「リオデジャネイロ五輪テニス競技」(8月6~14日/オリンピックテニスセンター:バーハ・オリンピック・パーク/ハードコート)の大会7日目、女子シングルス準決勝。 モニカ・プイグ(プエルトリコ)は、彼女の国の誰ひとりもが、一度も…

 「リオデジャネイロ五輪テニス競技」(8月6~14日/オリンピックテニスセンター:バーハ・オリンピック・パーク/ハードコート)の大会7日目、女子シングルス準決勝。

 モニカ・プイグ(プエルトリコ)は、彼女の国の誰ひとりもが、一度も果たしたことのないことを成し遂げようとして努めている。

 この土曜日にプイグは、すべての種目を合わせ、オリンピック史上初となるプエルトリコ人による金メダルを目指し、女子シングルス決勝を戦うことになった。

 準決勝で、2度ウィンブルドンで優勝しているペトラ・クビトバ(チェコ)を6-4 1-6 6-3で倒したプイグは、次の決勝でアンジェリック・ケルバー(ドイツ)と対戦することになった。

 ケルバーは、マディソン・キーズ(アメリカ)を6-3 7-5で下して決勝進出を決め、今年の全豪オープンに続くビッグタイトル獲得に意欲を燃やしている。

 ふたりは五輪の金メダルをかけて争う。世界34位のプイグはノーシードであり、決勝まであらゆる意味でのし上がってきた選手である。一方のケルバーは世界2位であり、優勝候補の役にしっくりとはまっているように見え始めた。

 22歳のプイグは、決勝の結果がなんであれ、すべての種目を合わせ、五輪でメダルを獲得した9人のプエルトリコ人アスリートのひとりとなるだろう。そして、もしケルバーを倒せば、彼女はプエルトリコ初の五輪金メダリストとなる。彼女は、このリオ五輪ですでに2回、グランドスラム大会優勝経験者を倒している。クビトバと、もうひとりは今年の全仏オープン覇者のガルビネ・ムグルッサ(スペイン)だ。

 ダークホースであるプイグの決勝への進撃は、プエルトリコにおける破壊的経済危機の最中に起こった。プイグは自分の勝利の意味を重々自覚している。

 「このオリンピックは、私個人がどうこうというものではない。プエルトリコに関わるものなのよ。国民がどれほどこれを欲しているかを私は知っている」とプイグ。「私の島(=プエルトリコ)は、いつも悪いニュースでいっぱいよ。島の誰かがメダルを獲れば、すべてが止まる。皆がそれでどれほど幸せになるかを私は知っているの」。

 アップダウンのある戦いの末にクビトバを6-4 1-6 6-3で倒したあと、プイグはうれしさのあまり飛び上がったが、彼女の“祝いのジャンプ”の滞空時間は、五輪トランポリンで得点を稼げるほどに見えた。

 彼女は自分より経験豊富なクビトバに対して、最初の3ゲームを落としたものの、そこから挽回して第1セットを奪取。そして第2セットをわずか1ゲームしか取れずに落としたあと、ふたたび体勢を立て直した。

 全仏優勝者のムグルッサを3回戦で、ウィンブルドン優勝者のクビトバを準決勝で倒したプイグだが、グランドスラム大会ではまだ準々決勝にすら進出したことがない。

 一方、28歳のケルバーは、彼女にとってブレイクの年となった今年、すでに2度、グランドスラム大会決勝でタイトルのかかった試合を経験している。彼女は1月の全豪オープンで世界1位のセレナ・ウイリアムズ(アメリカ)をフルセットの末に倒して優勝。ウィンブルドンでも決勝でセレナに敗れたものの、全豪での成功を基盤にした自信を胸に、いい進撃を見せた。

 「世界最大の大会のひとつで優勝したおかげで、私は昨年よりもずっと自信を持っているわ」とケルバーは言った。

 そのことは21歳のキーズに対する準決勝にも表れていた。ケルバーはその試合で、直面した10回のブレークポイントのすべてをしのいでいる。

 「彼女は私がチャンスをつかむたびにプレーのレベルを上げてきた」とキーズは言った。そのキーズは土曜日に銅メダルをかけて、クビトバと3位決定戦を戦うことになる。

 セレナが今大会の3回戦で敗れたとき、ケルバーは優勝候補となった。ここ5試合を通してまだ1セットも落としていない彼女は、実際、その役に相応しいように見える。

 「彼女は本当に自分のテニスを見つけたのよ」とキーズ。「今の彼女は最高にノッているわ」。(C)AP