早大は今月12日から長野県菅平で合宿を開始。日本一奪還に向け、それぞれレベルアップを誓い挑んでいる。そんな中、Aチーム対外試合、夏季初となる試合が早大菅平グラウンドで行われた。対戦相手は昨年度全国大学選手権(大学選手権)準優勝の天理大。春…

 早大は今月12日から長野県菅平で合宿を開始。日本一奪還に向け、それぞれレベルアップを誓い挑んでいる。そんな中、Aチーム対外試合、夏季初となる試合が早大菅平グラウンドで行われた。対戦相手は昨年度全国大学選手権(大学選手権)準優勝の天理大。春シーズン早大が課題としていた「スクラム」を強みにしている相手だ。前半、あっさりとスクラムから先制点を奪われるもその後は一進一退の攻防が続く。終了間際にスクラムを猛プッシュ。たまらず天理大が反則を犯し、トライを奪った。後半も先制点を奪われても動ぜず。徐々にスクラムで優位に立ち、得点を重ねていく。後半34分にNO・8丸尾崇真(文構3=東京・早実)が自陣のスクラムから持ち出し、実に60メートルほどを走り切りダメ押し。33-14と夏季オープン戦Aチーム初戦を勝利で飾った。

 序盤自陣ゴール前で天理大のスクラムのピンチを迎えると、相手キャリアーの強烈なフィジカルに屈っし、あっさりと先制点を献上。しかし、その後は早大がボールポゼッションで優位に立ち、何度もトライラインに迫る。だが、決定機でパスミスやコミュニケーション不足から意思疎通がかみ合わず。しかし、徐々にスクラムやフィールドプレーで勝っていく。前半終了間際にゴールラインまで残り5メートルでのチャンスのスクラムを得ると、早大FWが意地を見せ押し切ってペナルティートライをもぎとり、同点で試合を折り返す。


スクラムトライを奪い、歓喜の早大FW

 後半も先制点を奪われるものの、早大は動じず。ボールポゼッションで上回り試合は進んでいく。後半19分早大ボールのスクラムからSO岸岡智樹(教4=大阪・東海大仰星)からパスを受けたCTB長田智希(スポ2=大阪・東海大仰星)が抜け出し、インゴールを駆け抜け同点に持ち込む。すると、このトライから流れは一気に早大へと傾く。相手がキックオフのボールをダイレクトタッチしてしまったのを見逃さず、フェーズを重ね攻め込んでいく。FB南徹哉(文3=福岡・修猷館)、フッカー森島大智(教4=東京・早実)らがタテ突破。最後はロック三浦駿平(スポ4=秋田中央)がインゴールをたたき割る。続く後半29分にはモールからトライ。さらに後半34分にはスクラムから丸尾がピックし、抜け出す。相手ディフェンスをパスダミーで翻弄(ほんろう)。33-14と差をつけ、収穫の多い勝利となった。


スクラムからボールを持ち出し、独走する丸尾

 今試合では春季課題であった「スクラム」で天理大の優位に立ったことが勝因だろう。序盤は一進一退の攻防であったが、時間が進むにつれて支配できるようになり、前半終了間際にはスクラムからペナルティートライを奪った。フランカー幸重天副将(文構4=大分舞鶴)も「徐々に自分たちのかたちで組めればやれるという自信は付いてきた」と好感触を示している。このままさらに早大の武器として昇華させることができるか。また、前半の序盤ではパスミスが散見されたが、こちらも徐々に改善。試合中に立て直す修正力の高さを見せた。次戦は一昨年度王者の帝京大。直近の対戦では24-61で敗戦している。この試合も勝利を飾り、関東大学対抗戦に向け弾みをつけたいところだ。

(記事 小田真史 写真 石名遥)

コメント

フランカー幸重天副将(文構4=大分舞鶴)

――率直な気持ちを教えてください

 めちゃくちゃうれしいです!

――昨年度に全国大学選手権で準優勝した天理大との対戦でしたね

 関西王者は日本一になる上で越えなければならない相手だと思っていました。夏の時点ですが、勝てたことはすごく自信になりました。

――前後半で雰囲気がガラッと変わったように思いました

 前半は、相手のスクラムに対して受けてしまったというか、やられてしまいました。そこが修正できて、FWからどんどんプレッシャーをかけれていったので、その面でチーム全体として乗っていけたのではないかと思います。

――天理大のスクラムを組んでみての感触はいかがですか

 スクラムでは、前半は相手がセカンドプッシュしてくるときに耐えていました。後半は、相手のセカンドプッシュに対して気を抜かずに、それに対して押しにいくところと、ヒットのところで勝っていくところを意識しました。ムラはありましたが、でき出したので、チーム全体としても勢いに乗っていけたのではないかと思います。

――それは春シーズンから練習してきた部分でしたか

 春シーズンが終わって、セットプレーであるスクラムをなんとかしなければならないと課題にしていたので、6~7月に厳しい練習を積んできました。その成果が徐々に出てきたのかなと思います。

――練習してきたことの結果が出始めたのいうのは、かなり自信になったのではないですか

 そうですね。まだムラがあるのですが、徐々に自分たちのかたちで組めればやれるという自信は付いてきたかなと思います。

――スクラム前に声を掛けている場面が多々ありました

 そうですね。やっぱりフロントローとかの5人はきついと思うので、後ろがどれだけ盛り上げて士気を高めていけるかというのは常に意識しています。今回は声を掛け続けられたと思います。

――今回の試合でポイントとしていたところは

 FWとしては、春シーズン終了から合宿までの間はセットプレーをやってきたので、そこを意識していました。チーム全体としては、「クイックポジショニング」(相手よりも早くポジショニングして自分たちがいつでも仕掛けられる準備をすること)ということを意識していました。

――ディフェンスについてはいかがですか

 今回はアタックの時間が多くてディフェンスが少なかったです。しかし、やられかけていたところはあったので、勝ちましたが、まだ慢心してはいけないし、反省点はたくさんあるかなと思います。

――敵陣でプレーし続けられたというのはやはり大きいですか

 そうですね。岸岡(SO岸岡智樹、教4=大阪・東海大仰星)のキックやFWのセットプレーやペナルティーでしっかり敵陣に入って仕留められたというのは大きいと思います。

――春から意識していた1on1の部分はいかがでしたか

 外国人選手に対してはなかなか一対一は難しいのですが、しっかり止められていた方だったのではないかなと思います。でも、まだまだですね。まだ慢心してはいけないと思っています。

――夏合宿で焦点を当てているところはどこですか

 夏合宿のテーマが「クイックポジショニング」なので、そこを徹底しています。フォワードとしては、やはりセットプレーでやってきたことがどれだけ通用するかというのも試しながらというところですね。

――次の帝京大戦がまた楽しみになったのではないでしょうか

 去年は夏に勝ちましたが関東大学対抗戦でやられています。まずは夏をしっかり勝ちたいと思います。

フッカー森島大智(教4=東京・早実)

――天理大に勝利したこと、率直にどのように捉えてますか

 試合前からこの試合絶対に勝とうと言っていたので、素直にうれしく思います。

――天理大のスクラムを組んでみての感触はいかがでしたか

 最初のスクラムでヒットした時に、ヒットは負けていませんでしたが、第二波。コールに合わせて押し込んでくることに対応できていませんでした。そこの部分を後半修正することができました。コールを合わせて押す意識を持ったら後半は押せました。

――スクラムで勝てた要因はどこにありますか

 最後の方は全員でまとまって押す意識が結構あったので、そこが押せた要因かなと思います。

――前後半で1、3番が代わっても押せたことは自信につながりますね

 そうですね。来週の帝京大戦でも絶対にスクラムを押すという気持ちですね。

――ご自身のラインアウトのスローもずっと安定していますが、それについてはどのように捉えてますか

 100パーセントを目指していましたが、今季初めてノットストレートしてしまって。そこを反省して来週こそ100パーセントの成功率でいきたいと思います。

――きょうはスクラムで優位に立ちましたが、何が一番春季と異なりましたか

 8人全員で押す意識ですね。春季「このままでは勝てない」とみんなが考えて、ミーティングなどを開いてより話し合うようになりました。そういった部分が一番違うと思います。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

 帝京大は本当にFWが強いと思います。こっちのFWで圧倒して絶対に勝ちたいと思います。

CTB長田智希(スポ2=大阪・東海大仰星)

――昨年度、全国大学選手権(大学選手権)準優勝の天理大に勝利しました。今の率直なお気持ちはいかがですか

 チームとしてやろうとしていたFWのスクラムとか、今までやってきたことの成果が出せたのは良かったと思います、自分個人としてはあまりうまいこといかへんなというところがあったので、そこはまだ課題がたくさんあるなという感じですね。

――前半はBKのタテへの突破があまり見られず、パスでもミスが見られました

 前半はパスを放る人と、それを取る僕のコミュニケーションが取れていなくて、パスがうまくつながらない部分がありました。

――徐々に連携もよくなっていった印象を受けましたが、試合中にどのような修正を行いましたか

 パスを放る時とキャリーをしてほしい時で声をかけるようには修正できたかなと思います。

――FWがスクラムで押し勝つ場面が後半になるにつれて多く見られましたが、スクラムで勝つことで、BK陣の攻撃にも余裕が見られました

 やっぱりスクラムってラグビーの試合において大事だなと思いました。きょうは結構勝っていたので、アタックのしやすさは感じました。

――天理大のCTBシオサイア・フィフィタ選手らフィジカルの強い選手と対峙(たいじ)しましたが、何か意識されていたことはありますか

 1人で止めたり1人で弾き飛ばすってことは難しいので、周りでつながりながら何人かで止めるっていうのを意識していたんですけど、何回か突破された場面もあったので、そこは修正していかなきゃいけない部分だと思います。アタックの場面でもそうだったんですけど、抜かれた場面では隣の人とのコミュニケーションがうまく取れていなくて、見ている相手選手が味方間で被って抜かれてしまった部分があったので、そこは課題かなと思いますね。

――前後半メンバーが変わっていった中で、連携はうまく取れていた印象を受けましたがその点はいかがですか

 選手の交代とかは関係なしに、チームとしてスクラムの影響とかから勢いが出てきてうまくいってたかなと思います。

――現在夏合宿の最中ということですが、個人やチームとして何か意識されていることはありますか

 合宿のテーマとして「ポジションニング」とていうものがあって。アタックでもディフェンスでもセットを早くして、自分たちから仕掛けるというのを意識してやっているので、仕掛けの部分をテーマとしてやっています。自分としても仕掛けるところでは、タックルとかではアグレッシブに前に出ながら仕掛けるというのを意識してやっています。

――試合中もセット位置などに関して、これまで以上にコミュニケーションを取られてた印象を受けました

 全体のテーマとして「意識統一」をしていこうっていうのがあって、そこは意識してやれていたかなと思います。

――次戦、帝京大戦への意気込みをお願いします

 きょうは天理大に対して全体としてはうまくいったんですけど、前半では小さいミスなどもあったりしてなかなか流れをつかめなかったので、そういったミスをしてしまうと帝京大につけ込まれてやられてしまうと思うので、1個1個の細かい部分にもこだわってやっていきたいと思います。そして合宿のテーマでもある「ポジションニング」というところで、自分たちから仕掛けるというマインドを持ってやっていければなと思います。

夏季オープン戦
早大スコア天理大
前半後半得点前半後半
26
33合計14
【得点】▽トライ 長田、丸尾、三浦、森島 ▽ゴール 岸岡(3G) 
※得点者は早大のみ記載

  

 
     

 

早大メンバー
背番号名前学部学年出身校
横山 太一スポ2東京・国学院久我山
後半8分交代→16久保
森島 大智教4東京・早実
後半34分交代→17原
小林 賢太スポ2東福岡
後半0分交代→18阿部
三浦 駿平スポ4秋田中央
下川 甲嗣スポ3福岡・修猷館
大崎 哲徳文構2東京・国学院久我山
◎幸重 天文構4大分舞鶴
後半39分交代→20小柳
丸尾 崇真文構3東京・早実
後半39分交代→21相良昌
河村 謙尚社2大阪・常翔学園
10岸岡 智樹教4大阪・東海大仰星
11安部 勇佑スポ3東京・国学院久我山
12中野 将伍スポ4福岡・東筑
前半29分交代→24中西
13長田 智希スポ2大阪・東海大仰星
14桑山 淳生スポ4鹿児島実
15南 徹哉文3福岡・修猷館
後半39分交代→25松下
リザーブ
16久保 優スポ3福岡・筑紫
17原 朋輝スポ2神奈川・桐蔭学園
18阿部 対我社2東京・早実
19中山 匠教4東京・成城学園
20小柳 圭輝社2東京・国学院久我山
21相良 昌彦社1東京・早実
22藤浪 魁基理4東京・本郷
23加藤 皓己創理4北海道・函館ラサール
24中西 亮太朗商2東京・早実
25松下 怜央スポ1神奈川・関東学院六浦
※◎はゲームキャプテン、監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)