インターハイのソフトテニスは宮崎で男子が7月25日に女子は29日に開会式が行われ、それぞれ3日間にわたって競技が行われる。 そもそもソフトテニスってどんな競技?歴史は?これを見ればインターハイのソフトテニスがより楽しめる!! 大会3連覇…

インターハイのソフトテニスは宮崎で男子が7月25日に女子は29日に開会式が行われ、それぞれ3日間にわたって競技が行われる。

そもそもソフトテニスってどんな競技?歴史は?これを見ればインターハイのソフトテニスがより楽しめる!!

大会3連覇がかかる強豪奈良の高田商業高校に取材に行き、ソフトテニスの魅力に迫った。

2019年インターハイに臨む高田商業の男子選手たち

■意外と知られていない!?ソフトテニスは日本発祥のスポーツ

硬式テニスがイギリスから日本に伝わったのが明治13年頃。そこから約4年後の明治17年、体育伝習所教官のリーランド氏が学生に教えたのがきっかけとなり、日本独自のゴムボールを使用する「軟式庭球」が生まれたと言われている。

明治23年には東京高等師範学校の要請により「三田土ゴム」がテニス用のゴムボール「赤Mボール」を製造し、以後日本独自の軟式庭球が普及した。
軟式庭球大会としての記録が残っているものは明治31年、東京高師と東京高商の対抗戦でその後、早稲田大学や慶応大学が加わり4校の対抗戦は人気を博した。

■ソフトテニスと硬式テニスは全くの別物!

「競技で言うと、野球とソフトボールくらい別物ですよ」

この言葉に衝撃を受けた。

ソフトテニスと硬式テニス、ラケットやボールが多少違うだけで共通点は多いだろうと勝手に推測していた。硬式テニス経験者がソフトテニスに転向するというケースもあるそうだが、インタビューをした高田商業の選手たちも「硬式テニスは1回もやったことがありません」というメンバーばかりだった。

▽ボール
1番の違いはやはり、ボールだ。
硬式テニスボールの重さは56.0〜59.4g。一方の軟式は30〜31gだ。硬式は中空ゴムにフェルトカバーでできているのに対し、空気の入ったゴム製で作られているのが軟式ボールとなっている。

▽ラケット
ボールの硬さが違うため、ラケットの強度も当然変わってくる。硬式のボールは硬くて重いため打ち返す時に負担がかかる。そのため硬式のほうがフレーム(ラケット全体のこと)は強度が強くて重くなっている。

またフェイス部分に張る糸のことをストリングス(ガット)と呼ぶ。このガットのテンションも伸縮性と耐久力の違いがある。軟式のほうが柔らかく強度は約18〜35、硬式は硬めで強度は約40〜70となっている。

▽高田商業のキャプテン池口季将(ときまさ)選手にラケットのこだわりを聞いた

高田商業 池口季将キャプテン

使用しているラケットの重さは235g。約230g〜260gを使用することが多い中で、池口選手は少し軽めのラケットでプレーをしている。

池口選手は前衛をやっているためボレーやスマッシュが大事な技術のひとつとなってくる、スイングスピードをあげるため少し軽めにすることで、この235gがベストだと考えているそうだ。

またグリップのテープの張り方にもこだわりが。テープの巻く幅や張る時のスタートの位置など、握った時にベストなフィット感を求めて各選手、違いがある。

高田商業 池口・山本ペア

▽ソフトテニスのガットは自分で張ることも可能
縦糸をメイン、横糸をクロスと呼ぶガット。
高田商業ではこのガットをマネージャーが1つ1つ手張りをしている。1つのラケットにガットを張る時間は約30分、多い時で1日に4本程作業をすることもある。ガットを張るテンションも数値化されており、約28〜31に数字を合わせ丁寧に張っていた。1年の中でインターハイ前に作業する本数が1番多いそうだ。

■兄弟が競技をしていたことがきっかけに

現在日本で唯一のプロソフトテニスプレーヤーがいる。
ソフトテニス界初のプロ選手、ヨネックス所属の船水颯人選手。

東北高校から早稲田大学に進学した。3学年上の兄、船水雄太選手(NTT西日本)もトッププレーヤー。船水颯人選手も東北高校1年生の時のインターハイで優勝を経験している。ソフトテニスは兄弟や親がやっていたことがきっかけで競技を始めた選手が非常に多いのだ。

高田商業にも女子で双子のダブルスを組んでいる選手がいる。

ダブルスを組む木口ペア 左:那菜選手(姉) 右:恵菜選手(妹)

3年生のキャプテン木原那奈選手(姉)、恵菜選手(妹)だ。父親がソフトテニスをやっていたということもあり小学校1年生で競技を始めた。地元は和歌山県、ジュニアの頃からずっとペアを組んでいる。ソフトテニスの強豪校でプレーをしたいという思いから現在も和歌山県から高田商業に通っている。

前衛が妹の恵菜選手、後衛が姉の那奈選手。姉妹ならでのはの、あうんの呼吸がある。
「こういうボールがきたら、こう動いてくれる」

言葉を交わさなくとも互いを理解できる、積み重ねてきた強さがある。昨年もインターハイに出場し、ベスト8。
「今年のインターハイの目標はもちろん日本一です」

最後は2人声を揃えて笑顔で意気込みを語ってくれた。

■初めて見る人でも楽しめるポイント

▽ソフトテニスはバドミントンや卓球の要素もあり!?
高田商業の紙森隆弘 男子監督にソフトテニスを初めて見る人でも楽しむことができるポイントを聞いた。

近年、ソフトテニスはプレースタイルが刻々と変化しているという。様々な陣形がありバドミントンのように2人が前に出て、ノーバウンドでスマッシュをしたり、卓球のようにボールに変化をかけてカットサーブをしたり、ゆるい山なりのボールも有効に使用するようになってきたという。

それぞれの試合で様々なプレースタイルを見ることができることも、見どころのひとつだ。

高田商業 山本大陸(りく)選手

▽応援スタイルも様々

盛り上がるソフトテニスの応援

硬式テニスの応援とは全く異なり、ソフトテニスの応援はとにかく賑やか。団体戦は特に盛り上がり、プレーヤーはその応援の声でより奮起する。インターハイにおいても学校によって応援スタイルは様々、強豪の高田商業もバリエーション豊富な掛け声があるという。

「1本集中!」

「挽回するぞ!」

キャプテンの池口季将(ときまさ)選手とペアを組む山本大陸(りく)選手も、高田商業の応援は見どころのひとつとして注目してもらいたいと話していた。

■高田商業の強さは

1番は練習量の多さだ。紙森監督も「日本一練習をする」目標を掲げている。

練習量は日本一

学校の授業がない日は朝8時半〜夜19時まで練習。この練習量が選手たちの自信につながっている。

現在男子のソフトテニス全日本U17に選出されている選手は20人、そのうちの11人が高田商業の選手達だ。しかし高田商業ではU17に選出されているからといってチームのレギュラーになれるとは限らない。11人選出されているにも関わらず、現在レギュラーに入っている選手はたったの4人。

全日本代表=チームのレギュラーとなるわけではない、この意識の高さこそがチームの強さに繋がっている。

インターハイ3連覇がかかる高田商業