先日行われた「ロジャーズ・カップ」(カナダ・トロント/8月5~11日/ハードコート)において、アネット・コンタベイト(エストニア)との初戦を6-4、3-6、4-6のフルセットで逆転負けしたマリ…

先日行われた「ロジャーズ・カップ」(カナダ・トロント/8月5~11日/ハードコート)において、アネット・コンタベイト(エストニア)との初戦を6-4、3-6、4-6のフルセットで逆転負けしたマリア・シャラポワ(ロシア)。いつもの彼女ならば大きく落胆するところだが、今回の彼女は違った。「ここ(「ロジャーズ・カップ」)に来るまで、とても努力をしてきたの。だから、やり切れたことに関してはよかったわ。もちろん、うれしい結果ではないけれど、全体的には満足している」と、落ち着いた口調でポジティブなコメントをしたのだ。

これに対して、彼女と混合ダブルスのペアを組んだこともあるジェームズ・ブレイク(アメリカ)は、「彼女は常に勝ちにこだわってきたから、あんな風にポジティブにとらえていることに驚きだ」「以前はこういった接戦に常に勝っていたように思う。だから負けたことはすごく悔しいはずだ」と米テニスメディアのTennis Channelで語った。

シャラポワは「肩も少し強くなってきているの。そのために何か月も努力してきたから」と前向きに話しつつも、「長いこと自信を取り戻すことができずに苦悩している。まだ時間が必要だと思う」と不安をあらわにした。そういった気持ちもあってか、彼女は最近コーチをトーマス・ホグステッドから、ミロシュ・ラオニッチ(カナダ)やノバク・ジョコビッチ(セルビア)など男子トップ選手たちを指導したきた、ベテランのリカルド・ピアッティへと変えている。

このコーチ変更について、ロシア・テニス協会会長のシャミル・タルピスチェフは「これによってシャラポワに大きな変化は起きないだろう。彼女のプレーはもう出来上がっているのだから」と懐疑的だ。

当のシャラポワは新コーチとのチームには満足な様子で、ピアッティのサマー・キャンプにアポなしで参加し、数週間彼の下でトレーニングをしたと語った。「新鮮な視点で見てくれて、すばらしかったわ」「一生懸命トレーニングをしたし、すごくいい時間を過ごせたの。とても楽しかったわ。楽しむことはとても大切なことだと思う」とコメントしており、彼女の前向きな気持ちが伝わってくる。ちなみに、ピアッティとの師弟関係は一時的な可能性もあるものの、全米オープンはピアッティが同行することがすでに決まっている。

シャラポワは現在開催中の「ウェスタン&サザン・オープン」(アメリカ・シンシナティ/8月12~18日/ハードコート)に出場しており、初戦でアリソン・リスク(アメリカ)と対戦し6-3、7-6 (4)のストレートで快勝。約2か月ぶりの白星をあげた。

一時は引退もささやかれたシャラポワだが、いまだに持ち前の強烈なストロークは健在だ。現在はWTAシングルス・ランキング97位とかなり順位を下げてしまったが、ポジティブに前進する彼女の今後が楽しみだ。

(テニスデイリー編集部)

※写真は2019年度「サンクトペテルブルク・レディース・トロフィー」でのシャラポワ

(Photo by Mike Kireev/NurPhoto via Getty Images)