7月12日エンゼルス戦、8月3日アストロズ戦に2度も継投ノーノーの憂き目  マリナーズが現地8月3日(以下日付は現地時間)のアストロズ戦でノーヒットノーランを喫した。先発サンチェスが6回を投げた後、ハリス、ビアジーニ、デベンスキーとつないで…

7月12日エンゼルス戦、8月3日アストロズ戦に2度も継投ノーノーの憂き目

 マリナーズが現地8月3日(以下日付は現地時間)のアストロズ戦でノーヒットノーランを喫した。先発サンチェスが6回を投げた後、ハリス、ビアジーニ、デベンスキーとつないで4投手による達成だった。試合後、マリナーズのサービス監督は「アストロズの投手陣がよくて、得点どころか安打も難しかった」と脱帽したという。

 実は7月12日のエンゼルス戦でも継投でノーヒットノーランをされている。23日間で2度目であった。

 8月3日を迎える時点で、マリナーズは47勝65敗でアメリカン・リーグ西地区最下位、チーム打率は.244で同リーグ13位。低迷しているチームが不運に見舞われたのだなぁ、と思ったものだ。

 さて、年に2度もノーヒッターを喫したチームがあったのかと思い返してみたら、意外と最近にあった。それも同一年に2チームである。2015年にメッツとドジャースが記録していたのだ。

 メッツは6月9日にジャイアンツのヘストン、レギュラーシーズン最終盤の10月3日にはナショナルズのシャーザーにやられている。ドジャースは8月21日にアストロズのフィアーズ、8月30日にカブスのアリエッタに安打できずに負けている。ドジャースはわずか10日間で2度。マリナーズよりも悲惨であった。

 だが、この時のメッツとドジャースは今回のマリナーズとチーム事情が大きく異なる。メッツもドジャースもノーヒッターをされた時にいずれも地区1位で、最終的に地区優勝をしたのだ。

 メッツは開幕5試合目に地区3位になったが、他の期間はつねに1位か2位。8月2日以降はずっと1位とシーズンを通じて安定した強さを示した。2度目のノーヒッターを食らった翌日の10月4日にはナショナルズに1-0と勝ってレギュラーシーズンを終了。5日後の10月9日からプレーオフに入り、ディビジョン・シリーズ、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズを勝ち抜き、15年ぶりでワールドシリーズに駒を進めた。ノーヒッターの後遺症はまったく感じられない快進撃だった。

 ドジャースはこのシーズン、メッツ以上の安定感だった。開幕直後の4月17日に地区トップに立つと、5月29日に一度2位に落ちただけでずっと首位。そのままナ・リーグ西地区を制した。プレーオフではディビジョン・シリーズでメッツと対戦。2度のノーヒットノーランをされた同士の対決で、2勝3敗と敗れ去ったのだった。

2015年のメッツ、ドジャースは地区優勝、2010年のレイズは…

 メッツとドジャースの前には、2010年にレイズが2度のノーヒッターを被っている。5月9日にアスレチックスのブレーデン、6月25日にはダイヤモンドバックスのジャクソン。特にブレーデンにはパーフェクトゲームを達成されてしまった。実は、レイズは前年2009年7月23日のホワイトソックスのバーリーにパーフェクトを許しており、1年足らずの間に2度もパーフェクトされるという不名誉な記録を残してしまった。

 ちなみにパーフェクトを喫した2試合とも、移動前のデーゲームだった。試合時間はアスレチックス戦が2時間7分で、ホワイトソックス戦が2時間3分。これは冗談だけれど、早く移動したくて淡泊に攻撃しているうちに27人がアウトになってしまったのではないかと勘ぐってしまう。

 話を戻すと、この2010年のレイズも地区首位だった。結局162試合目に勝ち、ヤンキースに1ゲーム差をつけてア・リーグ東地区を制した。こう見てくると、弱いチームがノーヒットノーランをされるわけではなさそうである。

 マリナーズの菊池雄星が「気持ちの切り替えとか、今日はしょうがないんでという割り切りとか、そういう強さがこちら(米国)に来て驚いたことの一つ」と話していたことがある。チームメートだったリーク(現ダイヤモンドバックス)が7月12日のエンゼルス戦で1回持たず7失点(自責点4)でKOされたものの、1週間後の7月19日には同じ相手に1安打完封勝利を演じたことを指したものだった。

 メッツやドジャース、レイズはノーヒットノーランという屈辱をシーズンに2度味わいながらも、うまく気持ちを切り替えた。崩れることなく自分たちの野球をした。さて、今年のマリナーズはこれからどう戦っていくのだろうか。(樋口浩一 / Hirokazu Higuchi)