安定しない天候のもと埼玉県宮代町のはらっパーク宮代で、関東各地の強豪校が集う関東学生個人選手権が開催された。 1日目、早大からは9人の選手が出場した。棚田歩(スポ3=北海道・帯広三条)は、今大会トップの655点を記録した。今春3年生に進級…

 安定しない天候のもと埼玉県宮代町のはらっパーク宮代で、関東各地の強豪校が集う関東学生個人選手権が開催された。

 1日目、早大からは9人の選手が出場した。棚田歩(スポ3=北海道・帯広三条)は、今大会トップの655点を記録した。今春3年生に進級した棚田は、「今までの先輩についていくだけではなくて、今度は自分が引っ張らなくてはいけないという立場に立った」と語ったが、その言葉通りの輝かしい結果を残した。前回の全日本学生王座決定戦(王座)の悔しさから厳しい練習を重ねてきたアーチェリー部。代替わり以来初の個人戦の今大会で、確実にレベルアップしたことを示した棚田の栄光は、今後のアーチェリー部のさらなる躍進のきっかけとなるか。この夏、韓国遠征に行く棚田は、インタビューに対して夏の意気込みを語った。「韓国のトップ選手の技術や指導を学んで自分の力にしていきたい。チームとしては、全体で練習できる時間は夏休みに限られているので、チームとしてまとまって力をつけたい。」今春に入学した山本治輝は、早大で棚田に次ぐ592点の高得点を記録した。小雨がぱらついたかと思えば、数分後には強い日差しが照りつけるといった不安定な天候の中でも良い結果を残し、先輩たちにアーチェリーへの本気度を示した。一方、棚田とともに韓国遠征に行く矢原七海は、不安定な天候に苦しめられ今大会では良い成績を残すことができなかった。矢原は試合後のインタビューに対して、「風が吹いたり、吹かなかったり、晴れたり、曇ったりと不安定な天候だったので難しい試合だった」と振り返り、韓国遠征については、「韓国はアーチェリーが一番強い国なので、韓国選手の良いところを盗んでこれからの試合に活かしていきたい」と意気込みを語った。


安定したショットで1位だった棚田

 8人の選手が出場した2日目。この日も日差しが照り付け、熱中症への注意を呼び掛けるアナウンスがされる、厳しい暑さの中での試合となった。その中で存在感を示したのは藤澤博斗(社2=神奈川・浅野)だった。目標点数を600点として挑んだ藤澤。前半1エンド目から50点以上をマークする必要があるが、緊張からか3エンド目まで50点を切ってしまう先行き不安なスタートに。しかしここで気持ちを切り替えることができた。「前半の終盤にかけては比較的リラックスして臨むことができ」たという藤澤は続く4エンド目から4エンド連続で50点を超える点数をたたき出すことに成功した。前後半の合計は582点と目標にはあと一歩及ばなかったが、今後にも期待がかかる試合内容だった。一方、「一度アーチェリーという競技の厳しさを感じる試合になりました」と厳しい表情で語ったのは王座メンバーでもあった横塚葵(文構2=埼玉・栄東)だ。「自分なりにまとめられた」と振り返った前半の状態を維持したかったが、後半の1エンド目、2エンド目と続けて大きく外してしまうと、悪い流れを断ち切れず、最後まで響いてしまう結果に。「風を意識しすぎて自分のフォームがおろそかになってしま」ったという横塚は、試合の中で何度か射つことをやめて、整える場面が目立った。今後は照準器であるサイトから中心をしっかり見ることによって中心を狙いつつ、いかに自分のペースで射つことができるかがポイントになるだろう。


613点を記録して早大トップの成績をマークした小池美朝(スポ3=大分)

 次なる戦いは来月大阪で行われる、全日本学生個人選手権だ。5月の東日本大会ですでに出場を決めている市川遼治(スポ3=群馬・高崎商科大付)、中村美優(スポ2=北海道・旭川北)に加え、今大会の結果を踏まえ出場選手が決まる。悔しい結果に終わった王座から2か月。今回は個人戦だが、新たなスタートを切った早大にとって、個々の技術力を上げる機会となる全日本のも注目したい。

(記事 七澤拓未 岡秀樹、写真 長久昌暉 小山亜美 芦澤りさ)


何度も確認しながら矢を放っていた横塚

結果

▽男子

棚田 1位 655点

山本 43位 592点

竹内 46位 591点

藤澤 61位 582点

相木 66位 576点

前田 84位 564点

篠原 86位 560点

駒崎 91位 557点

中野 97位 555点

杉田 104位 548点

▽女子

小池 3位 613点

矢原 4位 613点

横塚 15位 584点

高橋 17位 580点

高木 22位 575点

助川 24位 574点

小栗 31位 546点

棚田歩(スポ3=北海道・帯広三条)

――今日の試合を振り返ってみていかがでしたか

今日はインカレターゲットの予選ということで、普通の記録会と違ってしっかり点数を出して確実に通りたいと思っていたので、そこの意識をもって今日はやってきました。

――湿度が高く蒸し暑い天候の中での試合となりましたが、コンディションの面ではいかがでしたか

昨日の夜に荒れるという予報を聞いていて少し心配だったのですが、荒れる予報を聞いていたので、これぐらいの天気ならむしろ僕は良かったと思います。

――悔しい結果に終わった王座から2ヶ月が経ちました。新体制になり変わった点はありますか

自分は幹部代に上がったので、今までの先輩についていくだけではなくて、今度は自分が引っ張らなくてはいけないという立場に立ったのが一番変わりました。

――この後は夏合宿があり、個人として、またチームとして強化していく段階になると思います。この夏に意識していきたい点はありますか

自分は韓国遠征のほうに行くのですが、韓国遠征でしっかり向こうのトップの選手の技術や指導を学んで自分の力にしていきたいと同時に、チームとしては、全体で練習できる時間は夏休みに限られているので、チームとしてまとまって力をつけたいです。

矢原七海(スポ1=福岡・柏陵)

――今日の試合を振り返ってみていかがでしたか

途中から風が吹いたり、吹かなかったり、晴れたり、曇ったりと不安定な天候だったので、難しい試合だったと思います。

――時折、強い日差しが照り付け湿度も高い中での試合となりましたがいかがでしたか

自分の中で暑さ対策をやってきたので、そこに関してはうまくコントロールできたかなと思っているのですが、湿度が高い面でメンタル的にやられたかなと思います。

――試合の中であまり深く考えずに射ったとお話しして頂いたのですが、普段は試合の中で意識されることが多いのですか

練習の時にたくさん意識して体にしみこまして、そのまま試合で何も考えずに射つ感じなので、自分はあまり考えないことを意識しています。

――4位に終わった王座から2ヶ月ですが、その後の練習の中で重点的に取り組まれていることはありますか

フォームの安定性だと思います。王座までは風の強い試合が多くて、そこで崩れてしまった部分がたくさんあったので安定させるようにしました。フォームが崩れてしまったことは悔しかったので、今はモチベーション的にも上がっています。

―韓国遠征についてなのですが、さらなる強化に向けた練習の中で、技術面やメンタル面に関して、特に取り組んでいきたいことはありますか

韓国は一番強い国なので、しっかり韓国選手の良い所を身近で見て、盗んでこれからの試合に活かしていきたいですし、これから試合が続くので、点数が下がった時にモチベーションが下がらないようにすることを意識して韓国で頑張りたいです。

横塚葵(文構2=埼玉・栄東)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

最初の第1ラウンド目(前半)は点数があまり伸びはしなかったのですが、自分なりにまとめられたかなという感じで、後半にこのままいければよかったと思ったのですが、後半の1エンド目と2エンド目で大幅に外してしまって、それが結局最後まで響いてしまい点数を落としてしまったというのが、自分の中でも一度アーチェリーという競技の厳しさを感じる試合になりました。

――後半の部分で崩れてしまった要因はありましたか

ひとつは風を意識しすぎて自分のフォームがおろそかになってしまい、外してしまったというのがあるかなと思います。

――暑い中での試合となりましたが、コンディションの面で気になる部分はありました

暑さは普段の所沢での練習の方が暑いので、射ちやすい環境ではあったのですが、少し風に対して自分が過敏になりすぎてしまったかなというのはあります。

――途中、何度か射つことをやめて整えている場面がありましたが、何か考えられていたのですか

自分が試合に入るときに決めていた射つ時のポイントというものが、後半になって少しずれてしまったというか、できなかった部分が多かったので、少し戻して整えて決めたポイントをしっかり意識して射つというのが多くなっていきました。

――差し支えなければ決めていたポイントを教えていただいてもよろしいですか

アンカーに入れる時に手首をあごに付けて引き込むというのがひとつポイントでした。

――4位に終わった王座から2か月ですが、その後の練習で重点的に取り組まれていることはありますか

王座では4位という結果となってしまった後に自分なりに見直して、しっかり的を狙うということを重点に置きました。今までサイト(狙いを定める照準器)を使って黄色(X,10,9,8点の部分)を見てはいたのですが、個人的には狙っているというわけではなくて、ただの見ているという状態で終わってしまっていたので、しっかり狙うということを重点に置くようにしたところ、練習内ですが少し点数が伸びたので、今後もそこはしっかり重点的に意識していきたいと思います。

藤澤博斗(社2=神奈川・浅野)

――今日の試合を振り返ってみていかがでしたか

前半はすごく緊張していて、体が重くて、柔らかく動かず、流れが止まってしまっていました。そこで点数を結構落としてしまったのですが、前半の終盤にかけては比較的リラックスして臨むことができました。さらに試合新記録を出すことができて、そこはすごく良かったなと思います。

――リラックスすることができたきっかけはありましたか

目標点数が600点で、そのためには1エンドで50点以上取らないといけないのですが、前半の1エンド目から3エンド目までは50点を切ってしまっていました。でも4エンド目で50点を取ることができて、そこからはいつもの射つ感覚が戻ってきたように感じて、緊張が解けていきましたね。

――この試合で意識されたことはありますか

予選ではグリップ(押し手)の形がバラバラになってしまっていて、そこが反省点でした。なので、今回はグリップの形を意識して、全体的には上手くいったように感じています。

――新体制になりましたが、ご自身の中で意識の変化はありますか

新体制になる前は自分が全日本学生選手権に出場するというイメージがありませんでした。でも体制が変わって、さらに本選出場が決まってからは、全国大会に出たいという気持ちが段々と強まっていきましたね。体制の変化と自分の成績の向上が相まって、今まで全く考えたことがなかった全日本選手権出場を考えるようになったのだと思います。

――ご自身でも最近の調子が上がってきたと感じられていたのですか

そうですね。昔と比べると上手くなってきているなと感じています。でも、これからもっともっと上手くなりたいと思っています。

――今後に向けての意気込みをお願いします

まず、自分はあまり試合経験がないと思っているので、今後は個人戦や、チームとしての試合(エイト戦)にもたくさん出場して、試合経験を積みたいと思います。そして、早稲田大学を引っ張れるアーチャーになりたいです。