今シーズンから日本ツアーに参戦しているペ・ソンウ(25歳/韓国)が、北海道meijiカップ(8月9日~11日/北海道)でツアー初優勝を飾った。日本ツアー初優勝を飾ったペ・ソンウ 日本ツアー参戦1年目と慣れない環境にありながら、この初勝…
今シーズンから日本ツアーに参戦しているペ・ソンウ(25歳/韓国)が、北海道meijiカップ(8月9日~11日/北海道)でツアー初優勝を飾った。
日本ツアー初優勝を飾ったペ・ソンウ
日本ツアー参戦1年目と慣れない環境にありながら、この初勝利を挙げる前にも、2位が3回、3位が2回と立派な成績を収めているペ・ソンウ。最初に2位になった国内メジャー初戦のワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップでは渋野日向子と、2度目の2位になったリゾートトラストレディスでは原英莉花と、今話題の「黄金世代」と優勝争いを演じて、ギャラリーを大いに沸かせた。
とはいえ、これまであと一歩のところで涙を飲んできた。それだけに、ついに戴冠を果たした喜びは格別だった。ペ・ソンウは満面の笑みを浮かべて、こう語った。
「北海道meijiカップは、中学生の時に初めて見た日本ツアー(の試合)だったので、その大会で初優勝ができて、すごくうれしい。正直、こんなに早く優勝できるとも思っていなかったので、なおさらうれしいです」
ここ最近は「黄金世代」の勢いに押され、韓国勢の強さが目立たなくなっていた。そうした状況にあって、ペ・ソンウの優勝である。彼女は韓国勢の層の厚さをあらためて示したとも言える。
そもそもペ・ソンウには、日本で結果を出せるだけの、確かな実力と実績があった。
ペ・ソンウは2013年から韓国ツアーに参戦。2014年には賞金ランキング28位で、初のシード権を獲得した。以降、2015年には賞金ランキング6位となり、ツアー初優勝を含めてシーズン2勝を挙げた2016年には、賞金ランキング5位となった。翌2017年は未勝利に終わったものの、2018年には再びツアー2勝を飾って、賞金ランキング2位という立派な成績を残している。
また、2015年から(2017年まで)日本(愛知県)で開催された世界4大ツアー(日本、韓国、ヨーロッパ、オーストラリア)による国・地域対抗戦の『THE QUEENS presented by KOWA』に、彼女は3年連続で韓国代表として出場している。そういう意味では、彼女の活躍を早くから見込んでいた日本のゴルフファンも多いかもしれない。
そんな彼女は、早くから日本への憧れを抱いていたと言う。
「子どもの頃から、日本の文化に関心があったんです。日本のドラマやアイドルが好きで、テレビ番組もよく見ていました。日本のゴルフツアーもテレビで見ていて、いつかプレーする機会があればいいな、と思っていました」
ちなみに、「大好きなアイドルは、嵐」とペ・ソンウ。日本への関心の高さは間違いないようだ。
そのペ・ソンウが、日本ツアー参戦を意識するようになったのは、高校3年生のときだった。当時はまだアマチュアだったが、ナショナルチームに入っていたペ・ソンウは、その時のチームメイトの活躍に大いに刺激を受けた。
そのチームメイトとは、現在米女子ツアーで活躍するキム・ヒョージュ(24歳/韓国)である。2012年、当時アマチュアだった彼女が、日本ツアーのサントリーレディスオープンで、16歳332日という当時の史上最年少記録で優勝。その姿を見て、ペ・ソンウはプロ転向を決断し、将来の日本ツアー参戦も視野に入ってきたと言う。
それから、日本ツアー参戦を本気で決意したのは、先にも触れた4大ツアー対抗戦『THE QUEENS presented by KOWA』で来日した時だ。
その頃、日本では2年連続賞金女王に輝いたイ・ボミ(30歳/韓国)が大ブレイク。韓国チームのキャプテンを務めたイ・ボミを追う大勢のギャラリーを見たペ・ソンウは、その人気に驚き、自身も「日本でプレーしたい」と強く思ったと言う。
「噂には聞いていましたが、ボミオンニ(ボミお姉さん)の人気のすごさを目の当たりにして、とても衝撃を受けました。そして、私も『ここ日本でプレーしてみたい』と、あらためて思いました」
だが、日本行きは即決断、とは至らなかった。
「本当はもっと早くから日本ツアーにチャレンジしたいと考えていたのですが、父から『もう少し力をつけてからでも遅くはない』と言われました」
まずは、韓国ツアーで結果を残すことが最優先とされたのだ。
「でも、そんな時に耳に入ってきたのが、日本のQT受験が会員に限られるというニュースでした」
日本女子プロゴルフ協会(LPGA)は、これまでの規定を変更し、2019年から日本ツアーの正会員でなければ、QTを受験することができなくなった。つまり、日本の会員資格を持たないペ・ソンウにとっては、昨年のQTが最後のチャンスだったわけだ。
「そうしたタイミングもあって、日本ツアーに挑戦することになったんです」
初めての日本のQT挑戦。初めて回るコースに戸惑いもあったが、さすが韓国で賞金ランキング2位になった実力者である。最終的には14位の成績で、今季ツアー前半戦の出場権を手に入れた。
そうして、冒頭でも記したように、ペ・ソンウはコンスタントに結果を残して、第1回リランキングを難なくクリア。さらに今回、初優勝を飾ったことで、来季のシード権と正会員の資格も同時に得られた。
その結果、かねてから「目標」としていた、最終戦のLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップの出場権も獲得。ペ・ソンウはツアー参戦1年目から、充実のシーズンを送っている。
「海外でプレーすると覚悟を決めたからには、この日本で長くプレーしていきたい」
大好きな日本でこれからも奮闘していくことを誓うペ・ソンウ。2勝目を飾る日も、そう遠くはないかもしれない。