文=佐保めぐみ 写真=野口岳彦、B.LEAGUE

シェーファー・アヴィ幸樹はすでに熾烈なサバイバルを勝ち抜いてきた。2年前のU19ワールドカップで『発掘』されたシェーファーは、当時バスケ歴3年半。体格は良くても基礎的なスキルの習得にも苦労する19歳だったが、そこから急成長を続けている。これまでも代表合宿で彼の姿はたびたび見かけた。代表候補には入っていない練習生という立場で合宿に加わり、日本代表のビッグマンとマッチアップしていたのだ。「僕にとってはすごい経験で、毎回ボコボコにされますけど、気づけばどんどんうまくなっているから楽しくてたまらない」と笑顔で語っていた彼は、そんな経験を重ねて日本のトップ16人にまで上ってきた。今では自信も口にするようになったシェーファーは、日本の『秘密兵器』になれるだろうか。

「ファストブレイクで常に先頭を走るのが僕の特長」

──これまでも代表には呼ばれていましたが、ジョーンズカップやアジア競技大会などB代表の立場でした。そこから今の16名に生き残ったわけですが、『勝ち取った』感覚はありますか?

去年もワールドカップ予選の候補には呼ばれていたんですけど、まだ合宿の途中でどちらかと言えば練習生の立場で、戦力としては見てもらえていないという感覚でした。それが今ではちゃんと戦力に入っている、その位置まで来たという意味では確かに勝ち取ったのかもしれません。

今年のジョーンズカップでは結果的にチームが3位に入賞し、それも結構大きなことだと思います。その中でずっとスタメンで使ってもらえたのは自信にも繋がったし、僕にとってはすごく良い大会でした。

──日本代表はサイズアップを推し進めています。その中でビッグマンには機動力だったりシュート力だったり、新しいスタイルが求められています。

トップレベルの国を見ればガードからみんな身長が大きくて動ける選手が主流です。NBAでもビッグマンが3ポイントシュートを打てるのが当たり前になっていて、そういう意味ではポジションレスが進んでいます。日本もポジションアップして身長を上げていくのは良い試みですし、それをB代表でやれたことは将来を考えてもすごく良いことだと思います。

その中でも身体の強さ、外国人選手を相手にしても当たり負けしない身体が僕の持ち味です。あとはとにかく走ること。ビッグマンの中では走れる、ファストブレイクで常に先頭を走るのが僕の特長です。無駄なことは考えずに自分の特長を出すことに集中する。そうしてチームに貢献できることを示すことができたらワールドカップの12人にも選ばれると思っているので、そこを頑張ろうと思っています。

「追いかける背中が常に前にあるのは良いことです」

──このオフには代表以外にも話題がありました。アルバルク東京から滋賀レイクスターズへのレンタル移籍です。これはプレータイムを求めてのものですか?

そうですね。ジョーンズカップで試合に出て、プレーするにつれて試合勘をつかんできて身体も動くようになりました。そういう意味で、とにかく試合に出ないとダメだとあらためて認識したんです。ジョーンズカップの前から滋賀からオファーをもらっていて迷っていたんですけど、ジョーンズカップの経験で決断したというのはあります。

──アメリカの大学を休学して日本に戻り、Bリーグでプロ選手になったのは、東京オリンピック出場を実現するためだと以前に聞きました。その思いはどう変化していますか?

前よりも現実的な目標になってきていると思います。そういう意味ではすごく自信もありますし、目標に向かって頑張ることができます。オリンピックの前にこのワールドカップでメンバーに残ったらオリンピックにもさらに近づくことになるので、そういう意味で今回のワールドカップは大きいなと思っていて。日本に帰って来て、プロになって初めての代表でもあるので、すごく思い入れは強いです。まずは目先のワールドカップに入るのが目標です。

──今はアピールに必死だと思いますが、メンバーに選ばれてワールドカップに出場すると想定して、自分はこんなプレーでチームに貢献する、というイメージはありますか?

僕の立場としてはそんなにプレータイムはもらえないかもしれないですけど、とにかくコートに立ったらできる限りのことをするつもりです。チーム云々よりも自分ができることに集中する。それがチームの勝利に繋がればと思っています。

──八村塁選手は同い年で、U19ワールドカップで一緒にプレーして、アメリカの大学に行くという共通点があります。今も八村選手の存在は刺激になっていますか。

塁とは歳も一緒だし、U19でずっとやっていて、縁もあってアメリカでやっている間もずっと連絡を取っていました。良い目標というか、すぐ横にそういう選手がいるのは僕にとっては大きいです。僕はバスケを始めたのが遅い分だけ成長が早くて、みんなに追いついてやるという気持ちなのですが、塁はどんどん先に行っちゃって(笑)。NBAでドラフトにかかるぐらいなので、だいぶ先に行っちゃってるんですけど、追いかける背中が常に前にあるのは良いことです。

塁はアメリカで頑張っていて、僕は日本に戻って頑張って、それでどこかのタイミングで日本代表でまた一緒になる、そのタイミングで少しでも塁との差を詰めることが僕にとっては毎年の一つのステップです。競争相手に不足なしですから、そういう意味では塁の存在は大きいです。