「リオデジャネイロ五輪テニス競技」(8月6~14日/オリンピックテニスセンター:バーハ・オリンピック・パーク/ハードコート)のミックスダブルス決勝で、ベサニー・マテック サンズ/ジャック・ソック(アメリカ)がビーナス・ウイリアムズ/ラジー…

 「リオデジャネイロ五輪テニス競技」(8月6~14日/オリンピックテニスセンター:バーハ・オリンピック・パーク/ハードコート)のミックスダブルス決勝で、ベサニー・マテック サンズ/ジャック・ソック(アメリカ)がビーナス・ウイリアムズ/ラジーブ・ラム(アメリカ)を6-7(3) 6-1 [10-7]で破り、オリンピック初出場のふたりが金メダルを獲得した。彼らはそれを、歴史上のどのテニスプレーヤーよりも多くのメダル、それも多くの金メダルを獲得している選手----ビーナスを相手にやってのけたのだ。  マテック サンズとソックは、ビーナスが5つ目の金メダルを獲ることを阻んだが、それでもやはりビーナスは銀メダルを獲得し、1920年代に5つのメダルを獲得している(そのうち金は1つ)キャスリーン・マッケーンとタイで並んだ。  ビーナスは、女子シングルスで金メダルを1つ、妹セレナとペアを組んだ女子ダブルスで金メダルを3つを獲得しているが、このリオ五輪では体調を崩し、その両種目で1回戦負けを喫していた。事前にミックスダブルスへの出場を予定していなかったため、彼女の五輪はそこで終わったかに見えていたが、のちに出場となった。ビーナスのパートナー、ラムは32歳。彼は初めは五輪出場を予定していなかったが、大会直前にボブ&マイクのブライアン兄弟が棄権したことによって急遽ダブルス要員として出場権を得た。  ソックもまた、リオ到着前に体調を崩していた。彼は出発直前に軽い肺炎と診断されており、男子シングルス1回戦で不覚をとった。敗戦後は、メダル候補というより観光客のような口ぶりで、「この経験を楽しみたかったんだ。すべてを吸収したかった」とソックは言っていた。  だが結果的に彼は、2つの表彰式を満喫することになった。スティーブ・ジョンソンと組んだ男子ダブルスでも銅メダルを勝ち獲っている。  ソック同様、女子ダブルスとミックスダブルスでグランドスラム大会のタイトルを獲った経験を持つ31歳のマテック サンズにとって、彼女のカラフルなハイソックスは、彼女特有のファッションでの自己主張だ。彼女が日曜日に身に着けた、アメリカ国旗をモチーフにした“ソックス”は、オリンピックのためのオリジナルではない。彼女はそれをすでに全米オープンでデビューさせていた。  「これはほとんどぎりぎりになって決めたことだったの」とマテック サンズ。「今がふさわしいときだと思ったのよ。筋金入りのUSA流でいくなら、オリンピックでやるのがいい。だからあの“ソックス”をこの大会のために引っ張り出してきたの」。  彼女のパートナーは見え見えのダジャレをいわずにはいられなかった----彼女はそのソックスを、ソックという名の男といっしょに勝ち獲った金メダルとともに額縁に飾るだろう。彼らは大笑いし、マテック サンズは「完璧だわ」と言った。  この試合で2組のアメリカペアはセット分け合い、マテック サンズ/ソックが、ファイナルセットのマッチタイブレークを[10-7]で制した。これはビーナスにとって、最後の五輪参加となると思われた。だが彼女は、2020年に40歳で6度目の五輪に挑む可能性を完全に除外しはしなかった。

 「私がそこにいるか否かは、今のようにハードワークをし続けたいか否かにかかっていると思うわ」  同じ問いは、来月36歳になるマルチナ・ヒンギス(スイス)にも投げられた。彼女もまた日曜日の女子ダブルス決勝で敗れている。ヒンギスはティメア・バシンスキーとペアを組んだ女子ダブルスで、エカテリーナ・マカロワ/エレナ・ベスニナ(ロシア)に4-6 4-6で敗れた。  1997年の全米オープンで最初のグランドスラム大会決勝を戦ったビーナスは、そこでヒンギスに敗れている。その一年前にヒンギスはアタランタ五輪に参加したが、そのほぼ20年後の今回まで、彼女は五輪に参加していなかった。

 日曜日にビーナスとヒンギスの双方が銀メダルを獲得したが、ヒンギスにとってはそれがキャリア初の五輪メダルとなった。繰り返し引退を取りやめて復帰したあとだけに、これは彼女にとってとても重要な意味を持つ偉業だろう。  「16歳でグランドスラム大会に優勝し、世界ナンバーワンになると、少なくともあと10年はテニス界のトップにいるだろうと考えるものよね」とヒンギスは言った。「私の終わりが今、近づきつつあることはわかっている」。  終わりはどのくらいすぐに来るのだろうか? ヒンギスは2020年については話したがらなかったが、バシンスキーは彼女を東京五輪に誘い出そうと努めている。  マカロワとベスニナは、常にオリンピックはふたりが獲った2つのグランドスラム・タイトルよりも重要なゴールだったと強張した。あまりに五輪を真剣に受け止めたがゆえに、練習でいいプレーができなかったときには、マカロワは泣いてしまったのだという。  「私は本当にこのメダルが欲しかった。だからすごく感情的になっていたの。なぜ私は今、ベストのプレーをしていないの? と思ったら泣けてきた」

 マカロワは練習では不満足な出来だったのかもしれないが、彼女たちは結局、適切なときにベストのテニスをして金メダルを獲得した。(C)AP

【ダブルス最終結果】

男子ダブルス決勝 ●16フロリアン・メルギア/オリア・テカウ(ルーマニア)[5] 2-6 6-3 4-6 ○17マルク・ロペス/ラファエル・ナダル(スペイン)[6]

「驚くべき経験」とナダル、親友ロペスとの金メダルに感無量 [リオ五輪]|テニスデイリー

男子ダブルス3位(銅メダル)決定戦○4スティーブ・ジョンソン/ジャック・ソック(アメリカ)6-2 6-4 ●25ダニエル・ネスター/バセック・ポスピショル(カナダ)[7]

女子ダブルス決勝 ○16エカテリーナ・マカロワ/エレナ・ベスニナ(ロシア)[7] 6-4 6-4 ●17ティメア・バシンスキー/マルチナ・ヒンギス(スイス)[5] 

女子ダブルス3位決定戦○2ルーシー・サファロバ/バーボラ・ストリコバ(チェコ)7-5 6-1 ●25アンドレア・フラバチコバ/ルーシー・ラデッカ(チェコ)[6]

ミックスダブルス決勝 ○3ベサニー・マテック サンズ/ジャック・ソック(アメリカ) 6-7(3) 6-1 [10-7] ●14ビーナス・ウイリアムズ/ラジーム・ラム(アメリカ)

ミックスダブルス3位決定戦○6ルーシー・ラデッカ/ラデク・ステパネク(チェコ)6-1 7-5 ●12サーニャ・ミルザ/ロハン・ボパンナ(インド)[4] 

(テニスマガジン/Tennis Magazine)