1Q2Q3Q4Q計早大10034慶大10225▽得点者小林、半場、中山、岡田 劇的な逆転勝利を収めた早慶定期戦から3ヶ月。あれからひと回りもふた回りも成長した両校が、全国を見据える大会で再び激突した。予想外の荒天のなか幕を開けた早慶戦は、序…

1Q2Q3Q4Q
早大
慶大
▽得点者
小林、半場、中山、岡田

 劇的な逆転勝利を収めた早慶定期戦から3ヶ月。あれからひと回りもふた回りも成長した両校が、全国を見据える大会で再び激突した。予想外の荒天のなか幕を開けた早慶戦は、序盤から早大がチャンスを作るもなかなか決めきれず、前半は1−1とロースコアで終える。しかし後半、少ないチャンスをものにした慶大に勝ち越されると、そのまま流れに乗られ4失点。その後早大は持ち味の粘りで反撃に出るも、あと一歩及ばず、4−5で大事な開幕戦を落とした。

 大学ラクロスの最激戦区とうたわれる関東地区において、実力が抜きん出てる両校。記憶に新しい5月の早慶定期戦のように、序盤から激しい点の取り合いになるかと思われたが、この日は予想に反し、珍しくロースコアで試合が進んだ。試合序盤からボールを主にキープしているのは早大。しかし、良い形は作るものの、なかなかゴールが決められない。第1クォーター(Q)8分に守備の乱れから先制を許し、その後AT小林大祐(社3=東京・早稲田)のゴールで同点に追いつくと、そこからこう着状態に入った。「もっと前半に点を取らなければいけない展開だった」とAT青木俊汰主将(法4=東京・早大学院)が振り返るように、前半でリードを奪えなかったことが、その後の試合運びに大きく影響した。

 試合開始から降り続いていた雨がやみ、真夏の強い日差しが降り注ぎ始めた後半。天が味方するのは果たして早稲田か慶応か。その答えは慶応だった。3Q5分、ゴール裏から回り込まれ勝ち越しを許すと、その後も得点を重ねられ、4Q2分には1−5と、大きくリードされた。「チームとして点が入らないときに、あのような立て続けの失点を許してしまうと流れを持っていかれてしまう」とDF青木秀斗副将。ディフェンス面に課題の残る苦しい展開となった。


慶大の勢いを止められず失点する

 だが、ここで簡単に引き下がる早大ではない。青木俊主将も「後半の粘りが自分たちの持ち味」と話す早大は、ここから反撃ののろしを上げる。6分、「対慶応のイメージをずっとしていた」と語るMF半場涼介(スポ4=東京・東大和南)が左サイドから鮮やかなシュートを決めると、1分後にAT中山巧(スポ4=長崎東)が、その3分後にはAT岡田康平(教4=東京・早実)がゴールを決め、ついに1点差まで詰め寄る。猛烈な追い上げは、早慶定期戦のような大逆転劇を思い起こしたが、今回は反撃開始が遅すぎた。同点まであと一歩というところで試合終了のホイッスル。4−5で敗れ、『真の日本一』に向けて幸先の良いスタートを切ることはできなかった。


反撃の起点となるゴールを決める半場

 この日早大は第3Q以降、一度もフェイスオフを取ることができなかった。フェイスオフからの失点もあり、流れを引き寄せられなかったのは次戦以降の課題になるだろう。しかし幸いなことに、この試合はブロック戦の中の1カードに過ぎない。きょう敗れても残りの試合に勝利すれば、決勝トーナメントであるファイナル4への進出が可能であり、またファイナルで再び慶応と対峙(たいじ)することもあり得るのだ。もちろん、これ以上負けることは許されない厳しい状況に立たされたことに変わりはないが、敗戦を引きずってはならない。「もう前向いてやるしかない」と青木俊主将。その力強い言葉を信じ、次戦からの早大の奮起に期待だ。

(記事 中島和哉、写真 石井尚紀、芦澤りさ)

コメント

AT青木俊汰主将(法4=東京・早大学院)

――今の気持ちを教えてください

結果が全てなので、素直に悔しい気持ちだけですね。

――前半は我慢の展開でした。チームでどのような話をしていましたか

もっと前半に点を取らなければいけない展開で、ポジションも早稲田が取れてたので、決め切るところで決められないとこういう展開になってしまうので、細かい話なんですけど、もう少し思い切っていくところは思い切って最後ショットまで行こうっていう話をしていました。

――苦しい展開から追い上げました。どのような声かけをしていましたか

早慶戦の時もそうだったんですけど、最後まで諦めない、絶対にチャンスは最後の最後まで来るので、そこできっちり仕留められればいいって話で、多少焦りはありましたけど、舞い上がることなく今やることに集中してやれたのは、後半の粘りが自分たちの持ち味であると思うので、その部分に関しては良かったかなとは思います。

――ミスも目立ちましたが課題はありますか

いろんなところに課題はありますが、時間があるわけではないので、どこが一番の課題で、どういう風に修正していくのかをもう一回チームで話し合って、あとはもう負けることは許されないので、しっかり全試合勝てるようにチームで持ち帰って話し合って、また次戦ではいい試合ができるように頑張りたいなと思います。

――今日はリーグ戦初戦でした。チームでどのような意識を持って臨みましたか

早慶戦の勝ちに満足することは全然なくて、夏合宿もいい合宿が出来てましたし、とにかく今日結果が欲しかったんですけど、今日その思いが強すぎて、みんなで緊張しちゃって動けない部分もあったかなって思うので、今までやってきたことをそんなに否定的に考えずに、もう少しシンプルに、何を試合ですればいいのかっていうのをみんなで話し合ってやりたいなと思います。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

本当に負けることは許されないので、もう前向いてやるしかないと思うので、いい意味で開き直って、貪欲に一点を取る、一点を守ること、やるべきことは明確なので、しっかり先を見ずに一戦一戦、集中してやりたいなと思います。

DF青木秀斗副将(人4=東京・城北)

――惜しくも1点差での敗戦となりました

六大戦(東京六大学リーグ)と5月の定期戦、今回の試合を含めて、慶応相手にリードを奪った状態で試合を進められたことがなくて、今となってですけど六大戦や定期戦で勝つことができたのは運が良かったというか、最後こちらに流れがきただけで、詰めのところで詰め切ることができないとこういう結果になってしまうのかなと思います。素直に4月の六大戦から成長できていないという感じがします。

――夏合宿などでリーグ戦に向けてどのような準備を進めてきましたか

ミーティングを重ねて、オフェンスとディフェンス共に、改めて自分たちの理想や現実的に何をすれば勝てるのかを本音ベースで話し合って、「自分たちのやりたいことをして勝つことができるのが一番いいね」という話をしたので、そのようにチームをつくってきたつもりだったんですけど、見ての通りなかなか結果が出なかったです。

――ボックスの声掛けなどから、細かく守り方の決めごとを持ちながらプレーされているように見えました

もちろんスカウティングをして今回の試合に臨んで、相手も特徴のある選手が多いので相手の得意なことをやらせないようにしたり、相手の弱みをしっかりと突こうということを試合前に話していたので、そういう意味ではディフェンスはやるべきことができたのかなと思います。

――後半に4連続得点でリードを許した展開についてはいかがですか

前半を見ても危ないシーンは多かったものの、失点までは至らなかったというシーンを相手がしっかりと詰めてきたというのがあります。チームとして点が入らないときに、あのような立て続けの失点を許してしまうと流れを持っていかれてしまうので、そこは反省材料です。

――きょうのご自身のプレーはどのように評価していますか

実は失点に絡んでしまったシーンが数多くあって、さっきミーティングでもあったんですけど、4年生で副将である自分が詰めていかなければチームはいい方向に向かっていきませんし、隙のある選手になってしまってはいけないので、まだまだ成長しなければいけないと感じています。

――ここから4連勝で予選ブロックを突破するために、気持ちを切り替えてやっていくということでしょうか

本当にそうですね。下を向いて結果がひっくり返るのであればいくらでもそうするんですけど、そういう訳ではないですし、コーチからもあったように、きょうの試合に勝っても負けても残りの試合に勝つことに変わりはないので、結果は結果として受け止めて、反省をして、一試合一試合戦っていきます。

MF半場涼介(スポ4=東京・東大和南)

――今の率直な気持ちはいかがですか

(リーグ戦に向けて)チームで準備してきたので、本気でやっても勝てなかったというところは受け止めて、次の試合に向けて頑張ろうと切り替えられました。

――ご自身の得点シーンを振り返って

前回の早慶定期戦の時にシュートを決められなくて、そこから対慶応のイメージをずっとしてきて、きょうは絶対決めようと思っていたので、結果として決められて良かったです。

――途中大きく点差が広がりましたが、その後の試合はどのような気持ちで臨まれましたか

どんなに点差が離れていてもやることは一緒なので、みんなで切り替えていこうと思っていました。ひどくチームの状態が悪いという感じではなかったです。

――勝利まであと一歩及びませんでしたが、今後に向けて課題は

チーム力も課題ですが、オフェンス面で言えば、まだまだ修正力が足りなくて、自分たちの型に当てはめてやっている部分があったので、もっと柔軟にオフェンスができるようにすることです。ディフェンスはおさえてくれていると思うので、あとは点を取らなければ始まらないので、課題としてはオフェンスの修正力ですね。

G勝本勇人(社4=東京・早大学院)

――今日の試合を振り返っていかがですか

開幕戦は今まで負けたところを見たことがなくて自分も後輩達にそういう姿を見せていかないといけなかったんですけど、このような結果になってしまって悔しいという気持ちが一番です。ここから全勝していかないといけないので、明日から切り替えてまたがんばっていきたいと思います。

――今日の相手は慶應義塾大学ということで何か意識されたことはありますか

前の早慶戦も紙一重で勝ったんですけど、今回も厳しい戦いになるだろうということで準備してきました。

――先制された場面でゴールが空いてしまうということがありましたが、あの場面はどのようなことが起こったのですか

ライドの動きで隙が生まれてしまってその隙を慶應に突かれてしまったという形です。

――今日の試合の課題点は何ですか

課題としては隙を見せてしまい、相手の隙を突くことが出来なかったことだと思います。これからは振り返ることも大事なんですけど、先の試合を見て自分含めチーム全員が自分自身をステップアップさせていかないといけないので、意識高くやっていきたいと思います。

――次戦へ向けて一言お願いします

この敗戦を踏まえてチームとして変わった姿を応援してくださる方々に見せられるようにチーム全員でやっていきたいと思います。