文=丸山素行 写真=野口岳彦  取材協力=UNDER ARMOUR

7月30日、ワールドカップに臨む男子日本代表候補16名が発表された。富樫勇樹が代表合宿中に負傷し、ワールドカップ出場が絶望となったことで、正ポイントガードの座は空いている。普通であれば、アジア予選を通じてポイントガードの2番手を務めた篠山竜青が先発となるが、指揮官フリオ・ラマスは田中大貴のガード起用を示唆した。篠山の胸中やいかに。

「絶対的なポイントガードと認められていない」

──ワールドカップに向けた16名の代表候補に富樫選手が入りませんでした。ポイントガードは再び激しいチーム内競争が始まることになります。

一日一日が勝負だと思っています。僕自身、「これだ」というはっきりした武器がないタイプの選手なので、すべての面でコーチにアピールしていかないといけないと思っています。

──ラマスヘッドコーチは田中大貴選手や比江島慎選手のガード起用について言及していましたが、「そこは俺だろ」という気持ちはないですか?

そう思って燃える自分もいて、「大貴には負けない」という気持ちです。でも、そうした気持ちも大事ですけど、それはコートで出せばいいことなので胸に秘めておきます。先発なのかベンチなのか、どういう起用方法になるか分からないですけど、どんな形であれチームに貢献できるようにしていきたいです。

客観的に見ると田中、比江島、渡邊(雄太)、八村(塁)、ニック(ファジーカス)の5人がスタートかなと。そうすれば、4番までは全員スイッチで対応できるし、ポジションを壊してピック&ロールゲームにしていくとか、いろいろできるとも思います。

──サイズアップを進めている今、ある程度は仕方のないことだという認識ですか?

そうですね、自分が絶対的なポイントガードとコーチから認められていない、「富樫がいなかったら篠山で行こう」となっていないということなので。(ベンドラメ)礼生もいるし、ジョーンズカップでは安藤(誓哉)が結果を残してきました。僕もリオオリンピックは落ちて、その年のジョーンズカップで結果を残してA代表に滑り込んだことで今ここにいるので、アピールしていかないとと思っています。

「初戦のトルコ戦にとにかく注目してほしい」

──過去最強のメンバーが揃いましたが、ラマスヘッドコーチもヨーロッパ勢に勝ったことがないことを強調し、1勝することも簡単ではないとクギを刺しました。メディアやファンの中でも楽観的な見方をする人もいれば極めてシビアな見方をする人もいます。

メディアの人やファンに言いたいのは、「どうぞ好きに見てください」ということです。

サッカーもそうですけど、ワールドカップ前の親善試合で負けたらすごく叩かれるし、勝てば一気に手のひらを返します。「予選の勢いのまま行けるんじゃないか」という人もいれば、「いやいや世界はそんなに甘くないよ」って言う人もいると思います。盛り上がればいろいろな見方をする人が増えますし、バスケットがようやくそういった対象になってきたのかなと。

──では期待して見ることにします。どうしても自国開催のオリンピックがよく話題になりますが、やっている選手としては今はワールドカップしか見ていない感じでしょうか?

そうですね、初戦に集中しています。予選の時もそうですけど、ラマスさんのスタイルは1戦目しかスカウティングしません。1戦目用とか2戦目用とか同時進行はせず、初戦にすべてを懸けていました。だから合宿もトルコ戦のことしかやらないと思うし、予選リーグ全体を見てもトルコ戦が一番大事な試合になると思います。

予選で八村、渡邊が招集できず、メディアから国内組だけの戦いと報道されていた時に、ラマスからは「惑わされずに今の12人に集中してほしい」と言われました。ラマスの考え方も浸透していますし、皆さんに言えることは、初戦のトルコ戦にとにかく注目してほしいということです。