サマースプリントシリーズのひとつ、GIIIキーンランドC(札幌・芝1200m)が8月25日に行なわれる。

 過去の結果を振り返ってみると、荒れるイメージが強い夏競馬の重賞「らしくない」と言ってもいいかもしれない。過去10年では1番人気が2勝、2着4回、3着2回と安定した成績を残していて、2番人気も3勝、3番人気も3勝と、上位人気の馬がコンスタントに馬券圏内(3着以内)に入っているからだ。

 とはいえ、過去10年の3連単の配当を見ると、すべて万馬券。ひと筋縄では収まらないレースと言える。2015年には8番人気のウキヨノカゼが、2017年には12番人気のエポワスが金星を挙げるなど、高配当もしばしば出ており、穴党の出番も十分にありそうだ。

 そこで、過去10年の結果を参考にして、今年のレースで波乱を起こしそうな馬をピックアップしていきたい。

 まず食指が動くのは、前走のGIでは惨敗しているものの、重賞やオープン特別の勝利実績がある実力馬だ。

 2011年に6番人気で2着と好走したビービーガルダン、2014年に5番人気で3着に入ったマジンプロスパー、2017年に5番人気で3着となったナックビーナスがいい例だ。

 ビービーガルダンは前走のGI安田記念(17着。東京・芝1600m)で、マジンプロスパーは前走のGI高松宮記念(18着。中京・芝1200m)で、いずれも惨敗を喫していたが、前者は重賞2勝、後者は重賞3勝の実績があり、GIIIのキーンランドCでは本来の実力を示した。

 ナックビーナスも前走の高松宮記念で8着に沈んでいたものの、オープン特別を3勝しており、ここではその実績どおりの力を発揮した。

 今回、このパターンに当てはまるのは、デアレガーロ(牝5歳)と、ハッピーアワー(牡3歳)だ。



キーンランドCでの一発が期待されるデアレガーロ

 デアレガーロは5歳になった今年、GIII京都牝馬S(2月16日/京都・芝1400m)で初重賞制覇。ハッピーアワーも今春、GIIIファルコンS(3月16日/中京・芝1400m)を勝っている。

 その後、デアレガーロは高松宮記念(3月24日)で7着、ハッピーアワーはGI NHKマイルC(5月5日/東京・芝1600m)で7着と敗戦。GI戦では力及ばなかったものの、GIII戦であれば、巻き返してもおかしくない。

 そして今回、馬群に沈んだGI戦からの直行とあって、上位人気を争うようなことはなさそう。実績を考えれば、オイシイ”穴馬”であることは間違いなく、積極的に狙っていきたい馬たちだ。

 続いて注目したいのが、着順ほど負けていないものの、重賞やオープン特別のスプリント戦で2戦連続して敗れ、人気が急落した馬だ。そのうち、過去に重賞で3着以内に入った実績があれば、地力がある証拠で、大いに狙い目となる。

 こうしたパターンの例になるのは、2009年に13番人気で2着となったドラゴンウェルズと、冒頭で触れたエポワスだ。

 ドラゴンウェルズは、オープン特別のスプリント戦で6着、5着と敗れていたが、着差はコンマ3秒、コンマ1秒とわずかだった。一方のエポワスも、2走前のGIII函館スプリントS(函館・芝1200m)で3着、続くオープン特別のUHB賞(札幌・芝1200m)では7着と敗れていたが、いずれも勝ち馬からコンマ4秒、コンマ7秒差と、大敗というわけではなかった。

 それぞれ直前の着順によって大きく人気を落としたが、展開や流れ次第では、上位にくる可能性は十分にあった。過去に重賞での好走実績があったことを考えれば、なおさらだ。まさしく人気の盲点となった存在と言える。

 こうしたタイプとして、今回面白いのは、ダイメイフジ(牡5歳)だろう。

 前々走の函館スプリントS(6月16日)で4着、前走のUHB賞(8月4日)で3着に敗れて、下馬評では思いのほか人気がない。しかし、函館スプリントSでは勝ち馬からコンマ3秒差、UHB賞ではコンマ2秒差の接戦だった。

 オープン戦を2勝、重賞でも好走歴があって、地力があることも確か。ちょっとしたことで、大駆けがあっても不思議ではない。同馬の一発に期待してみるのも悪くない。

 最後に取り上げたいのは、GIIIアイビスサマーダッシュ(新潟・芝1000m)からの参戦組だ。

 過去で言えば、2010年に6番人気で2着となったジェイケイセラヴィ(アイビスSD=2着)、2013年に4番人気で勝利したフォーエバーマーク(同2着)、2018年に9番人気で3着に入ったペイシャフェリシタ(同11着)らがそうだ。

 アイビスSDは、キーンランドCのおよそ1カ月前に行なわれており、本来であれば、理想的なローテーションと言える。だが、アイビスSDは”直線の1000m”という特殊な舞台設定のため、たとえそこで好走しても、続くレースが1200m戦の場合、「コーナーのある舞台ではどうなのか?」といった疑問を持たれて、意外と人気にならないことが多い。

 また逆に、アイビスSDで惨敗を喫して人気を落とした馬でも、舞台がコーナーのある1200m戦に移ると、本来の力を発揮。穴をあけることがある。

 いずれにせよ、軽視されることが多いアイビスSD組だが、そこから激走馬が生まれることが多く、無視することは禁物だ。

 ということで、今年もアイビスSD組であるカイザーメランジェ(牡4歳)とライオンボス(牡4歳)は外せない。

 カイザーメランジェは、アイビスSDで7着と完敗。おかげで、今回は人気が望めないが、2走前には函館スプリントSを制している。”千直”の舞台が合わなかっただけであれば、得意の舞台で再び弾けてもおかしくない。2度目の重賞制覇も大いにあり得る。

 翻(ひるがえ)って、ライオンボスは直線競馬の”鬼”。前走のアイビスSDを含め、”千直”レースは現在3連勝中だ。その勢いからすれば、1、2番人気を争ってもいいぐらいだが、こちらは今回、コーナーのある舞台が不安視されて評価を下げている。

 しかし、この連勝はコース適性だけでなく、馬自身が成長したとも考えられる。だとすれば、あっさりと重賞2連勝を決めてしまうかもしれない。非常に不気味な存在と言えるだろう。

 早くも終盤戦に入ってきた夏競馬。残り少ない夏休みを満喫するためにも、素敵な配当をゲットしたいところ。ここに挙げた馬たちがそのチャンスを与えてくれるかもしれない。