昨年からチームの中心となって試合に絡んでいる3年生トリオ。チームを引っ張り、勝利のために戦う彼らに早稲田に対する熱い思いを語っていただいた。※この取材は6月25日に行われたものです。最終ラインから攻撃の一歩目となる杉山選手――関東大学リー…

 昨年からチームの中心となって試合に絡んでいる3年生トリオ。チームを引っ張り、勝利のために戦う彼らに早稲田に対する熱い思いを語っていただいた。

※この取材は6月25日に行われたものです。


最終ラインから攻撃の一歩目となる杉山選手

――関東大学リーグ戦(リーグ戦)を振り返っていかがでしたか

杉山 去年主力として戦っていた選手が多く残っている中で、自分たちの中ではある程度こんな感じでやれるだろうっていうのがあって。それを開幕戦の立正大戦で出鼻をくじかれたというか。1-3で負けてまずいなってなったもの、なんとなくやっていれば勝てるなっていう甘い気持ちも少なくともあったと思います。やっぱり改善しなかったら勝てなくて。そのままやっていてもだめだし、今までやっていたのにやらなくなってしまったことをやらないと勝てないし。本当にベースのところを追求し始めて、だんだんチームの結果が良くなってきた印象です。

工藤 僕は開幕前にけがして2節からは出ていたけど、個人としてはあまり良くなかったかな。去年優勝したっていうのは気にしていないって思っていても心のどこかにはあって。3年としてチームになにかできないかって働きを始めたのが東洋線の週でそれも遅かったかな。戦術的な部分もそうだけど、チームの雰囲気やピッチ外のことから目をそらし続けていても何とかなるだろうっていうのを皆思ってしまってたんじゃないかな。来年はチームを引っ張っていく立場になるわけだから、責任感というのは試合に絡んでいる3年としてやらないといけないっていうのは思っている。リーグ戦もアミノバイタル杯(アミノ)では自分が出た試合で結果を残せてないし、そういったところには責任を感じるようになったし、落ち込む時期もあったけどそうなってても仕方ないし、ピッチ上はリアルしかないからきついことがあっても逃げちゃいけないなっていうのは痛感しましたね。3年としても自分自身としてもきつい時も含めてやれることはいつでもやらないといけないって思います。前期は反省が多かったですね。
前期8節が終わって、勝ち点を取れ得たのは下位2チームだけだったし、アミノも法政とやって負けちゃったし。最後の2節は良かったけど、上のチームにも勝てないと厳しいかなって思います。今チームは少しずつ良い方向に向かっているのは事実だけど、もっとチーム内で3年生が突き抜けて示さないといけないと思っています。去年までは先輩に乗っかって自分のプレーだけを考えていた部分もあったけど今は自分が点を取って自分が守る、っていう結果にこだわっています。この中断期間で個人としてもチームとしても成長できればいいと思います。

――「3年生として」というワードが多く出てきました

杉山 チームのためにっていうのが増えました。去年までは試合に出て個人として何ができるかっていうのがあったんですけど、チームが勝てなくなて一人一人の責任が重くなったと思っていて。チームの勝利のために何ができるかなって考えるようになりましたね。

工藤 外池さんは学生に対して常に変化し続けろって言ってくるし、俺は早稲田に来た時に試合に出れないなって絶望感を感じて1年目は結局出れなかったし、去年は10試合ぐらいリーグ戦に絡めてうれしかったな。達成感を味わって、じゃ次は何ができるかなって。3年になって後輩も増えて1年は能力高い選手が多く入ってきて、自分も下から見られる立場になってきたんだなって最近実感しています。サッカーをしていても私生活でも感じますね。今年はピッチ内の戦術とかのところもそうですけど、チーム運営だったりマネジメントの部分で例年にはないぐらいミスが続いているので、そういう詰めの甘さがピッチに直結してると思うから、そこも含めてやらないと。3年が下から突き上げて存在感を出していけるかっていうのが課題になってきますね。

鍬先 練習中から3年中心に雰囲気作りに取り組んでて。それぞれの立場でプレーしてたり仕事をしてチームを少しでも良くしようって働きかけてくれてるので。

杉山 鍬先は声とか姿勢で上手く引っ張っていけないからってプレーで示すって言ったんですけど、その週に東洋大戦で点とったんですよ。

工藤 あれは心打たれたな(笑)。

杉山 まじでかっこよかったわ(笑)。有言実行だったもんね。

工藤 東洋大戦のときのベンチは山田(晃士、社3=浦和レッズユース)とかキング(阿部隼人、社3=横浜F・マリノスユース)とか頭いっちゃてて(笑)。前日にいつもトップチームとAサブが確認のために試合するんですよ。僕はAサブだったんですけど試合も勝ったしセットプレーも勝ったし、5対5の対人も勝ったんですよ。トップがボロボロで、外池さんがメンバーを呼んでこのままでいいのかっていう話をしてましたね。初めてぶつかった感じでしたね。今までは衝突とかチーム状況に対して何か言うのは避けてきてたんだけど、そこで衝突があって、自分の思っている勘定とかは全部出して。スタメンで出てる人達だけじゃなくてベンチメンバーもスタッフもいたいになってやろうって雰囲気があったね。

杉山 それでようやく手に入れた勝利だったから僕たちとしては本当にうれしかったですね。

――ではやはり一番印象に残る試合は東洋大戦ですか

工藤 やっぱりそうですね。鍬が手繰り寄せた勝利だったね(笑)。

杉山 あれはね、かっこよすぎるよ(笑)。

鍬先 俺なりに声も出してたんですよ(笑)。

杉山 応援もすごい聞こえたよね。

鍬先 うん、本当に力になるよね。

――8節までのMVPを選ぶとしたら誰を挙げますか

杉山 誰だろう、難しいな。

鍬先 皆ゴリ(加藤拓己、スポ2=山梨学院)とか杉田(将宏、スポ2=名古屋グランパスユース)とか言うと思うんですけど、俺は山田だと思う。今年はいってから殻破ってるなって感じる。ピッチ内もだけどピッチ外でもどうやってア式をプロモーションしようって。あいつ好奇心旺盛だし色んな事に挑戦する姿を見せてくれてて、それは下の代でもすごいなってなってると思うんだよね。同期から見ててもそうだし、苦しい時期の試合にも出てるけど一貫して声を出してるし、絶対にやるぞっていう姿勢がすごい。俺の中ではあいつがいるっていうのはでかいですね。

鍬先 ゴリかなぁ。

杉山 うん、ピッチ内だったら加藤だな。

鍬先 点取れるようになったしね。

工藤 練習から変わったよね、あいつ存在感あるし。

杉山 2年生だけどチームを引っ張っていく意識があるからこっちとしても本当に助けられてる。あとは確かに山田もすごいね。プロモーションチームで山田が引っ張ってくれている。3年でチームの状況にどうアプローチするのかっていうのに敏感になってアクションを起こそうとしていたので、少しは3年全体も成長しているんじゃないかな。

鍬先 あと陽太(中野陽太、社3=神奈川・桐光学園)とかピッチ外で頑張ってるんですよ。須藤(友介、スポ2=FC町田ゼルビアユース)のインスタのストーリーでリーグ戦の選手紹介アナウンスの練習を一人でしている動画をあげてたんですよ。一人でかべに向かって練習してて頑張ってるなって感じましたね(笑)。


ドリブルで自ら攻撃参加もする鍬先選手

――お互いのプレーの印象はいかがですか

工藤 スギは本当に万能。上手い。俺にないもの持ってる。

杉山 それ言ったらお互いそうだよ。

鍬先 だから切磋琢磨(せっさたくま)できてるんだろうね。

工藤 まじでそう。1年の時はスギとクワとかがAチームにいるのをBチームから見てたし。スギのストロングと俺のストロングは全然違うし、表現の違いもあるよね。こうやって少しずつ試合に絡むようになって一緒にプレーするのは1年前じゃあ考えられなかったかな。でも本当に上手い、速い、賢いって感じだね。クワはもう誰が見てもすごいなってなる選手だと思う。奪えて戦えて走れて。早稲田らしいっていうか。

鍬先 1年の時はプレースタイル合わないってちょっと焦ったけどね(笑)。

工藤 そうなの?(笑)

杉山 去年も言った気がするけどクワはサイドバックもボランチも高いレベルでこなすのがすごい。持っている能力の数だったりそれの質だったりが高いからできるんだろうなって思う。

工藤 3バックやるときは俺がベンチに下がって4-4-2から変えてクワがセンターバックの時あったよね。でも全然できてたのがすごいよね(笑)。

鍬先 まぁボランチが一番やっていて楽しいし好きだけどね。

工藤 俺は?上手くて足元あって?(笑)。

杉山 とにかく空気をつくれる。センターバックはそれがすごく大事だと思っていて、俺は工藤に比べてそんな能力ない。工藤を見て、そのストロングに近づける部分もあるなと感じるから良い意味で刺激をもらってます。

工藤 良いこと言いますね(笑)。

杉山 坂本(寛之、スポ3=横浜F・マリノスユース)とか西前(一輝、スポ3=FC町田ゼルビアユース)もいるよね、それぞれタイプが違くて。

工藤 西前と俺はタイプが似てるって言われるんですけど、そこは俺が絶対に違うよって言ってます(笑)。坂本とかもあまりしゃべらないで寡黙な感じだけど誰よりもヘディング強くて。毎日自主練してもう鉄人みたいですよ。

杉山 3年のセンターバック陣は皆で切磋琢磨(せっさたくま)してる感じですね。

工藤 清水(駿、政経3=京都橘)はもうフォワードかな?あいつもポテンシャルの塊だよね。

鍬先 めちゃくちゃ頼りになって後ろにいたら安心する。とにかく戦ってくれる。ボランチやってる身としては任せられるし、何回も助けられてて信頼してる選手ですね。

工藤 あざっす(笑)。

――プレー以外は

工藤 そんなこと言ったら全部カットですよ(笑)。俺とクワは寮生活なのでずっと一緒なんですよ。俺、バル(山崎昴、スポ3=松本山雅FCU18)と同部屋なんですけど、そいつのベッドで一緒に寝るんですよ(笑)。

杉山 クワがバルのこと好きなのか逆なのか(笑)。

鍬先 あいつだよ!この間きょう一緒に寝るっしょ?とか聞いてきたよ(笑)。

工藤 あいつ本当に面白いんだけど(笑)。こいつ俺の部屋に来るから3人部屋みたいな感じですよ。バルはいびきうるさくてたまに起きるんですけどね。スギのことはまじで分からない。

鍬先 本当に寮に入って欲しい。

杉山 何もしないよ、私生活。

工藤 俺らはなんでも言い合うんですよ。この前のオフ何してた、とか。でもこいつは分からないんですよ。

杉山 いやいや(笑)。寮にいるかいないかの差だけだから。そろそろ入ろうかなとは思ってるよ。

工藤 俺らの代はコミュニケーションとってるよね。

鍬先 うん、仲良いよね。居心地がいい。

工藤 将来のこと考えることも増えたな。就活始めてる人もいるし。そういうのに感化されてますね。本読んだりとか。そういう存在がいるのすごくありがたい。

杉山 サッカーしかしてなかったから本当にありがたいよね、広い視野を持っているわけだし。その時期になれば何となく就活するのかなって思ってたけど、どうそういうわけじゃないよね。

工藤 自分の人生だから自分のタイミングで決めればいいけど、グループディスカッションとかあんまり分からないから助かるね。サッカー並みに打ち込める仕事ならしたいかな。まずはサッカーに本気を出していくけどね。

杉山 本気でやっていけば道も開けるだろうし。

――一押し選手は加藤選手を挙げられていました

工藤 期待してるし、結果も伴ってるし。やってくれるっていう雰囲気もあるし、1年間悔しい思いをしてきて。それを表現してくれてるよね。社会貢献活動にも積極的に協力してくれて、色んな意味で期待してます。

杉山 2年生だけど本当に期待してる。周りのこと立てるし。年下とは思えないよね。

工藤 コミュニケーション取るのが上手いからどの学年とも仲良いよね。懐に入るのが上手いんだよね。

杉山 本当にそう、気付いたらもういるんだよね。

工藤 人としての魅力がすこい。悔しさをもって早稲田にきてるから、それがパワーアップさせてる感じ。

杉山 梁くん(賢柱、スポ3=東京朝鮮)にも期待してるんですけど、けがに悩まされているので後期こそは出て欲しいです。

工藤 けが人多いよね。太一くん(武田、スポ4=ガンバ大阪ユース)とかあんな強靭なフィジカルの人が練習試合でけがするなんて誰も想像してなかったし。そこに代わってっていう気持ちもゴリはあったんだろうね。俺はけが少ない方ですね。


広い視野で回りを生かす工藤選手

――早慶戦への思いを聞かせてください

工藤 早慶戦に憧れて早稲田に入ったって言うのは過言ではなくて。あんなにいっぱい人がいてかっこよすぎるじゃないですか。最初は早稲田に染まらないとか思ってたんですけど、気付いたら血がエンジ色なんじゃないかってぐらい染まってて。絶対に負けられないっていう気持ちが生まれてて。気付いたら慶應には負けてはいけないっていうのがあって。慶應には友達も何人かいるんですけど、会うと気まずいですね(笑)。だから本当に出たくて仕方ない、最高の舞台。去年出たけど、本当に音がすごくて。自分の声しか聞こえなくて本当にすごかった。耳を塞いで喋ってるみたいな感覚で。俺が競り負けて失点しちゃったのは忘れられないな。まじで死ぬ前に思い出すんじゃないかなって。去年とかは終わった後、涙出ちゃったし。それぐらい最高の場所だよね。

鍬先 お前の後話しづらいわ(笑)。やっぱりサッカー選手は注目されてなんぼだと思うので、そういう中でプレーできるのはありがたいし、自分の今まで頑張りをそこで発揮したい。自然とモチベーションも上がるし、勝ちたいと思う。とにかく楽しみたいかな。俺と工藤が1年のときにずっとチケットもぎりしてたんですよ。その時すごい出たいって思った。早慶戦を作ってくれてる人もいるけど、試合に出てる選手がすごく輝いて見えて。だからこそ試合に出たら早慶戦を作ってくれてる人のためにも勝ちたいです。

工藤 あの時約束したんだよね。Bゲートで永遠にチケットもぎってて、試合も始まっちゃうから交代交代で試合のぞいたりしてて。終わった後に水場でゴミの片付けしてて、絶対来年は出ようって誓ったんですよね。ゴミ袋探って分別したりしたね。でもだからこそ、絶対頑張ろうって決めたね。

杉山 俺は1年でも2年でもベンチだったのがすごく悔しかったの覚えてる。しかも直前に決まったし。今年はやっぱり自分というよりは、チームを勝たせるためのプレーがしたいかな。相手にめちゃくちゃ強いこだわりがあるわけじゃないけど、

工藤 かっこつけるなよ(笑)。さっき俺の話聞いてめっちゃ頷いてたじゃん(笑)。

杉山 お前がエンジ色に染まったことに納得してたんだよ(笑)。早慶戦に出るのは目標だし、絶対に叶えたい。今年も出られるのであれば、その思いをピッチで表現したいですね。

――リーグ戦とは全然違いますよね

工藤 もうエンターテイメントですよ。

鍬先 まじで負けたくないよね。

杉山 裏で作り上げてくれる人のために絶対に勝たないといけない。

工藤 負けとか想像できない。何連覇とか正直関係ないんだよね。皆の思いを汲んで戦わないといけないし、それを背負った結果負けましたっていうのもあり得ない。絶対に勝たないといけないんですよ。紺碧の空歌いたいですね、去年大泣きしました(笑)。自分のミスで負けたと思って焦ってたんですよ。

杉山 え、焦ってたの?(笑)

工藤 そりゃ焦るだろ(笑)。慶應が点決めた後さ、雰囲気持っていかれたと思ったよ。そしたら太一くんがバシッと決めてくれて、自分が決めたかのように喜んじゃったよ(笑)。

杉山 緊張はした?

鍬先 いや、しなくて、楽しかった。

工藤 俺もそうだった。普段はビクビクしちゃう方なんですけど、俺かっこいいって思った(笑)。やるしかないし、体がすごい動く。アドレナリンが出まくって、多分肉離れとかしても気づかないよ(笑)。

杉山 まじか、それはすごいわ。

工藤 クワは冷静だから、はいはい、慶應ね、俺が裁いてやるよ。ってなるんですけ(笑)。暗くなって雰囲気がすごい良くて。アップとかも調子乗っちゃうの(笑)。蹴れもしない左足でボテボテのキック蹴ったりしても恥ずかしくないの、あそこにあるのがもうかっこいい。メインスタンドから応援席まで歩く道。あそこは俺史上一番かっこいいと思う(笑)。

――最後に早慶戦への意気込みをお願いします

鍬先 早慶戦に関わってくださる人のために絶対に勝ちます。

杉山 勝利に導きます。

工藤 早稲田の勝利のために自分ができることを最大限にして、絶対に勝たせます。それがメンバーじゃなくてもできることはあると思うので。

――ありがとうございました!

(取材・編集 大山遼佳)


色紙にはそれぞれ「魂」「勝」「滾」

◆杉山耕二(すぎやま・こうじ)(※写真右)

1998年(平10)4月19日生まれ。身長180センチ、体重73キロ。東京・中大杉並高出身。前所属・三菱養和SCユース。スポーツ科学部3年。1、2年時はベンチで早慶戦を見ていた杉山選手。今年こそはピッチでチームを勝利に導くと気合は十分です!

◆鍬先祐弥(くわさき・ゆうや)(※写真中央)

1998年(平10)5月15日生まれ。身長175センチ、体重72キロ。東福岡高出身。スポーツ科学部3年。チームメイトからの信頼が厚く、常にクールな鍬先選手。守備にも攻撃にも積極的に関わる鍬先選手のハードワークが勝利をもたらします!

◆工藤泰平(くどう・たいへい)(※写真左)

1999年(平11)3月23日生まれ。身長178センチ、体重74キロ。神奈川・日大藤沢高出身。スポーツ科学部3年。早稲田愛にあふれ、いつもチームを盛り上げる工藤選手。エンジ色に染まった工藤選手のかっこよさに注目!