文=鈴木栄一 写真=野口岳彦

若きビッグマンが劣勢を押し返す力に

8月14日、バスケットボール日本代表は、12日に続いてニュージーランド代表と国際試合を実施したが、87-104で敗れた。失点数が示すように、ディフェンスの連携がうまくいかない面が目立った試合の中で、光るプレーを見せたのがシェーファー・アヴィ幸樹だ。

第3クォーター終盤になってようやくコートに初めて立ったアヴィだが、攻守に渡ってハッスルプレーを披露し、点差を縮めるのに貢献。第4クォーターでは半分以上プレーし、計8分半の出場で2得点3リバウンド2ブロックを記録。その存在感はスタッツ以上のものがあった。

「ニュージーランドに速攻を多く決められていました。僕の持ち味は走ることなので、ディフェンスで真っ先に戻る。オフェンスでは、とにかくスクリーンを掛けてできることをやる。そしてゴール下を守ることに集中していました」

こう自身のプレーを総括するアヴィだが、千葉で開催された12日の試合でベンチ入りメンバーから外れたことには「ちょっと、うわっとなりました」と少なからずショックを受けていた。それでも、すぐ気持ちを切り替えたことが今回の奮闘に繋がった。「試合ごとに選手を替えて試すことは知っていました。千葉で相手がどういうことをするのか見られたのは僕にとって有利だったのかと思います」

それだけに、この試合は本人にとっても「ホッとしたとまでは行かないが、ちょっとうれしい気持ちはあります。今回ニュージーランドとやって自分的には手応えがありました。今の自分の立ち位置を確かめられたのは良かったです」と収穫を得られた一戦となった。

「まだまだ足りないものはたくさんあります」

一方で、目標とするワールドカップ出場に向けては厳しい立場にいると気を緩めることはない。「ただ、だからといって多くのプレータイムをもらったわけでなく、最後にちょっと出してもらっただけ。まだまだ足りないものはたくさんあります」

会場を沸かせた2つのブロックについても冷静に振り返る。「ゴール下のディフェンスでヘルプに行くのはいつもしていることですが、今日はいつもより飛べていました。そしてアタックしてきた相手が、僕のブロックに対してかわす動きをしなかった。そんなに僕のことをリスペクトしていなかったかもしれないです(笑)。そういう意味ではやりやすかったです」

来週には舞台をさいたまスーパーアリーナに移し、アルゼンチン、ドイツ、チュニジアと強豪との対決が続く。「アルゼンチン、ドイツはニュージーランドより強いチームで、自分がどこまで通用するのか、プレータイムをもらえたら確かめたい。楽しみです」と意気込む。

自分の遂行すべき仕事は「とにかくディフェンスでは、インサイドでとにかく体をぶつけてやりあう。そしてピック&ロールを忠実にやることです」と、全くブレてはいない。

現在、日本代表のインサイド陣は八村塁、ニック・ファジーカス、竹内譲次がコアメンバーとなっている。ただ、この3人に続く枠を巡る争いは大混戦だ。

この取材の最中、アヴィは何度も「シンプル」という言葉を使っていた。彼が来週に当たる難敵に対してもシンプルに自分のやるべきことを遂行し、持ち味の機動力、コンタクトの強さを発揮できれば、過酷なサバイバルレースを勝ち抜いてのワールドカップ12名入りの可能性も現実的なものとなってくる。