文=鈴木栄一 写真=野口岳彦10得点6リバウンド2アシスト、上々の活躍バスケットボール男子日本代表は、12日に行われたニュージーランドとの国際強化試合の初戦に99-89で快勝した。八村塁の35得点、ニック・ファジーカスの21得点が目立ったが…

文=鈴木栄一 写真=野口岳彦

10得点6リバウンド2アシスト、上々の活躍

バスケットボール男子日本代表は、12日に行われたニュージーランドとの国際強化試合の初戦に99-89で快勝した。八村塁の35得点、ニック・ファジーカスの21得点が目立ったが、彼らのバックアップを担う竹内譲次も24分半の出場で10得点6リバウンド2アシストと上々のパフォーマンスを見せている。

守備では身体を張ってリバウンドで奮闘し、攻撃では隙あらばリングに積極的にアタック。いつも通りの竹内らしいプレーを見せたが、本人は「自分としては不用意なターンオーバーをしないことをアルバルクの時からコーチに言われているのに、それをバックコートでやってしまった。これは一番やってはいけないターンオーバーで、そこは本当に悔いが残る」と、厳しい自己採点を下した。

この試合、99得点とオフェンスが爆発したことには、「塁がNBAにドラフトされて日本での最初の試合で、素晴らしい活躍をしてくれました。しっかり自分の持っている力を発揮してくれたのは、日本のファンの皆さんにとってすごく良かったと思います」と八村の活躍が大きかったと振り返る。

守備に関しては、35本中6本成功とニュージーランドのシュート成功率の低さに助けられたが、ゴール下へのアタックからのパスアウトで何度も崩され、トランジションディフェンスの遅れからフリーで3ポイントシュートを何本も打たれた。これはあくまで練習試合で、これといった準備をしないで臨んだ結果だったが、やはりこの点は改善すべき課題だ。

「相手の組織的なプレーが素晴らしく、自分たちの雰囲気が悪かった時に3ポイントのオープンシュートを決められてしまいました。スカウティングはほとんどしない中での試合でしたが、それでもコートの中で選手が対応しないといけない部分はあると思うので、そういった面で反省点も多かったです」

懐かしい対戦も「過去の一つとして置いてきています」

オールドファンにとってニューランド代表と言えば、2006年の世界選手権、予選グループで対戦した相手だ。日本はこの試合に勝てば決勝トーナメント進出という大一番で、前半に18点リードを奪いながら後半に失速。特に第4クォーターで9-24の急ブレーキで、終了間際に57-60と痛恨の逆転負けを喫し、予選グループ敗退となった因縁が思い出される。

この試合当時、竹内は大学生ながら25分出場と主力の一員としてプレーしていた。その点について聞かれると「相手のアシスタントコーチであるペロ・キャメロンは、あの試合で勝負を決める3ポイントシュートを決めた選手です。向こうも覚えていてくれましたし、そういう懐かしさはありましたね」と語るも、必要以上に感傷にひたることはなかった。

「その時はその時で、自分にとっては過去の一つとして良い意味で置いてきています」

こう語る竹内だが、一方で刺激を受けている部分もある。「2、3年前に日本に来てもらって練習試合を何回かした時のメンバーとほとんど一緒でした。ベテラン選手が頑張っている姿に、自分も頑張らないといけないという思いはあります」

いよいよ始まったワールドカップ前の一連の強化試合について「ワールドカップの開催が中国ということで、近くの日本に来てくれる国もあると思いますが、こういう機会は本当に貴重で、しっかり生かしたい」と意気込みを語る。

エースの八村と交代で出る場面が多いからこそ、竹内らしいアクセントを攻撃に加えたいと意識してこの強化試合に臨んでいる。「塁はオフェンスのメインとなっているので、彼がベンチに下がって僕が出ている時にまた違う流れでバスケットを作らないといけないなと感じています」

八村、ファジーカスにスポットライトが当たりがちなビッグマンだが、竹内も2人と遜色ないプレータイムを得ることが予想されるゴール下の柱の一人。だからこそ、彼が今回の強化試合でいかに調子を上げていけるかは日本のインサイドにとって重要な要素だ。