「リオデジャネイロ五輪テニス競技」(8月6~14日/オリンピックテニスセンター:バーハ・オリンピック・パーク/ハードコート)の男子ダブルスで、ラファエル・ナダルとマルク・ロペスのスペイン・ペアが金メダルを獲得した。 決勝でのナダル/ロペス…
「リオデジャネイロ五輪テニス競技」(8月6~14日/オリンピックテニスセンター:バーハ・オリンピック・パーク/ハードコート)の男子ダブルスで、ラファエル・ナダルとマルク・ロペスのスペイン・ペアが金メダルを獲得した。
決勝でのナダル/ロペスは第3セットでワンブレークされながらも巻き返し、最後の3ゲームを連取してフローリン・メルギア/オリア・テカウ(ルーマニア)を6-2 3-6 6-4で下した。
「驚くべき経験だ」とナダル。「特にそれを自分の親友のひとりとやってのけるというのは!」。
ナダルとロペスは子供の頃からの仲だ。彼らが最初に出会ったのはバルセロナで、4歳年下だったナダルがロペスに遊びで1セットプレーほしいと頼んだのだという。記者会見の際にその試合ではロペスが6-0で勝ったということを互いに認めながらも、ふたりは笑ったりからかったりを交えながら、こんなジョークを言っていた。
ナダルは当時、自分は12歳だったから公平ではなかったと言い、ロペスはナダルはもう14歳だったと言い張ったのである。
「彼は(当時にもう)天才だったんだよ」とロペスは振り返った。
ナダルは2008年の北京五輪男子シングルスでも金メダルを獲得しており、これが2つ目の五輪金メダルとなった。彼はそのほかに「14」のグランドスラム・タイトルも手にしている。ロペスはこれが初めての五輪メダルとなった。
銀メダルを獲得したメルギア/テカウは五輪テニス競技の歴史上、初のルーマニア人のメダリストとなった。
銅メダルを獲得したのはスティーブ・ジョンソン/ジャック・ソック(アメリカ)で、彼らは3位決定戦でダニエル・ネスター/バセク・ポスピショル(カナダ)を6-2 6-4で下した。
「夏の残り、年の残り、人生の残りの期間で、この信じられない感慨を心に持ち続けるよ」とソックは言った。「僕らはそれを分かち合うことができる」。
ソックとポスピショルはかつてペアを組んで2014年のウィンブルドン男子ダブルスで優勝した仲間同士でもあった。
ナダルはこの日、早い時間に男子シングルスの準々決勝に勝ち、そのあと男子ダブルス決勝を戦い、またも急がしい一日を過ごした。彼は左手首の故障で全仏オープンを途中棄権して以来、2ヵ月半プレーできないでいた。
「2ヵ月半も練習できず、ジムワーク以外まったく準備できなかったのに、金メダルを勝ち獲るとは…驚いたし、簡単なことじゃない」とナダル。
ナダルはこれまでシングルスのキャリアに集中しており、あまりダブルスをプレーしていない。ナダルとロペスはブラジルに来るまで今年一度もいっしょにプレーする機会を持てていなかったとはいえ、ナダルが過去に獲った9つのダブルス・タイトルのうち4つはロペスとのペアで勝ち獲ったものだった。
ロペスは今年の全仏オープン男子ダブルスで、フェリシアーノ・ロペス(スペイン)とペアを組んで、初のグランドスラム・ダブルスのタイトルを獲得していた。兄弟でもなければ親戚関係もないといえ、マルク&フェリシーアノのロペス/ロペスは、アメリカのボブ&マイク・ブライアン兄弟を倒して栄冠をものにしていた。
この五輪決勝で対戦したルーマニア・ペアは第3セットでロペスのサービスをブレークして4-3とリードし、優位に立ったかに見えた。そのゲームではロペスがダブルフォールトをおかし、スコアは0-40に。それからロペスの打った甘いロブをテカウがミドルボレーで叩き、その返球をナダルがネットにかけた。
しかし、次のゲームでスペイン・ペアはメルギアのサービスをただちにブレークする。ふたりでベースラインに下がり、チャンスを見て前に行くという策をとっていたスペイン・ペアは、このときも下がって主にストロークで粘る作戦により、相手のミスを誘発。メルギアがフォアハンドをアウトして30-40とブレークポイントを与えると、次のポイントでもやはりメルギアがボレーをネットにかけてナダル/ロペスが4-4と追いついたのである。
ナダルが競り合いの末にサービスをキープして5-4としたあと、スペイン・ペアはメルギアのスマッシュミスで3度目のマッチポイントをものにし、ふたたびブレークすることに成功した。
勝利が決まった瞬間、揃ってベースライン近くにいたナダルとロペスは手からラケットを落としてコートに倒れると、少しの間ふたりで寝そべったまま勝利をかみしめた。そして起き上がり、対戦相手、主審と握手したあと、満面の笑みで抱き合ったのだった。(C)AP