文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com

高さでは不利でもインサイドでの勝負から逃げず

タイでの女子U19ワールドカップが開幕した。日本代表は初戦でドイツと対戦。大混戦の末に終盤に攻守が噛み合い、この年代のヨーロッパ王者であるドイツを突き放して75-67で勝利した。

サイズではドイツが圧倒的に優位。日本で最も背の高い竹原レイラが185cmだが、ドイツのスタメンはポイントガードを除く4人がそれより大きく、190cmオーバーの選手が3人いて、常にサイズのミスマッチを作られる状況だった。

インサイドでの圧倒的な不利が予想された日本だが、ディフェンスでは常にダブルチームを仕掛けるわけではなく、マッチアップする選手が身体を張り、イージーシュートに持ち込まれるケースも少なくなかったが、それ以外はしぶとくプレッシャーを掛け、残る選手がリバウンドを狙った。オフェンスでは安易に3ポイントシュートを打つのではなく、ドライブでペイントエリアに仕掛けてのクリエイトを盛んに狙い、インサイドでの勝負から逃げないことで互角の展開に持ち込んだ。

その効果はリバウンドに現れた。サイズでは不利だがリバウンドの意識を高め、42-35と試合を通じてドイツを上回り、特に相手のオフェンスリバウンドをわずか6に抑えたことが効いた。

また、40分間を通じて運動量とボールへの積極性を最大限に保つためにローテーションを徹底。最も長くコートに立ったのは今野紀花だが、エースの今野であっても終盤の勝負どころで運動量が落ちているとみれば、萩原美樹子ヘッドコーチは他の選手に勝負を委ねた。

石原柚香の3連続3ポイントシュートで混戦に決着

試合は前半終了間際に池田沙紀がスティールからの速攻を決めて逆転に成功、直後には池田が今度は3ポイントシュートを沈めて41-37とリードして折り返す。それでも後半もドイツを突き放すには至らず、第4クォーターに入ってドイツがベストメンバーを送り込んだ時間帯に追い上げを浴び、逆転を許した。残り4分半で59-66と7点のビハインド。外角シュートが当たり始めたドイツに対し、運動量が落ちた日本はボールを止めてしまうことが増え、苦しい状況だった。

それでもここで、萩原ヘッドコーチの大胆な選手起用が功を奏す。石牧葵と石原柚香、愛知学泉大のガードコンビに勝負どころのゲームコントロールを託したのだ。ここからインサイドへの合わせとペリメーターで大原咲織がチャンスを確実に決める連続得点、さらには石牧が豪快なドライブレイアップを沈めて65-66と1点差に迫る。

インサイドでの3連続得点が、そこからの布石となった。残り2分、オフェンスリバウンドからの展開で石原が3ポイントシュートを決めて逆転に成功。その石原は直後に3ポイントラインよりかなり手前からバンクショットをねじ込む。ドイツはたまらずタイムアウトを取るが、日本は直後のディフェンスで手堅く1本を止めると、またも石原が3ポイントシュートを決めて74-67。ここまでの戦いで消耗していたドイツにもう反撃する力はなく、75-67で試合終了。

石原の3連続3ポイントシュートが勝利の決め手になったのは間違いないが、高さの不利を打ち消してリバウンドで互角に持ち込み、ペイントエリアでの得点、セカンドチャンスでの得点で上回ったことが勝因であることは間違いない。いずれにしても、日本代表は大会初戦で大きな1勝を手にした。

U19ワールドカップ 女子日本代表メンバー12名

0 奥山理々嘉(SF / JX-ENEOSサンフラワーズ)
1 竹原レイラ(PF / 三菱電機コアラーズ)
2 東藤なな子(SG / トヨタ紡織サンシャインラビッツ)
6 石牧葵(SG / 愛知学泉大学)
9 石原柚香(SG / 愛知学泉大学)
11 今野紀花(SG / ルイビル大 進学予定)
14 伊森可琳(PF / 東京医療保健大学)
15 マヤ・ソフィア・マッカーサー(PF / ダナ・ヒルズ高校)
18 坂本雅(PG / 愛知学泉大学)
20 野口さくら(SF / シャンソン化粧品シャンソンVマジック)
23 池田沙紀(PG / 筑波大学)
25 大原咲織(C / 早稲田大学)
[ヘッドコーチ]萩原美樹子