セキ・ユウティンインタビュー(後編)日本で生まれ、中国で育ったセキ・ユウティン。すでに中国や台湾で人気を博し、日本での知名度も徐々にアップしている。そんな彼女に、自らの生い立ちやプライベート、意外な一面の話まで聞いた――。――そもそも、…

セキ・ユウティンインタビュー(後編)

日本で生まれ、中国で育ったセキ・ユウティン。すでに中国や台湾で人気を博し、日本での知名度も徐々にアップしている。そんな彼女に、自らの生い立ちやプライベート、意外な一面の話まで聞いた――。

――そもそも、なぜゴルフをやり始めたのでしょうか。そのきっかけから教えてください。

「最初は、お父さんがゴルフを始めることになったのですが、その際にひとりで練習するのは寂しかったらしく、7歳だった私を一緒に(練習場へ)連れていってくれたのが、きっかけです。8歳の時には、お父さんに勝ちました(笑)。

 ただ、最初は『楽しいな』と感じていたのですが、さらに上達するためには反復練習を毎日しなければいけないので、子どもだった私は、内心『もっと遊びたいな』って思っていました(笑)」

――ゴルフが面白くなったのは、いつ頃からですか。

「9歳の時にジュニアの大会に参加して、同じ年齢の選手と友だちになったこと。そして、3位に入賞して賞品をもらったことがうれしくて、だんだんと面白くなっていきました」

――そこから、プロになろうと決めたのは、いつ頃でしょうか。

「11歳の頃から中国ツアーのマンデートーナメントに参加するようになり、13歳の時に出場した大会で3位になって、中国のナショナルチームに参加するようになりました。当時のナショナルチームはプロとアマが一緒に練習をしていたので、プロ選手に教わるうちに、『私もプロになりたい!』と思うようになりました」

――目標にしている選手はいますか。

「リオデジャネイロ五輪の銅メダリスト、フォン・シャンシャン選手(30歳/中国)です。

 それから、宮里藍さんも大好きな選手です。11歳の時にシンガポールで1ホールだけですけど、ご一緒させていただいたことがあるんです。その日、ちょうど私の誕生日だったんですが、藍さんが『Happy Birthday』と書いたゴルフボールをプレゼントしてくれました。そのボールは、今でも私の宝物です。あんなに小さな体で世界ランキング1位になった藍さんは、目標にする選手のひとりでもあります」

――日本ツアーへの参戦を決めた経緯を教えてください。

「14歳と16歳のとき、ジュニア育成のための海外招待選手に選んでいただき、(日本ツアーの)サントリーレディスオープンに出場させていただきました。その時、ゴルフ場の環境、温かいギャラリー、選手の技術もすばらしいと感じました。そして、本当にゴルフを好きな人が多く、『いつか日本ツアーに参戦したい』ということが、私の夢になりました。

 また、私は日本で生まれ、5歳まで生活していたので、日本には親近感もあり、(日本の)食べ物も大好きなので」

――好きな日本食は何ですか。

「すき焼きが好きです。今は滋賀県に住んでいることもあり、近江牛がとても美味しいです」

――プライベートについても教えてください。休みの日は何をしていますか。

「妹がいるときは、カラオケに行くことが多いです。私は、E-girlsや西野カナさんの歌が好きで、妹は私よりももっと日本の曲を知っているので、いろんな曲を歌ってくれます。私はプロゴルファーにならなかったら、音楽関係の仕事に就きたかったくらい、音楽が好きです」

――趣味はありますか。

「うまくはないですが、卓球やバドミントンも好きです。あとは、本を読むこと。本は『ゴルフに生かしたいな』と思い、メンタル面に関するものを読むことが多く、もっと自分を深く理解したいと思っています。心が落ち着くので油絵を描くのも好きですが、1日では完成しないので、シーズンオフに描くことが多いです」

――最終日には赤いウェアを着ていることが多い気がしますが、勝負服は赤ですか。

「はい。集中力が高まる気がするので、赤が好きです。プライベートではカワイイのでピンクが好きです。妹はクールな感じが好みなので、ゴルフでもプライベートでも、服は白と黒が多いです」

――姉妹でだいぶ違うんですね。

「ゴルフ(のスタイル)もまったく違います。私はできるだけリスクを冒さないタイプですが、妹は攻める、攻める、攻める(笑)。バーディーも多いですけど、ボギーも多いです。そういう意味では、ふたりの平均くらいが一番いいのかもしれませんね。

 ただ、それぞれのいいところがあると思うので、お互いがお互いから学べる部分もたくさんあります。ゴルフだけでなく、性格も反対で、妹は明るく、私は静か。私はお父さんに、妹はお母さんにそれぞれ性格が似ています」

――好きな男性のタイプを教えてください。

「明るくて、運動が好きな人。真面目で、私に優しい人がいいです。まだ見つかっていませんけど(笑)」

――座右の銘はありますか。

「『活在当下』。この瞬間を生きるという意味です。将来を憂いたり、過去を嘆くよりも、今、この瞬間を大切にすることが大切。目の前の時間を大切に過ごすことが、未来につながります」

――最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

「日本のファンの方の優しさにとても感動します。いつも遠方から会場に足を運んでくださり、雨の日も、風の日も、応援していただき、力になっています。成績がよくない時も応援していただき、私の成長を見守ってくださり、『もっとがんばろう』と励みにもなっています。本当に感謝してもし切れません。

 これから、もっともっとがんばって、いい成績を残すことが、私ができる恩返しだと思っています。私がたくさんの力をいただいているように、少しでもプラスのエネルギーを、私も(ファンの方々に)与えられたらと思っています。ファンのみなさんに笑顔になってほしいので、私の夢でもある、レギュラーツアー優勝を一緒に喜べる日が来ることを信じています」


取材協力:三洋化成

セキ・ユウティン(21歳)
1998年3月5日生まれ。福井県出身(国籍:中国)。上海体育学院在学中。日本ツアー参戦3年目。今季はステップ・アップ・ツアーを主戦場として、6月の日医工女子オープン(富山県)で優勝した。身長171cm。血液型O。