世界水泳は、競泳の1日目、2日目が終了した。

 初日の男女4×100mフリーリレー、日本の男子は9位で決勝進出はならなかったが、女子は全体5位で予選を通過し、予選上位12カ国に与えられる来年の東京五輪のこの種目の出場枠を獲得した。



日本記録を更新した、女子4×100mリレー

 これは今回で五輪で実施されるすべてのリレー種目に適用されるルールなので、来年の東京五輪を控える日本としては、リレー種目で最低限クリアしなければならない課題だ。

 男女共にそれをクリアしたことは良かった。

 過去最強メンバーが揃った男子はメダルを狙いに行ったレースだったが、予選で新たに導入した引継ぎのアドバンスステップスタート(※助走動作をつけるスタートで、通常のスタートより勢いがつくが、難易度が高い)のミス、さらに決勝でメダルを取りたいが故に、予選で「少しでも体力を温存できれば」との思いがタイムを落とす結果につながり、0秒26の差で決勝の舞台に立てなかった。

 選手としてはできるだけ準決勝、決勝に向けて体力を温存していきたい気持ちは重々わかる。しかし、チャンスをつかむ可能性が高いのは、力を温存する選択肢ではなく、力を出し切る選択肢を選んだときのほうだ。これは残りの6日間、そして来年の東京五輪に向けても意識しなければいけないところだろう。

 さらに、男子の決勝レースは思った以上にレベルが高かった。

 来年この種目でメダルを獲るためには、3分10秒台が必要だろう。4人ともが47秒台で泳ぐ力が求められる。

 女子は大本里佳、青木智美、佐藤綾、白井璃緒のメンバーで挑み、昨年のアジア大会で記録した3分36秒52の日本記録を更新する、3分36秒17で泳ぎ、予選から日本記録を更新した。決勝は記録を落としたが、池江璃花子不在の中での見事な記録更新、そして決勝進出だったと思う。この勢いのままひとりひとりが着実に力をつけていってほしいと思う。

 2日間を終えて日本チームはまだメダルに手が届いていない。

 小関也朱篤(やすひろ)の男子100m平泳ぎは58秒93で4位。メダルまで0秒30ということで本人も悔しさを口にしていた。

 しかし、小関は予選、準決勝、決勝とすべて58秒台でまとめてきたこと、さらに今大会は「速いテンポの中で搔き急がない」というテーマのもと、泳ぎが安定していたことは、ポジティブな要素だろう。

 残りの種目、男子4×100mメドレーリレーでのリベンジに期待したい。

 女子200m個人メドレーもメダルが期待されたが、大本里佳が2分09秒32で5位、前回大会この種目銀メダルの大橋悠依は、背泳ぎから平泳ぎのターン後の動作で2回ドルフィンキック打ったと判断され、失格という結果になってしまった。

 大本は持ち味を発揮したレースだったと言える。最初のバタフライの50mのターンでは、この種目の女王でこのレースで女子史上初の世界水泳同一種目4連覇を達成したカティンカ・ホッスーを上回る積極的なレースを展開した。

 150mの平泳ぎのターンまでは3着とメダル圏内をキープしたが、最後の自由形でかわされてしまった。前半少し力んで入りすぎたところもあるかもしれないが、初めての世界水泳でこの積極果敢なレースは次につながることだろう。

 大橋は失格という思わぬ結果となってしまったが、これを引きずることなく、次の種目に切り替えていって欲しい。最終日の400m個人メドレーに期待したい。

 番狂わせとも言えるレースが2つあった。

 ひとつは初日の女子400m自由形決勝。

 4連覇を狙ったこの種目の世界記録保持者、ケイティ・レデッキーがオーストラリアのアリアン・ティットマスに敗れる波乱があった。

 ティットマスは自分から攻めてレースを作った。前半200mまではレデッキーに先行し、250mから350mまではレデッキーが先行したが、最後の50mで再びティットマスが逆転した。

 レデッキーが2013年に世界水泳で初めてこの種目で勝ってから、彼女はほとんど誰かに先行されるレースをしていない。200mまでティットマスに先行を許し、その動揺からか、200~250mで一気に仕掛け、リードを奪いにかかったが、そこでのペースアップが響いて後半失速してしまった。

 決して絶好調ではなかったレデッキーだが、ティットマスのこの勝利を見て、勝つ選手というのは「自ら動き、レースを作る選手だ」と改めて感じた。

 ふたつ目は女子100mバタフライ決勝だ。この種目のリオデジャネイロ五輪金メダリストで世界記録保持者、世界水泳3連覇中のサラ・ショーストロムがカナダのマーガレット・マクニールに敗れた。マクニールのタイムは55秒83で、女子で3人目となる55秒台で泳いだ。

 マクニールは後半の50mを29秒06という驚異的なタイムで泳ぎ切った。このタイムは決勝に出場した他の7名の選手に、後半の50mだけで約1秒差をつけている。とくにターンからドルフィンキック、浮き上がりまでの15mが素晴らしかった。

 サラは池江も目標にしていて、勝ちたいと考えている選手だ。そのサラに池江と同じ2000年生まれのマクニールが勝った。それだけでも池江にとっては大きな刺激、励みになったと思う。

 この女子100mバタフライの表彰式では、優勝したマクニール、2位のサラ、3位で、池江が2度合同合宿を行なっているオーストラリアのエマ・マキーオンが、手のひらに池江へのメッセージを書き込み、エールを送った。国境を越え、ライバルという域も越えて、互いに認め合う関係性に、あらためてスポーツのすばらしさを感じたシーンだった。

 世界水泳の競泳はまだ2日間を終えたばかり。以降も楽しみなレースが続く。

 23日の決勝種目は、入江陵介の男子100m背泳ぎ決勝、青木玲緒樹の女子100m平泳ぎ決勝、松本克央の男子200m自由形決勝が行なわれ、それぞれメダルの期待がかかる。

 さらに男子200mバタフライ予選には、いよいよキャプテンの瀬戸大也が登場する。

 日本の皆さんも是非熱い声援を送っていただきたい。