テクニカルファウル連発で自らの首を絞める展開にアメリカ代表が粘るセルビア代表を3点差で破り、4連勝を記録した。ただ、内容はとても満足できるものではなかった。前半は精神的な脆さを露呈し、自らの首を絞める展開に。突き離すべきところで離せず、セル…
テクニカルファウル連発で自らの首を絞める展開に
アメリカ代表が粘るセルビア代表を3点差で破り、4連勝を記録した。
ただ、内容はとても満足できるものではなかった。前半は精神的な脆さを露呈し、自らの首を絞める展開に。突き離すべきところで離せず、セルビアの猛追に苦しむ姿に『絶対王者』としての威厳はなかった。
ケビン・デュラントの3本のフリースローからスタートした第1クォーター。序盤からアグレッシブなディフェンスを見せ9-0のランを決め、その後も途中出場のデアンドレ・ジョーダンの2本のアリウープなどで23-5とリードを広げ、一方的な展開になるかと思われた。
しかし、セルビアの激しいディフェンスにファウルの笛を吹いてもらえずフラストレーションの溜まったデアンドレ・ジョーダンと、ドレイモンド・グリーンのファールに対して抗議のリアクションをしたベンチが続けてテクニカルファールを宣告される。不要なフリースローを与えてセルビアを立ち直らせてしまい、27-15で第1クォーターを終えた。
第2クォーターに入ると、アメリカのディフェンスに対応し始めたセルビア代表が流麗なパスワークを見せる。ピック&ロールからノーマークを作り出すとミロスラフ・ラドゥリサがペイントエリアで高確率でシュートを決め、追い上げのリズムを作った。
しかし、カイリー・アービングが第2クォーターだけで11得点を挙げ、傾きかけた流れを個人技で止める。それでも残り2分34秒にデアンドレ・ジョーダンがアンスポーツマンライクファールを取られ、再び自らのミスでリズムを悪くしてしまう。
序盤で23-5と最大18点差を付けながら、自ら相手にチャンスを与えてしまい猛反撃を浴びる羽目に。
相手をナメていたと言われても仕方がない出来
前半を50-41で折り返し、第3クォーターも互角の攻防を見せ72-62と点差が離れないまま最終クォーターを迎えた。
二コラ・ヨキッチが3ポイントシュートを沈めセルビアがリズムに乗り、抜群のパスワークと高確率での3ポイントシュートで追い上げにかかる。ポール・ジョージの3ポイントシュートやデュラントのダンクで何度も突き放しにかかるが、ステファン・マルコビッチのレイアップやミロシュ・テオドシッチの3ポイントシュートで追い上げられ、一進一退の攻防が続く。
カーメロ・アンソニーがシュートクロック残り1秒からバスケットカウントを決めれば、すぐさまヨキッチがゴール下でバスケット・カウントを決める。残り時間1分56秒で94-89とアメリカ代表がわずかにリード。
残り1分18秒、好調のテオドシッチのドライブインに対しアービングがファールを犯してしまう。これで得たフリースローを2本とも沈められ94-91の1ポゼッション差に。
その後、両チームとも気迫のディフェンスでゴールを許さない。残り5秒、セルビア代表のスローイン。テオドシッチがシュートを打てず、託されたボグダン・ボグダノビッチの3ポイントシュートが外れてゲームセットとなった。
怒涛の追い上げを見せたセルビア代表はヨキッチが15本中11本のシュートを沈め、両チームトップの25得点。テオドシッチがが4本の3ポイントシュートを含む18得点を挙げた。
アメリカ代表はアービングがチームトップの15得点を挙げ、6人が2桁得点を挙げるなどオフェンスはバランス良く得点できたが、その試合運びには大いに不満が残る。前回のオーストラリア戦に続き、圧倒的な力の差を見せ付けることはできなかった。前半の無駄なファウル連発は、相手をナメていたからと言われても仕方ない軽率なプレーだった。
ここにきてムラが目立ち始めたアメリカ代表、ここまで全勝と結果は出ているが、金メダル獲得に黄色信号が灯った。
ゲームハイの25得点を挙げたヨキッチは3ポイントシュートに、ゴール下にとアメリカ代表を最も苦しめた。