文=鈴木栄一 写真=野口岳彦 取材協力=UNDER ARMOUR

バスケットボールのワールドカップ開幕まであと1カ月を切った。この大会に向けた日本代表候補の16名において、アジア予選に全く出場していないにもかかわらず選出された数少ない選手の一人が安藤誓哉だ。富樫勇樹の故障離脱、田中大貴のボールハンドラーとしての機会増加など、代表のポイントガードに大きな変化が起ころうとしている今、アルバルク東京で不動の先発ポイントガードとしてBリーグ連覇を達成し、文句なしの実績を残す安藤に、久しぶりとなる代表復帰への思いを聞いた。

「コンディションはまだまだ上げられる感じです」

──まず、今回の代表候補入りについての感想を教えてください。安藤選手はフリオ・ラマス体制の当初こそ合宿に呼ばれていましたが、アジア予選では招集されませんでした。

代表に呼ばれない時期は悔しかったです。ワールドカップとオリンピックに出たいという気持ちはずっと持ち続けていました。それだけに、ジョーンズカップ前の合宿から大会を経て、こうやって候補に選ばれたのはうれしいです。今は「よし、ここからもう1回」という気持ちです。

代表から離れていた時は、Bリーグの戦いに集中して臨んでいました。だから、長い間外れていたとかは思わなかったです。最初に呼ばれた時は、「時が来た」という感じでした。

──若手中心のメンバーで臨んだジョーンズカップでは、どのようなモチベーションで臨んでいましたか。

ここで活躍すればフル代表に繋がるとは思っていたので、「やってやろう」という感じでした。合宿からアシスタントコーチのエルマン(マンドーレ)と1カ月間過ごし、フル代表とほぼ一緒のバスケットボールをジョーンズカップという国際大会でやれたのは非常に良い経験になりました。その流れで今も良い練習ができていると思います。ジョーンズカップに出ていた分、他の選手よりも活動期間は長いですが、コンディションはまだまだ上げられる感じです。そこはタフに行きたいです。

──代表に呼ばれなかった時期と今、自分自身で成長を感じる部分はありますか。

ルカ(パヴィチェヴィッチ)ヘッドコーチにポイントガードのマインドを2年間教わってきたことで、基本から違っています。やっぱり、オフェンス、ディフェンスともソリッドなプレーがよりできるようになっている。決められたルールをしっかり遂行している中でも、いかに自分のインスピレーションを出していけるか。それが一番身に着きました。

またルカのバスケットは、ある程度みんなそれぞれ役割が決まっていて、相手も自分たちが何をやってくるのか分かっています。それを分からせた上で、どう裏を突くか。相手が裏を警戒したら、表を突く。そういった駆け引きの面でも成長できるようになりました。

「まずは国際強化試合でアピールすることです」

──代表候補16名の多くが代表の常連メンバーです。その状況に対して自分は追いかける立場との認識なのか、そこはあまり意識していないか、どちらですか。

予選を戦ってきている選手たちは、ラマスヘッドコーチのバスケットの理解度では自分より上であり、そこはもちろんリスペクトしています。ですけど、自分はメンバーに入るか入らないかの瀬戸際なので、他の選手に遠慮をしていたらダメですし、横一線だと思って練習しています。

ありきたりですが、今は日々の練習から力を出し切っていきたい。それだけです。やっぱりアピールではないですが、普段から力を発揮できないと評価に繋がっていかないと思っています。まずは国際強化試合でプレータイムを獲得して結果を残すことです。

──今、ポイントガードは富樫選手の離脱から、田中大貴選手の起用も含めて流動的です。所属チームで普段から司令塔を務めているのは安藤選手と篠山竜青選手だけになります。そこは本職として負けられない、といった考えはありますか。

その部分についてはチームのそれぞれの戦術があるので、特に意識することはありません。ただ、今までルカと一緒にやってきたことを代表でもしっかり出せれば、自然と結果もついてくる。その自信はあります。

「世界の強豪国と戦って、それを財産にしたい」

──では、今の16名の中でも安藤選手ならではの特長として、どういった部分をアピールしていきたいですか。

ディフェンスではリバウンド。そこは結構スタッツにも表れていると思います。オフェンスでは、ボールプッシュとピック&ロールになります。あとは得点能力の高い選手がたくさんいる中で、しっかりオープンショットを決めていくことだと思っています。

──最後にワールドカップへの思いを教えてください。

ワールドカップは何回も出られる大会ではないので、このチャンスを絶対にモノにしたいです。世界の強豪国と戦って、それを財産にして、自分のキャリアをさらに伸ばしていきたい。そして一つの大きな挑戦というところですごく楽しみです。