要性を訴えた。

ゲストとともに登壇したUNIVAS池田敦司専務理事は、「UNIVASに加盟していただいた大学や競技団体が加盟して良かったと思ってもらえるような活動をしていく」と力強く述べ、今後も大学アスリートの武器となるようなプロジェクトの提案を行っていくことを明言した。

ゲスト3名は大学での実績も卒業後の進路もまったく異なるが、青春を大学スポーツに捧げ第一線で活躍してきたという点は皆同じだ。だからこそ、「大学スポーツをもっと良くしたい」という思いが根底にあり、それぞれの言葉には重みがあった。特に、形は違えど一度離れた母校に戻った田中浩康氏と宮﨑氏は、学生アスリートだけでなく大学における指導者の待遇にも警鐘を鳴らした。「指導者一本で食べていくことは難しい。働きながら監督をしている方も多いが、学生を見てあげられる時間は必然的に少なくなってしまう」(田中浩康氏)。アスリートを直接サポートするだけでなく、彼らの活動環境を整えることも必要な支援となりそうだ。企業とのパートナー契約を結び、さらに存在感を増したUNIVASの動向に、かつての大学アスリートたちも大きな期待を寄せている。