文=鈴木栄一 写真=野口岳彦

「邪魔しないように、サポートできるように」

8月12日、バスケットボール日本代表はニュージーランド代表との国際強化試合を行い、99-89で勝利した。35得点を挙げた八村塁とともに、チームを牽引したのがニック・ファジーカスだ。フィールドゴール15本中9本成功の21得点、7リバウンドと、Bリーグと変わらない質の高いパフォーマンスを見せた。

「99得点はとても多い点数で、チームは良い方向に進んでいる」と試合を振り返るファジーカスは、自身の出来についても十分な手応えを得ている。「前半は4得点だったけど、最終的には21点を取れた。昨シーズンには落としていたようなシュートを決められたのは良かった」

昨シーズンは落としていたシュートを今回決められたのはなぜか。それはコンディションの違いが大きい。昨年のファジーカスはこの時期、足首の手術を行ってのリハビリ中で満足なトレーニングができなかった。

それが今回は、いつも通り精力的な練習ができている。その結果として、「去年に比べるとコンディションはかなり良くなっている。昨シーズン終了時点から体重を3kg落としているけど、もっと落としたい。去年はそこが問題だったと思うので、状態を上げていくことに集中していきたい」と、絞れた身体でプレーできていることがシュートタッチの良さに繋がっている。

前半は4得点とらしくない数字だったが、それは前半の八村が22得点と大暴れで、彼にどんどんシュートを打たせるべき状況だったから。「前半は塁の調子が素晴らしかったので、彼の良い流れを邪魔しないとように心がけていた。後半は自分にボールが集まり、ボールタッチが増えたことで、自分も得点できた。それに後半、塁は少し疲れていたし、ファウルトラブルに陥ってもいたので、自分がここで点を取らないといけない思いもあった」と、前後半における自身の置かれた状況の違いも影響したと言う。

「すべてを塁に託すのはアンフェア、ボールシェアを」

これまでの実績が示すように、ファジーカスは日本代表においても随一の得点力の持ち主。その彼をしても八村は「このチームにおいて、塁は自分が打ちたいと思ったシュートはすべて打ちにいっていい権利を持っている。彼が今日のようなプレーをできればワールドカップでもチャンスがある」と評し、大エースとして絶対的な信頼を寄せる。

ただ、一方で八村に依存せず、各自が強い責任感を持つことの大切さも強調する。「僕らはチームで戦っており、得点できる選手がたくさんいるバランスの取れたチームだ。だから、すべてを塁に託すのはアンフェアで、ボールシェアして攻めていかないといけない」

これからの強化試合、次のことを留意して八村とのコンビネーションを高めていきたいと語る。「塁にも彼のプレーしやすいエリアがある。お互いに邪魔とならないようにバランスを取ること。彼がアタックしている時、それをただ見ているだけのつもりはない。また、彼が、強引にプレーをしすぎと思った時はサポートしたい。これをお互いに意識してできることが大事だ」

日本バスケットボール界にとって歴史を変える勝利となったワールドカップ予選のオーストラリア戦以来となった八村とファジーカスの競演は、あらためて頼もしさを感じさせてくれた。今後に控えるアルゼンチン、ドイツといった世界の強豪を相手にこの強力ワンツーパンチで、どこまでペイントエリアを支配できるのか。ますます楽しみがました今回の試合となった。