文=佐保めぐみ 写真=FIBA.comディフェンスで粘るも、オフェンスに繋げられずに完敗バスケットボールのU19ワールドカップ、日本代表は準々決勝で予選リーグを1位で突破したベルギーと対戦し、43-63で敗れた。日本の先発は、東藤なな子、石…

文=佐保めぐみ 写真=FIBA.com

ディフェンスで粘るも、オフェンスに繋げられずに完敗

バスケットボールのU19ワールドカップ、日本代表は準々決勝で予選リーグを1位で突破したベルギーと対戦し、43-63で敗れた。

日本の先発は、東藤なな子、石原柚香、今野紀花、伊森可琳、竹原レイラ。今野のドライブや石原の3ポイントシュートが決まった立ち上がりは悪くなかったが、相手ビッグマンを抑えられずにインサイドの不利が目立ち始める。ヘルプに入ったところを外に展開されて3ポイントシュートを決められ、さらにはリバウンドからトランジションに持ち込まれて連続失点。

タイムアウトを使って立て直し、今野がフェイントで相手をかわしてのミドルジャンパーやドライブを決める個人技を見せて、第1クォーターは15-17とベルギーに食らい付いたが、その後は得点が伸び悩む。

体格に差があってゴール下でフィジカルと高さの不利があるのは、ほぼどの相手と対戦しても同じ。この不利をスキルと俊敏性で打開してきたのだが、ベルギーは長身センターまでフットワークが軽く、日本の揺さぶりに対してズレを作らせない。ドライブでズレが作れないのでそこからの展開も生まれず、抜ききってのレイアップシュート、ドライブからキックアウトでの3ポイントシュートという形に持っていけない。ここでリズムが作れないためにシュートの確率は上がらず、イージーなミスも相次ぐことになった。

今野紀花は11得点も、チームオフェンスは機能せず

第2クォーターでは東藤の得意のドライブ、コーナーでフリーになった伊森可琳の3ポイントシュートが飛び出し、第3クォーターではリバウンドを改善して坂本雅がオフェンスチャージングを相手から取るなど、日本にも良いプレーはあったのだが単発で、ベルギーの堅守は崩れずに点差を詰めるには至らない。第2クォーターは7-12、第3クォーターは7-13と、日本もディフェンスではよく我慢していたが、とにかく点が決まらなかった。

29-42で迎えた最終クォーター、インサイドを完璧に抑えられる日本は時間が経過するにつれて外から狙うしかなくなるが、ズレを作れずスペーシングを上手くできないままタフショットばかりを強いられ、フラストレーションを溜める展開に。逆にベルギーは良いディフェンスが続くために士気が衰えず、中から外からとリズム良く得点を重ねていく。

日本は疲れから足も止まり、第4クォーター残り3分のところでチームファウルが5つに。ことごとくインサイドを止められた日本は、自然と外に逃げるプレーが増え得点は伸びない。残り時間1分50秒、40-55の場面でチームトップの11得点を挙げていたエース、今野をベンチに下げたところで勝負あり。43-63で完敗した。

『世界の8強』は成果、順位決定戦でさらなる成長を

ベルギーはともにセンターを務める186cmの双子、マーシー姉妹が19得点13リバウンド、10得点9リバウンドと活躍。スタッツに残らないディフェンスの部分でも、フットワークの良さを生かして日本の速くてスキルの高いオフェンスを沈黙させた。日本は竹原、大原咲織、マヤ・ソフィア・マッカーサーのローテーションで対抗するも、インサイドでの優位は作れなかった。

ただ、体格の不利が特にゴール下で色濃く出ることは避けられない。他のポジションでそれ以上の優位を作るべきだが、この試合ではそれもできなかった。個々のシュートが決まらなかったことより、試合を通じて良いシュートチャンスを作れなかった結果がフィールドゴール62本中成功わずか16本(成功率25.8%)であり、得たフリースローがわずか7という数字に表れた。

この準決勝は、サイズも技術もあるベルギーがチーム一丸となって粘りのディフェンスから走るバスケットを展開。世界のレベルの高さを痛感する試合となった。日本はベスト4進出を逃してメダル獲得の可能性が潰えたが、『死のグループ』となったグループリーグを2位通過し、世界のベスト8まで勝ち進んだことは大きな成果だ。ここからは5位~8位決定戦に回る。ワールドカップでプレーすることは、順位決定戦であれ貴重な経験となる。ベルギー戦の悔しさをバネに、チームとしても選手個々としてももう一つレベルアップしてもらいたい。