「多くの下部組織出身選手が、我々(トップチーム)に帯同してきた。久保は将来的には重要な選手になるだろうが、まだマドリ…
「多くの下部組織出身選手が、我々(トップチーム)に帯同してきた。久保は将来的には重要な選手になるだろうが、まだマドリードに来たばかり。スペインに戻ってから、彼と対話を図り、今後のことを決めたい」
7月31日のフェネルバフチェ戦後、レアル・マドリードのジネディーヌ・ジダン監督は記者会見で、日本代表FW久保建英についての所見を語っている。当面は、カスティージャでのプレーを示唆した。

フェネルバフチェ戦に73分から出場した久保建英(レアル・マドリード)
「まずは、カスティージャ(2部Bに在籍するセカンドチーム)での久保(の試合)を観察することになるだろう。トレーニングはトップで積みながら、どのように適応するのか。それを見極めるのがいいのではないか。久保はロドリゴ(・ゴエス)、ヴィニシウス(・ジュニオール)のようにとても若く、これからの選手。じっくりと向き合っていきたい」
指揮官の言葉は、なにより重い。久保の主戦場は、本当にカスティージャになるのか?
プレシーズン、久保はチーム内で最も評価を高めた選手と言えるだろう。
バイエルン、アトレティコ・マドリード、トッテナム・ホットスパー、そしてフェネルバフチェと各国の有力クラブを相手に、少しも物おじしなかった。少ない出場時間で、必ず存在感を示していた。低調なチームの中、ルーキーが力を発揮するのは簡単なことではない。
久保はうるさ型のスペインのファンや記者に認めさせた。たとえば、短い時間でもきわどいシュートを放っているのは、評価のポイントのひとつだろう。拮抗したレベルでは、そもそもシュートを打つのは容易でないが、それを軽々とやってのけた。
アトレティコ戦は左足のミドルを欧州屈指のGKヤン・オブラクにお見舞いし、得点の契機となっている。トッテナム戦も、相手をブラインドにする巧妙なシュートを左足で2本放ち(1本はDFの顔面に直撃)、フェネルバフチェ戦では、ドリブルから相手のタイミングをずらす右足ミドルでGKを慌てさせた。両足でのシュート精度の高さは、トップレベルでも際立っている。
ポジションとしては、4-3-3であれ、4-4-2であれ、右サイドのアタッカーが有力か。FC東京時代と同じく、右サイドでの左利きで、いわゆる”逆足”。中央に入りながら、左足でプレーする。巧みにコンビネーションを使い、決定的なドリブル、パス、シュートを繰り出す。特筆すべきはプレーメイキングもできるセンスで、ルカ・モドリッチとの連係は、すでにゴールの予感を生みつつある。
もちろん、マイナス材料も出た。センターライン付近で不用意にボールを失い、カウンターを浴びている。アトレティコ戦では、実際に失点につながった。ただ、改善の余地はあるにせよ、それ以上に敵に怖さを与えられる選手であることを証明している。
<一次試験を優秀な成績でパスした>
それがレアル・マドリードでの久保の7月だった。スペイン語を流ちょうに話し、コミュニケーションに問題がないのも大きい。他の日本人のようなストレスがなく、力を出し切れているのだ。
少なくとも、8月時点で「トップメンバー入り」の可能性を残した。これは特筆すべきことである。スペイン国内では、色眼鏡で見ていた人間も少なくなかったが、それを取り外させ、戦力として認識させた。
「ジダンは久保を(カスティージャに)”隠す”」
スペイン大手スポーツ紙、『as』はそう見出しを打っている。そこには、久保に対する期待と関心がありありと見える。
「マドリードのファンにとって、久保はプレシーズンの最高のニュース。どこでプレーすべきか、意見はたくさんあるだろう。しかしひとつはっきりしているのは、彼が一流ということだ」
スペイン最多部数を誇る『MARCA』も、その論調は絶賛に近い。Web版では「久保はどこでプレーすべきか? トップチーム・カスティージャ・1部のチームに貸し出し」というアンケートを行なった。32万件近い投票があり、53%がトップチームという答えだった。1部に貸し出しが37%で、カスティージャは10%。実力を承認されている証左だ。
レアル・マドリードは本拠地に戻って、8月7日にレッドブル・ザルツブルク、8月11日にローマと戦う。そして17日、リーグ開幕戦のアウェー、セルタ戦に照準を合わせる。メンバーが絞り込まれていくが、久保の入る余地がないわけではない。
そこは、ジダンも含みを持たせている。というのも、左利きアタッカーは、マルコ・アセンシオが膝のケガで来春まで復帰が絶望的だ。ガレス・ベイル、ハメス・ロドリゲスの2人は構想外。指揮官にとって、久保の序列は「ベンチに置きたい人材」にまで上がっているはずだが……。
ちなみにカスティージャの開幕戦は25日、アウェーのラス・ロサス戦となる。