『Sports Japan GATHER』のキャリアサポート契約を結んだ柔道100キロ超級の原沢久喜。2020年東京五輪で金メダル獲得を目指す中で、自身のキャリアの考え方にも変化が生じている。本連載では、2020年、その先に向けて、どのよ…

『Sports Japan GATHER』のキャリアサポート契約を結んだ柔道100キロ超級の原沢久喜。2020年東京五輪で金メダル獲得を目指す中で、自身のキャリアの考え方にも変化が生じている。本連載では、2020年、その先に向けて、どのような想いを抱きながら柔道人生を歩んでいくのか。サポートしてく傍ら、その“想い”を発信していく。

取材・文/太田弘樹
撮影/竹見脩吾

2019年4月1日、三重県に本社を置く百五銀行に所属が決まった原沢久喜。その直後に行われた全日本選抜柔道体重別選手権(4月6日~7日・福岡)(以下、体重別)で、3年ぶり2度目の優勝と、結果を残した。

原沢は、1回戦から決勝の3試合全てで延長戦に突入し、計22分の戦いを制した。特に、佐藤和哉との決勝は10分超え。内股、大外刈りに加え、大内刈り、小内刈りも駆使し、最後は相手に3つ目の指導(※軽微な違反)が入り、勝負を決める。

しかし、2週間後に行われた全日本柔道選手権大会(4月29日・東京)(以下、全日本)では、太田彪雅に延長戦の末に敗れ、準々決勝で敗退。短い期間の中で、大きな試合を2つ戦い抜いた。

「1つ優勝できたことは良かったです。やはり、どちらも優勝するということは、とても難しいことでした。両方勝ってこそ本当の強さだと思っていますが、中2週間というスケジュールで、コンディション的にも少し難しかった。

体重別のほうは、優勝して世界選手権の代表に大きく近づきたいという気持ちで、決勝戦でも前に出られました。しかし全日本は、代表の確定はしていなかったのですが、体重別で勝てたので“選出されるだろう”というちょっとした慢心があったと、振り返ると感じています。そこは、修正しなければいけないと思いました」 全日本選手権では敗れたものの、それまでの成績を評価され、世界柔道選手権東京大会(8月25日~9月1日・東京)の100キロ超級代表に選出。

6月は、国内で代表合宿を行いながら、自身で調整。そして、7月には代表としてカナダに遠征。グランプリ・モントリオール大会(7月5日~7日・カナダ)決勝では、五輪2連覇中のテディ・リネールと対戦。リオデジャネイロ五輪決勝以来の対戦は、延長戦で敗れはしたものの“手ごたえを掴んだ”内容だったという。

また腰に少し不安を感じ、モントリオールの合宿には参加せず帰国。その後のグランプリ・ザグレブ大会(7月26日~28日・クロアチア)では、決勝で世界ジュニア王者のゲラ・ザーリシビリに敗戦。準優勝で終わったものの世界ランクを5位から4位に上げ、世界選手権のシード権を獲得。大会に向けては、どのような練習を行っているのだろうか。

「トレーニングにも変化はあります。4月までは国内選手の対策を行ってきましたが、それ以降は2020年東京五輪も見据えて、外国人選手に勝つための練習が大切になります。やはり、日本人は“技術”、外国人は“パワー”。1~2サイズ大きくなるので、普段の練習でも外国人選手を意識するために、体格の大きな人となるべく乱取り(※柔道で、互いに自由に技をかけ合って練習すること)を行うようにしています。加えて、審判も国内とは変わり、指導の出し方なども早くなってきます。今から様々な対策をしています」

日本では、原沢と同等の体格を誇る選手は数少ない。そんな中、国内でも仮想外国人選手を意識して、練習に取り組んでいる。例えば、大きな選手がいないときは、10分の乱取り中に対戦相手を入れ替え、相手がフレッシュな状態で戦ってもらう。そうすることで、パワーとスタミナの強化を図っている。 その成果が試されるのが、世界柔道選手権東京大会。最後に意気込みを聞いた。

「この大会は、東京五輪の約1年前という重要な大会です。そして、五輪と同じ日本武道館が会場になります。しっかりと準備を行った中で、勝ち切ることが何よりも大切なことです。全日本では、所属先である百五銀行の方々も遠方から応援にきていただいたのですが、期待に応えることができませんでした。今回は勝利を報告し、共に喜びたいです」

今大会で勝利を飾り、11月のグランドスラム・大阪大会(11月22~24日・大阪)で優勝すれば、東京五輪の代表に大きく近づくことになる。4年前の雪辱を晴らすため、ここから大きな勝負が始まる。

【プロフィール】
原沢久喜(はらさわ・ひさよし)
1992年7月3日、山口県出身。百五銀行所属。日本大学卒業後、JRAに入社。2015年、全日本選手権の初優勝を皮切りに柔道グランドスラム3大会で金メダルを獲得。翌2016年もグランドスラム・パリと全日本体重別選手権を制し、国際大会での成績が評価されリオ五輪100キロ超級の代表になり、銀メダルを獲得。その後、18年5月にフリーに転向。19年4月体重別選手権で優勝。8月世界柔道の代表選手に選出。

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※データは2019年8月23日時点