栃木・丸和オーランド那須で全日本学生ダートトライアル選手権が行われた。男子団体の部では4位と惜しくも表彰台を逃す結果となったものの、鷹尾一成(先理3=神奈川・桐蔭学園中教校)は個人の部で2位に、女子の部に出場した城越明日香(商4=福井・藤…

 栃木・丸和オーランド那須で全日本学生ダートトライアル選手権が行われた。男子団体の部では4位と惜しくも表彰台を逃す結果となったものの、鷹尾一成(先理3=神奈川・桐蔭学園中教校)は個人の部で2位に、女子の部に出場した城越明日香(商4=福井・藤島)が個人優勝に輝いた。

 一日中強い日差しが照り付ける中レースは行われた。また、2週間前に車の横転で車両が一部損傷し整備はできたものの、不安が残る中でのレースであった。男子団体の部で早大から先陣を切ったのは渡邉道理(基理2=富山・片山学園)。砂利がはけていない状態でのスタートだったため、カーブ地点でスローダウンが見られた。タイムは1分51秒14と午前のレース終了時点で31番手となり、優勝争いから後れを取る展開に。続く2走目の緑川壹丸(基理3=東京。早実)は1分45秒51と好タイムをマーク。そして3走目の鷹尾は1分44秒51を記録。午前は団体順位を3位で終えた。


アクセル全開で直線を駆け抜ける鷹尾

 そして午後。このまま順調にタイムを伸ばせば優勝を狙える。だが順位を落とす展開となる。1走目の渡邉は1分46秒74と午前のタイムから5秒近く上げ、2走目の緑川は1分42秒35と自身のダートベストタイムをたたき出すものの、順位は7位に。「ここで順位を変えられるのは自分しかいない」と最終走者の鷹尾。ここでエースの意地を見せる。午前とは打って変わり序盤から攻めるレース展開となった。本来スピードが落ちてしまうようなカーブ地点も、速度を落とさずスマートに決めた。タイムは1分38秒38。午前から約6秒もタイムを上げ、エースの気迫を感じさせる走りを見せた。その奮闘の結果団体4位に。順位を引き上げたものの、表彰台にはあと一歩届かなかった。

 一方、女子の部には城越が出場した。タイムを伸ばすために練習の際は、早大や千葉工業大のOBの方に積極的に助手席に乗ってもらい指導を受けていたという。「男子の入賞タイムを狙う、早稲田の第3走者(渡邉)を倒すことを目標にしてきました」と話した城越。その言葉の通り、午前は1分52秒14、午後は1分45秒62と男子の部の中でもトップクラスのタイムをたたき出し圧勝した。どこまでも記録にこだわり努力し続ける姿勢が男子顔負けの好タイムへと導いた。


砂を巻き上げてS字カーブを走行する城越

 優勝を狙っていたものの、表彰台を逃し悔しさが残った男子団体。対照的に男子トップクラスのタイムを出し、成長し続ける城越。城越は表彰式の際に「私よりもタイムが劣っていた男子の皆さん、私に負けないように頑張ってください」とコメントした。この言葉は他大はもちろん、特に早大男子部員の刺激になったであろう。この喝が糧となり、次の全日本学生ジムカーナ選手権で一層成長できた早大が見られることを期待したい。もう一度男女アベック優勝へ――。

(記事 西山綾乃、写真 栗林真子、永池隼人)


2台の部車とともに賞状やトロフィーを掲げる早大自動車部

結果

▽男子団体の部

4位 早大 5分07秒97

▽男子個人の部

2位 鷹尾 1分38秒88(2回目)
   綠川 1分42秒35(2回目)
   渡邉 1分46秒74(2回目)

▽女子個人の部

優勝 城越 1分45秒62(2回目)



大沼がトップに輝き、女子団体の部で優勝!男子は団体7位と課題残る/全関東学生ジムカーナ選手権(6/02)

コメント

鷹尾一成(先理3=神奈川・桐蔭学園中教校)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

きょうの結果から言いますと、団体が4位で個人が2位でした。自分の置かれている状況から考えると、全日本で2位ということは、負けた相手が全関で僕が負かした相手だったので、そこで負けてしまったというのは自分のコンディションが整っていなかったというのもありました。自分のコンディションを考えると、今の自分にできることはすべてやったのかなと思います。ですけど、団体が4位ということでまだ同期の二人もタイムにばらつきがあったりするのでそこは3人合わせて良いタイムが出せるチームができるように来年1年頑張っていきたいなと思います。

――レースプランと実際どのようなレースになったかを教えてください

レースプランは全関東の時に2位と2秒差をつけてぶっちぎりで午前を終えて、午後は直前に自分のタイムが抜かれてもそのまま抜き返して逆転優勝しました。個人のプランとしてはそのパターンで全日本も行こうとしていたんですけど、2週間前の練習会で車を横転させてしまっていて、結構な大クラッシュでした。車は軽傷で重整備にはならなかったんですけど。そういうことがあったので一本目はタイムが振るわず、4位になってしまいました。1位と3~4秒差をつけられる逆の立場になってしまって、横転のせいで走れなくなってスランプみたいになってしまいました。横転が起こった時のモーションに入るとどうしても体がビビってしまっていて。それを何とか打開しないと午後は走れなくなると思いました。午後はそれを打開することが出来たので個人で2位という結果になったのではないかと思います。

――具体的なレースの前後半での戦略を教えてください

午前のプランとしては、自分で昨日の練習の時にいつもの走りができないなと思っていたので、気持ちを切り替えて試合だからアドレナリンを出してもっと責めた走りをしようと思っていました。ですが気づいてみれば、がちがちに緊張した走りになってしまっていたので、そこは1本目のレースプランとは違いました。2本目はそれを軌道修正した走りになりました。実際は1本目から攻める走りをしようと思っていたのですが、2本目から攻める形になってしまいました。

――レース前とレース中に苦労した点をそれぞれ教えてください

この時期になると下級生がかなり戦力になって自分は車両を作る係なんですが、それを全部後輩に任せられて走ることだけに集中できたし、緊張もしていなかったのですごくいいコンディションで車に乗り込むことができました。走っている間は緊張はしていないんですけど、自分のどこかで脳内リミッターがかかってしまっていつもだったらアクセル全開で行くところを50%くらいの力しか出せませんでした。それが1本目は知っている時にすごくもどかしかったです。

――個人のタイムと順位についてどのように受け止められていますか

全関東で優勝した時には全日本もこのままいけば優勝できるなと思っていてあとは男体のことだけ考えておけばいいと思っていた矢先に、自分が車を壊してしまってエースという立場なのに不調に陥ってしまったので、チームのことを気に留めながら自分の走りにも不安が残る形となってしまいました。自分ができることはやった結果となったのかなと思います。だからエースとしての仕事はできたのかなと思っているので、それを真摯に受け止めて次の全日本ジムカーナや来年のこの大会はテッペンを取るんだという気持ちになったので、今回はいい喝になったのではないかと思います。

――途中まで団体7位でしたが、鷹尾さんが走ったことで4位に上がりましたね

前の二人が走って7位ということで、自分しかこの順位を変えられないと思いました。追われる立場だったら「団体で優勝させるために」と思っていたんですけど、今回は団体のことを考えないで、自分がベストを尽くせば団体もベストな結果になると気持ちを切り替えて走ったので、それ以外のことは何も考えていませんでしたね。

――全日本ジムカーナに向けて意気込みをお願いします

全日本ジムカーナが開かれる鈴鹿では今まで走ったことがないのですが、ジムカーナはダートと同じくらい得意としている種目なので、全関東とジムカーナのときは車があまり本調子ではなかったということで、自分の実力通りの結果を出すことができませんでしたが、この長い期間を使って車をちゃんと仕上げてきたので自分の実力の120%を出して団体も個人も優勝して全日総合杯へと一コマ進めようかなと思っています。

綠川壹丸(基理3=東京・早実)

――きょうの試合全体を振り返ってみていかがですか

個人としては13位であまりいい結果ではなかったんですけど、これが自分の実力かなと知るきっかけにはなりました。

――1本目と2本目はどのようなプランで臨まれましたか

1本目で全体の流れみたいなもの、路面の状況とか自分のコンディションを確かめて、2本目でタイムを残すという感じでした。2本目で1位のタイムはだせるように走りたいなと思っていました。

――実際に走ってみていかがでしたか

1本目で今まで練習で走っていたところはうまくいったんですけど、きょう新しく走ったところとかはうまくいかなくて、その部分を2本目で修正できればなと思っていたんですけど、2本目もまた別のところを失敗してしまったので、全体としては満足のいく走りができませんでした。

――逆にレース中にうまくいった点というものはありますか

最初のS字コーナーは練習でよく走っていたのでうまく走れました。

――2本目でタイム更新となりましたが、その点についてはいかがですか

高速コーナーから急に低速コーナーに入るすごくきついコーナーがあって、1本目はそこでオーバースピードで突っ込んで外側に出てしまったせいでストレートで行けなかったんですけど、2本目はそこをうまく修正できたのでそこが一番タイムアップに繋がったと思います。

――次の全日本ジムカーナにむけて一言お願いします

去年も出場しているので、最低でも入賞できるようにしたいです。今まで公式戦は全関東フィギュアでしかいい記録が残せていないので、スピード競技としての最後のジムカーナでは表彰台を目指して頑張りたいと思います。

渡邉道理(基理3=富山・片山学園)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

自分の全力を出し切れていなかったと思っていて。自分がもし全力を出し切れていたら、団体優勝も決して夢ではないところなので、その点ですごく悔しいと思っています。

――きょうのレースプランを教えてください

練習の段階では他大学の速い人と比べてもそんなに自分のタイムが落ちているという訳ではなかったので、自分の走りを安定してできれば、自分が入賞するとは限らなくても団体で自分が(チームの)役に立って、団体を優勝に導けるとは考えていました。

――今大会に臨むにあたって、レース前とレース中に苦労したことはありますか

レース前としてはとにかく暑さですね。それが辛かったです。レース中としては、自分は1走目であんまり砂利がはけていない状態でスタートするんですけれど、やっぱり最初の方なので砂利が多くて。どれぐらい砂利が載っているのかは走り始めてから分かるので、その点で思っていた以上に(砂利が)載っていて、思うように走り切れなかったです。

――レース中の反省点はありますか

少し焦っていたところがありまして、高速の直線からブレーキを踏んで速度を落として曲がるという所があったのですが、1本目も2本目もそこでブレーキを思い切り踏んでしまって、少し制御が効かなくなってしまったという点でたいぶロスをしてしまったので、そこを慎重に行けていたらもっといい結果が残せたんじゃないかなと思います。

――きょうのレースでの収穫はありますか

自分の弱点としてブレーキが下手だと思いました(笑)。そこをしっかりとこれから詰めていきたいと思います。

――男子団体は4位となりましたが、この結果についてはいかがですか

正直言って、優勝を目指せる位置にいたのですごく悔しいです。ですがダート、ジムカーナ、フィギュアの三競技で競う全日本総合杯を目指していける位置ではあると思います。

――9月に控える全日本学生ジムカーナ選手権へ向けての意気込みをお願いします

今回は選手でしたが、他の部員と違って唯一スピード競技で選手をやったけど、次は選手ではないという人員なので、選手目線で選手が気負わないように、心のサポートとかを行なっていけたらいいなと思います。

城越明日香(商4=福井・藤島)

――きょうのレースを振り返っていかがですか

4年生で最後のダートということで、3つの競技の中で一番好きな競技なので、すごく思い入れのある感慨深い大会でした。

――どのように調整をされてきましたか

全関東の時点でほぼ全日本でも勝てることはわかっていたので、女子の中で勝つという目標ではなく、男子の入賞タイムを狙う、早稲田の第3走者を倒すことを目標にしてきました。それのためにターゲットタイムを早稲田の第3走者に決めて、毎回練習していました。

――レースプランとしてはやはり攻めた走りを意識していましたか

自分の限界値まできていると感じていたので、そこからどうするのかという中で早稲田や千葉工大のOBの方に積極的に横に乗ってもらって、ここからどうさらに伸ばしていくのか、無駄を無くしくどれだれ丁寧に走れるかということを意識して走りました。

――この時期に無駄を無くすことはむずかしいですが苦労しましたか

いや、思ったよりも走るごとにタイムが伸びていって、ある意味まだ成長段階なんだなと。まだ競技を続けたいなという気持ちが若干芽生えてきました。

――コースの印象を教えてください

前日練習は丸和の基本に乗っ取ったコースで、きょうもそれの派生したものだったので、ある意味予想通りでした。普段通らない道はありましたが、基本に乗っ取って落ち着いてやれば大丈夫だと思っていました。

――1本目走ってみていかがでしたか

3つ大きなミスをやらかしていて。土手に乗っかってしまったり、シフトミスをして加速できなかったりしていました。ですがそれでも早稲田の3走目の1秒落ちだったので。ギアが入らないという実力ではないところでミスをしてしまったことは悔しかったので、それを午後どう修正するかという感じでした。

――2本目はけっこう攻めていた印象がありました

最後の丸和ということで。また今年で丸和がコース改修されるので、本来の丸和ではなくなるんですね。来年以降全く違う丸和になってしまうので、この丸和を走ることも最後でした。OBの方から思い切り楽しんでこいと言われたので、それなら横転させるくらい楽しんでやろうと思い切ってスタートから攻めることができました(笑)。

――1、2本目通じてうまくいったところはありましたか

最初にS字が五連くらい続くのですが、そこで乗り上げるくらい攻めることができて。今までのS字で一番攻められたと思います。

――圧倒的な強さで、男子の中でもトップクラスのタイムでしたね

まだ発展途上ということもあり、自分がここまで走れると思っていなかったので、自分がうまいとまだ思っていないし、もっともっと速く走りたいという気持ちがあるので、ダートは奥が深いなと思いました。

――最後の丸和で優勝。改めてこの結果について感想を教えてください

ダートという一番楽しくて好きな競技で、去年取れなかった全日本を今年取れたということはすごく感慨深いことですが、まだ鈴鹿も終わってないですし、フィギュアもあるので、気を抜かずに全日本総合杯を総なめにしていきたいと思います。

――車をつくってくれた整備の方への思いを教えてください

(男子含めて)2台つくるということで、仕事量が二倍ですし、乗る人が少ないのにそれでも一生懸命私や大沼のために整備をしてくれて本当に感謝しています。私で一旦女子が途切れることになりますが、今後もこの車を動かせる状態にして、常勝早稲田に向けてもっと強くなってほしいと思います。

――最後のスピード競技、鈴鹿が待っています

今度はインテグラに乗りますが、また男子をぶっちぎって、男女アベック優勝します。