2日間に渡って行われる全日本学生選手権(インカレ)個人戦。早大からは12組が出場し、長尾景陽(社4=岡山理大付)・松本倫旺(スポ4=熊本・済々黌)組が見事優勝。また水木瑠(スポ1=宮城・東北)・白井雅之(社4=鹿児島商)組がベスト4、福…

 
 2日間に渡って行われる全日本学生選手権(インカレ)個人戦。早大からは12組が出場し、長尾景陽(社4=岡山理大付)・松本倫旺(スポ4=熊本・済々黌)組が見事優勝。また水木瑠(スポ1=宮城・東北)・白井雅之(社4=鹿児島商)組がベスト4、福井達輝(先理3=香川・丸亀)・田嶋皓介(社4=長崎・西陵)組、山根稔平(社2=奈良・高田商)・岩本修汰(社4=大阪・上宮)組がベスト8と早大勢は大いに活躍を遂げた。


1年生ながらもベスト4に輝いた水木

 「早稲田ばっかりじゃん」。観戦していた他大の選手はコートを眺めこうつぶやいた。ベスト16を決める5回戦の時点で、早大は7ペアが残っていたのだ。6回戦からは勝ち上がってきた早大ペアによる同士討ちが行われる。ここで優勝候補であった内本隆文主将(スポ4=大阪・上宮)・因京将(スポ4=石川・能登)組を水木・白井組がゲームカウント5-4で下す結果に。白井の冴えたボレーが決め手であった。また、準々決勝では同じく髙橋圭介(基理4=埼玉・松山)・奥村健太郎(基理4=茨城・竜ケ崎第一)組との同士討ちを制した福井・田嶋組と対戦。「向こうの方がペアとして上だったなと痛感しました」(田嶋)。水木が相手前衛への強襲ストロークで流れを引き寄せる。田嶋のミスが目立つようになり、最後は福井のダブルフォルトで試合終了。ゲームカウント5-2で水木・白井組が準決勝へと駒を進めた。一方、順調に勝ち上がり準々決勝へと進んだ山根・岩本組を待ち構えていたのは長尾・松本組であった。激しい打ち合いもあったが昨年2位のレギュラーペアはきっちりと実力差を見せつけ、ゲームカウント5-2で白星をあげる。こちらも準決勝へ挑むこととなった。

 水木・白井組の準決勝の相手は中平慎吾・米澤要(明大)組。下してきた仲間の分まで頑張りたいところであったが、団体戦で3番を務める強敵を前に、終始ペースを持っていかれてしまう。「勢いに押されて、最終的にこちらが全て受けの態勢ばかり取ってしまいました」(白井)。相手の鋭い球に対応しきれず、ゲームカウント1-5で無念の敗退となった。長尾・松本組は関大の阪本崚・飯田修三組と対戦。「どうやって阪本の球を抑えるかというところでした」と松本が話すように、阪本のあまりにも強烈なサーブやストロークが長尾・松本組を襲う。6ゲーム目を終えゲームカウントは2-4。押される展開であったが、ここから二人は粘りを見せる。長尾が左右に振られても松本がそれをボレーでカバー。ポジションを意識し、相手の動きを抑えていった。ファイナルでは長尾のサービスエースも決まり、5-4で逆転勝ち。残すは決勝のみとなった。


抱き合う長尾・松本ペア

 会場にいるほとんど全ての選手が見守る中、決勝戦が始まった。それまではやや曇り気味だった空も、太陽を見せコートを照らす。相手は水木・白井組を退けた中平・米澤組である。決勝であるにもかかわらず、長尾・松本は安定した強さを見せた。松本のバックハンドボレーや長尾のツイストが光り、終始リードを許さない。最後は長尾がストレートにパッシングショットを決め、ゲームカウント5-1で圧勝。試合終了直後、コートには笑顔で抱き合う長尾・松本の姿があった。ペアを組んで3年目、ようやく手にした賜杯であった。

 今回の個人戦では、多くの選手が成績を残した。長尾・松本の優勝はもちろん、福井・田嶋は初めてのベスト8。髙橋・奥村の理系ペアは2年連続のベスト16となった。それぞれの選手が団体戦優勝の流れを継いで、個人戦の舞台でも躍動している。理想的なかたちでインカレ個人戦は幕を閉じた。


優勝した長尾・松本ペア

(記事 今山和々子、写真 山浦菜緒、今山和々子)

結果

優勝 長尾・松本組

3位 水木・白井組

ベスト8 山根・岩本組

ベスト8 福井・田嶋組


コメント

長尾景陽(社4=岡山理大付)・松本倫旺(スポ4=熊本・済々黌)組

――優勝した率直なお気持ちを聞かせてください

松本 本当にやっととれました。素直に嬉しいです。

長尾 ようやく取れて本当にうれしいです。

――準々決勝の山根・岩本ペアとの対決を振り返っていかがですか

松本 やりづらさはありましたね。いつもやっているメンツですが、場所が違ったので感覚も違いました。それでも僕たちのプレーを今更変えることはないので、それを気にせずに試合をしました。

長尾 本当にいつもやっている相手なのでやりづらかったです
でも、ショートボール入れたりなどいつもと違うこともやって工夫などしました。。

――準決勝を振り返っていかがですか

松本 どうやって阪本の球を抑えるかっていうところでしたね。(阪本に)好き勝手打たせたら、えぐい球打つので、速い球を打てなくするようにポジションをとるってことだけは考えてやってました。そしたら相手もファイナルに入る前のゲームとかそれを気にしてミスしてくれてたので、うまくいったと思います。

長尾 ずっとリードされていて、最後のファイナルも相手に先行されてたんですけど、ただ打ち合うだけじゃ勝てないと思ってたので、緩急をつけて相手後衛を崩していけるか、前衛もいかにひっかからないように配球していくかなど考えてやってました。

――決勝戦はいかがでしたか

松本 団体の決勝でも戦った相手ですし、それ以外にも何回もやっている相手なので、だいたいどうやってくるかはわかっていました。特に気にしたことはなくて、自分たちのプレーをしてたらうまくハマりました。

長尾 相手前衛がすぐ先に仕掛けてくる前衛なのでそこをいかに止められるかを考えてました。何本かとられてしまったのですが、とられたあともそのあとどうするかってことを考えました。ゲームをリードした後も絶対に相手が仕掛けてくると思ってたので、割り切ってやりました。

――4年間振り返ってどうですか

松本 徐々にちゃんと成績もあがってきてちゃんと部活を出来ていたんじゃないかなと思います。成長を感じれた4年間でした。

長尾 一年生のきつい時期を乗り越えて、結果を残せて4年間本当に良かった思います。

――天皇杯での目標をお願いします

松本 去年の成績を越えるように頑張ります。

長尾 同じです!

水木瑠(スポ1=宮城・東北)・白井雅之(社4=鹿児島商) 組

――主将ペアとの対戦を振り返っていかがでしたか

水木  強い相手と分かっていたので、向かっていきました。

白井 水木も言っているのですが、強いペアなのでとりあえず向かっていきました。

――準々決勝の福井・田嶋組との対戦はいかがでしたか

水木  準々決勝も早稲田の先輩なので、校内戦でよく試合はしていました。練習通りを心がけて試合に入りました。

白井 2試合連続で同校同士でした。しっかりとした公式戦だったのでいつも以上に気持ちを入れてプレーすることができたと思います。

――では準決勝を振り返っていただけますか

水木  元から強い相手だと知っていたので、入りから攻めていこうと思っていたのですが、それ以上に相手の勢いが止まらなくて、やっぱり改めて強いなと思いました。

山本  僕も一緒です。強い相手なので入りをしっかりしていつも通りプレーをしようと思っていたのですが、相手の勢いに押されて最終的にこっちが全て受けの態勢ばかり取ってしまいました。これからの試合があと少しあるので、ああいう格上の相手とやっていても最初から自分たちの流れを作れるように良いプレーができたらなと思います。

――白井選手は最後のインカレとなりました。総括していただけますか

白井 団体戦のときからまずは団体を取ろうと全員で頑張ってきたので、その団体が取れていい流れのままダブルスをむかえることができてよかったと思います。

田嶋皓介(社4=長崎・西陵)

――髙橋・奥村ペアとの戦いを振り返っていただけますか

 3-1のリードから1ゲーム目を取れなくて、結局そのままずるずる落として(ゲームカウント)0-3になって時に半ばあきらめてました。でもそこから4ゲーム目福井のテンポになり初めて、3-2になったころから「自分の好き勝手やっていいですか」と言っていて、それがはまっていたので「好きにやっていいよ」ということで、福井に頼って好きにやらせました。

――準々決勝の水木・白井ペアとの対戦を振替っていただけますか

 校内戦でも勝ったことがなかったんですけど、髙橋・奥村に勝ったということでなんとなくいけるかなという感覚はありました。サーブゲームを取れて2-1リードまでいったのですが、結局向こうのサービスゲームを取れませんでした。カットサーブがネックだったなとは振り返ってみて思います。そこを取り切れる強さがあればベスト4もあったのではないかなと思うのですが、でもまあ向こうの方がペアとして上だったなと痛感しました。

――初めてのベスト8です。お気持ちはいかがですか

 正直ドロー運が良かったなというのはあります。当たる予定だったシードがどんどん負けていった中で勝ち上がれたのはポジティブに僕らの強さだったのかなと。取りこぼしがなかったから別サイドまでいけたのかなと思います。

――最後のインカレでした。振り返ってみていかがですか

 やっぱり団体戦が全員4年生だったということで、そこで優勝できたということは同じ4年生が頑張ったということで感化されましたし、個人戦を見ても4年は勝ち上がるんだろうなと思っていたので、そこで自分だけ遅れを取るのは悔しいなとずっと思っていました。最後ベスト8という結果を残せたのは本当に嬉しいです。

――最後に、天皇杯に向けてお願いします

 高校の頃からずっと出たいと思っていました。出るのであれば最後ですし、楽しんで試合をできたらなと思います。

髙橋圭介(基理4=埼玉・松山)・奥村健太郎(基理4=茨城・竜ケ崎第一)組

――鈴木・根本ペア(明大)との試合を振り返っていかがですか

髙橋 序盤、良い展開でやっていてゲームカウント1-1になってゲームカウント2-1になった瞬間に相手のペースになり、相手の気持ちが緩んだのを見逃しませんでした。最後なので割り切っていこうと楽しんでやっていたら上手くいったので良いテニスが出来たと思います。

奥村 相手が強くて、序盤、中盤、終盤と隙が無いテニスをしてきたので、「圭介(高橋)頼む」という感じでやってました。

――ベスト8をかけた福井・田嶋ペアとの対戦を振り返っていかがですか、ゲームカウント3-0から一気にとられてしまいました

髙橋 勝ちを意識しすぎました。僕がちょっと福井に球を預けすぎちゃったのもあって攻めきれなかったのが敗因ですね、悔いは残ります。

奥村 大事な場面での僕のボレーミスが目立った試合だったと思います。

――3年間ペアを組まれてお互いの印象などありますか

髙橋 喧嘩も一度もしたことがなくてとても仲が良く、こんなペアは僕も初めてでした。とりあえずお互いプレーもここで出るなとか指示しなくてもわかりあえるところがあったので、最後はそういうところが強さになりましたね。

奥村 学部も同じで一年生のときから、入学式も最初友達がいなくて一緒に二人でずっと行動してたくらい仲良くやっていたのでもうペアを超えて夫婦みたいな関係ですね(笑)

――4年生最後のインカレ振り返っていかがですか

髙橋 一年目も感動したんですけど、僕たちの代で取って、しかもこういう状況で王者奪還も出来て、4年間で1番いい試合が出来てうれしかったです。

奥村 今までのチームは出ている選手が強くて、優勝したときはうれしい気持ちと同時に、どっかで優勝するだろうなって気持ちで見ていたのですが、今回はチーム状況も厳しいものもある上に去年負けたということもあって4年生全員で話し合ってチームをつくってきたという意識があったので喜びは格別でした。

――天皇杯の目標をお願いします

髙橋 去年は初戦で負けているので初戦突破が目標ですね。

奥村 初戦突破が目標です!