文=丸山素行 写真=野口岳彦

「これが世界基準のペリメーターのシュート力か」

8月22日、バスケットボール男子日本代表はアルゼンチンと強化試合を行い、93-108で敗れた。最後は離されたが、それでも世界ランキング5位の格上に対して試合終盤までシーソーゲームを演じており、今後に明るい展望が感じられた一戦となった。

先発ポイントガードを務めた篠山竜青は「良いところも出た」と話し、課題と収穫の両方を手にした実りのある試合だったと総括した。

特に30点を奪った第2クォーターは日本のオフェンスが機能した。「ウチがやりたいアーリーオフェンスが出たのが2クォーター」と篠山も言う。「馬場雄大だったり、渡邊(雄太)や八村(塁)のプッシュがアルゼンチン相手にも十分通用することが分かった。ゾーンも機能したという感覚は得られましたし、たくさん課題を得られた試合になった」

93点を奪ったオフェンス力は世界にも通用することを証明した。だが、その一方で108失点を喫したディフェンスは早急に改善しなければならない。特に28本中16本(57.1%)と高確率で決められた3ポイントシュートへの対応はニュージーランド戦から引き続き課題として露呈した。

もちろん日本も警戒はしていた。しっかりとシュートチェックには行っていたように見えたが、篠山が「一歩上を行かれた印象」と言うように、アルゼンチンは日本のシュートチェックをかいくぐっては次々とシュートを決めていった。

「自分たちの中ではこの間合いであれば打たれない、プレッシャーをかけているつもりでもどんどん打ってくる。それで決められました。これが世界基準のペリメーターのシュート力なのかというのは教えてもらった」

相手のコンディションが万全ではなかったことも考慮し、善戦してもなお「絶対にこれで調子に乗ってはいけないという思いが強い」と、気を引き締めた。

難敵相手にグッドパフォーマンスを披露

チームとしては、文字通り課題と収穫の両方が得られた試合となった。その中で、25分を超えるプレータイムを獲得し、4得点7アシスト1スティールを記録した篠山個人のパフォーマンスは上々であり、本人も確かな手応えを得た。

「オフェンスに関してはトランジションとセットプレーの緩急だったり、ボールの散らし方には手応えがありました。シュートは入らなかったですけど、感覚的には良い感じで打っていて、ワールドカップでもやっていくような形が見えました」

篠山が見せたパフォーマンスの裏には、マッチアップしたファクンド・カンパッソへの『挑戦』という思いもあった。カンパッソはアルゼンチンリーグのタイトルを総ナメにし、2度のオリンピックを経験しているポイントガード。前日練習を終えた篠山は「上背はそんなに大きくないですけど、ユーロリーグでMVPを取ったり、世界トップクラスのガードです。YouTubeでハイライトを見てますし、こいつのドリブルを止められるのか、自分のプレーがどれだけできるか、ワクワク感みたいのはあります」と語っていた。

そのカンパッソは7得点11アシスト2スティール(0ターンオーバー)を記録する圧巻のプレーでチームを勝利に導いている。そのパフォーマンスを篠山は「上手でしたね」と素直に称賛した。「スクリーンの逆を突いたり、視野が広いと思いました。パスを出す角度も、いろんなところからパスが出てくる。ボーリングみたいなパスもありましたね、あれを日本でやったら怒られると思うんです(笑)。世界を舞台に戦えて、そういうのを間近で感じられるのも良い経験でした。マッチアップして勉強になったことはいろいろありました」

「良いレッスンなのでステップアップしていきたい」

篠山は第4クォーター序盤で4つ目のファウルを犯した。その後もコートに立ち続けたが、ファウルトラブルがなければ、もっとカンパッソと対峙する時間は増えていたかもしれない。それだけに「冷静に考えれば考えるほど、ファウルがもったいなかった」と、悔やんだ。

週末にはドイツ、チュニジアとのテストマッチが控えており、日本の強化は急ピッチで進んでいる。ワールドカップまで残された時間はあとわずかしかないが、「良いレッスンなのでステップアップしていきたい」と、篠山は前だけを向く。