★上村彩子インタビュー 前編「Sportsには世界を1つにする力がある」を番組のコンセプトとして放送されている『S★…
★上村彩子インタビュー 前編
「Sportsには世界を1つにする力がある」を番組のコンセプトとして放送されている『S★1』(土曜・深夜0:30~/日曜・深夜0:00~ TBS系)。その番組でキャスターを務めるのが、入社5年目の上村彩子(かみむら さえこ)アナウンサーだ。自身も学生時代にバスケ、陸上を経験してきたスポーツウーマン。陽気ではっきりした口調の中に、スポーツへの情熱や愛情がしっかりと伝わってくる。そんな彼女にスポーツや番組に関する話を聞いた。

質問にリズムよく、ハキハキと答えてくれた上村彩子アナ
―― こういった取材を受けられることは多いんですか。
上村 数回取材していただきました。女性ファッション誌の取材を受けたり、ゴルフを習い始めたときにはゴルフ雑誌からも受けたりしました。
―― インスタでゴルフウエアを着た姿を配信されていましたね。
上村 ゴルフはゆる~く(やってます)。まだ(簡単に)数えられるぐらいです。
―― 始めたきっかけは?
上村 小学校からの親友が大学のゴルフ部で、その子がすごく楽しそうにやっていて、いいなとは思っていたんです。話していくうちに、いつかお互い家族ができたときに家族同士で遊びに行けたらいいねとなって、ゴルフだったら、将来ずっと趣味にしたりできるのかなと思って始めました。でも、全然続けられてないですね。
―― なかなか時間がとれないのでしょうか。
上村 そうですね。自分で車も運転できないですし、ひとりでも行けないですし、一緒に行く人を探すのも大変です。土日は勤務なので、なかなか。
―― ちなみに、今日(取材日)は、放送がある土曜日です。ふだん本番前はどのように過ごされているんですか。
上村 基本、土日は取材に行っていて、ギリギリの時間に帰ってくることが多いです。
―― 平日も行かれたりするんですか。
上村 平日はラジオの収録もあったり、他の仕事も入ってきたりするんですけれども、何もなかったら、「取材に行ってきていいですか?」とアナウンス部に確認して、カメラが回っていなくても取材に行くことはよくあります。
―― 社内と社外、どちらにいる時間が多いでしょう。
上村 どっちでしょう。社内にいる時間もなかなかないですね。出張が多いと社内での事務作業などがどんどんたまってきちゃいます(笑)。
―― 出張と言えば、NBAのドラフト時に八村塁選手を取材した回を見ました。上村さんがバスケをやる場面もあって、お上手でしたね。
上村 いやいやいや(笑)。あんな一瞬なのに。ありがとうございます。
―― 小・中とバスケ部だったんですよね。
上村 小学3年生から中学3年生までがバスケ部で、高校3年間は陸上の短距離をやっていました。
―― 高校でバスケ部から陸上部に変えた理由はなんだったんですか。
上村 入った高校では、女子バスケ部がほとんど活動していなかったんです。せっかくなら他のスポーツをやってみようかなと悩んでいたところ、同じクラスに陸上部のマネージャーをやりたい子がいて一緒に見学に行ったのがきっかけです。今までチームプレーの競技でしたが、個人競技もやってみようと思って。陸上が強い学校で、未経験者は誰もいなくて不安でしたが、思い切って挑戦してみました。
―― 得意種目は、100mハードルですよね。
上村 はい。高校2年のときに千葉県で2位になって、関東の大会に出たこともあります。1回だけですけど。
―― 中学、高校と運動に励んできたということは、スポーツ全般も好きだったんでしょうか。
上村 好きでした。小中学校では、いつも昼休みは外に遊びに行くタイプでしたし。スポーツテストでは「他の人には負けたくない」みたいな感じで頑張っていました。
―― ということは、負けず嫌いなんですね。
上村 そうなのかな。でも、中学時のバスケ部の顧問の先生が怖かったというのもあります(笑)。「手を抜くな」と、ずっと言われていて、スポーツテストのときも見られていたんですよ。
―― バスケを始めたきっかけは、なんだったんですか。
上村 部活に入る選択肢が吹奏楽部かバスケ部しかなかったんです。小学校のときって、それぐらいですよね。習い事でピアノはやっていたんですけど、スポーツの習い事はやってなくて、いきなり部活でバスケを始めました。
―― ご自身がやっていたこともあって、バスケと陸上に対して思い入れはありますか。
上村 ありますね。やっぱりスポーツって、わからない人でも、もちろん楽しめますけど、わかったほうがより面白くなると思うんです。今までそのすごさに気づかなくても、やってみると改めて気づけたりしますよね。例えばバスケだったら、3P(ポイント)のラインってこんなに遠いんだとか、リングってこんなに高いんだとか。ハードルだったら、スピードを落とさずに跳んでいくことの大変さとか、やっていたからこそ実感がわくというのはあると思います。
―― その流れで行くと、八村選手の取材に行ったときはうれしかったんじゃないですか。
上村 『S★1』のロケとして海外に行くのは初めてでしたし、一度インタビューして応援していた選手だったのでうれしかったですね。八村選手がドラフトで指名を受けた瞬間も会場にいることができて、いつ呼ばれるかというドキドキと、会場の盛り上がりを感じられたのは一生ものの経験です。
―― 学生時には、球場でビールの売り子のバイトもされていたんですよね。
上村 最初は、それこそさっき1回話に出た地元の親友が球場でアルバイトをやっていて、「一緒にやろうよ」って声をかけてくれて、楽しそうだなと思ったのがきっかけなんです。あと、大学と家の間に東京ドームがあった、というのもあります。売っている最中はいつもグラウンドに背中を向けているので試合は見られなかったんですけど、逆に、お客さんがどんな場面でどんな風に盛り上がるのか、肌身で感じることができてよかったです。今はあのとき見ていたお客さんと同じ目線で楽しんでいます。

―― アナウンサーを目指したいと思ったのはいつだったんですか。
上村 友人を通じて他局の深夜番組に「出ませんか?」と声をかけていただいて、番組内でアナウンススクールに通う賞をいただいたんです。スクールに通うことになったのが、「アナウンサーという職業の選択もあるんだな」って認識したきっかけというか。そこに行くまでは、アナウンサーってなれるものではないと思っていたんです。でも、実際にアナウンサーになっている方々の話を聞いて、あらためて楽しそうな職業だし、ちゃんと目指したらなれる職業なのかなって。それが大学1年生のときですね。より本格的に目指したのは、大学3年生のときに、いろいろセミナーを受けて、実際テレビ局の中に入って、魅力を感じてからです。
―― アナウンサーのお仕事を振り返ってみて、いかがですか。
上村 『S★1』を担当して丸2年がたつんですが、アナウンサーとしてスポーツニュースを読むだけなら誰がやってもあまり差は出ないと思うんです。でも私は、せっかくならちゃんと現場に足を運んで取材をして自分が伝えるスポーツの魅力をちゃんと感じ取りたくて。「伝える」という意味では、自分の力不足を感じることもまだまだありますけど、現場にいくことで伝えたいことがどんどん増えてやりがいを感じています。
―― これまで印象に残っている取材(お仕事)はたくさんあるかと思いますが、ひとつ挙げるとしたら、なんでしょう。
上村 1年前にサッカーのロシアワールドカップで日本が負けて、代表の皆さんが帰国した日に『S★1』でインタビューをすることになり、川島永嗣選手と昌子源選手にお話を聞かせていただいたんです。ベルギー戦での最後の失点を目の当たりにしたおふたりに、相手のゴールキーパーがコーナーキックをキャッチした時間から日本が失点するまでのわずか13秒に何が起こっていたのか、というのを聞く企画でした。それが印象に残っています。正直、自分で聞くのがつらくなるインタビューでした。
―― 帰国したばかりで、しかも当事者に聞きづらいということだったんですか。
上村 そうです。最初に「こういうことをやります」とスタッフから聞いたときに、「このタイミングで聞くの?」と思ってしまって。でも、このタイミングだからこそ聞きたいという番組の意図もありますし。それこそ私も試合を見ていて、自分も悔しかったし、昌子選手がグラウンドで泣いてうつぶせになった姿も見ていたので、それを数日しかたっていないのに聞くという…。ふたりともSNSとかでしょうがなく目に入ってきてしまうもの以外はまったくその映像を見ていない状態だったんです。企画の意図を説明したら、ふたりとも「えっ、今、これ見るんですか? なるべくなら見たくない」ということをおっしゃっていて。でも、ちゃんと私たちが聞く意味や、未来につなげたいという思いも受け止めていただいて、答えてくださったんです。その映像を見ているおふたりを間近で見ていて、私もつらかったです。でも、頭の中でいろいろ考えて言葉を紡ぎだしてくれるおふたりがいて、そういう瞬間に立ち会えたのはよかったなと思いました。そのおふたりには、それまで取材やインタビューで何度かお会いしたことがあったので、それもあって答えてくださったのかなとも思いました。他局のアナウンサーの方にも褒めていただけたんです。あの企画はよかったよ、って。
―― 取材していて大変なことやつらいことは多々あると思います。その一方で楽しいことやうれしいこともあると思うのですが、どういうところが今のお仕事で楽しいですか。
上村 感動的な瞬間に立ち会えるのは、このお仕事の醍醐味ではありますね。テレビでも感動はできますけど、やっぱり生でというのは特別です。しかも、活躍した選手が、自分が取材して応援している人だったらなおさらそう思います。その熱を視聴者に届けて、視聴者から「このインタビューがよかった」とか「おかげでもっと楽しめた」とかそういう言葉をいただくと、さらにうれしいです。
―― 実際に現場にいて、感動したときを教えてください。
上村 自分が陸上をやっていたのもあって、2年前の世界陸上ロンドン大会の「男子4×100mリレー」ですね。そもそも入社したときからいつか関われたらいいなと思っていて、初めて行けた世界陸上でしたし。日本のリレーが世陸でメダルを取ったのはそれが初めてだったんですよね。その瞬間はやっぱり鳥肌が立ちました。アナウンサー同士でもみんなで盛り上がりましたね。
―― 取材で印象に残っている選手も教えてください。
上村 少し前ですが、久保建英選手にお会いしました。A代表に初めて選ばれて、合流するために新幹線で名古屋に向かう直前で時間があまりなかったんですが、これから未来ある久保選手にこのタイミングで話を聞けたのは、うれしかったですね。
―― 「スポーツは世界を一つにする力がある」というのが番組のテーマです。このテーマを実感したのは、どんなときですか。
上村 平昌オリンピックを現地で取材していた際に、女子スピードスケートの500mで日本の小平奈緒選手が金メダルをとった後の出来事を見たときです。小平選手が、地元で3連覇のプレッシャーのかかったイ・サンファ選手が泣き崩れているところに駆け寄ってねぎらい、肩を抱きかかえて一緒にリンクを滑っているふたりの姿があって。日韓のスポーツの戦いって宿命のライバルのように煽られがちですが、国を超えてお互いの健闘をたたえ合う場面を目に焼けつけることができました。
―― 『S★1』の魅力を教えてください。
上村 『S★1』ファミリーの松田丈志さん、高橋尚子さんも、みんな現場主義というか。それぞれがちゃんと取材して感じたことをスタジオで伝えるという、その熱量は特徴としてあるのかなと思います。私も伊藤隆佑アナも土日両方取材に行き、現場に足しげく通うというのは意識してやっています。
―― スタッフの皆さんも含めてそういう意図を持ってやっているんですね。
上村 そうですね。あと、他の局よりも放送時間が少し遅めということもあって、スポーツ好きなコアな人にもちゃんと満足してもらえる内容にしようというのも、全員が共通認識として持っています。独自取材を届けたり、他のところとはちょっと違う角度から取材してみたり。八村選手のドラフトのときも、ただ「ワシントン・ウィザーズに指名されました」と伝えるんじゃなくて、ではウィザーズはどんなチームなのかとか、現地の記者の反応だったり、町の人の反応だったりというのをもっと深く届けたいということになって、私が取材に行きました。そうやって番組独自のものを、というのはつねに意識して作っています。
(つづく)
Profile
かみむら・さえこ
92年10月4日生まれ。千葉県出身
趣味:海外旅行。読書
得意なスポーツ:陸上。バスケットボール
好きな色:紺、白。好きな食べ物:エスニック料理