8月7日(日本時間8日)、メジャーでは2つの大きなニュースが駆け巡った。1つはマーリンズのイチローが通算3000安打に達成したこと。そして、もう1つはA・ロッドことヤンキースのアレックス・ロドリゲスが引退を発表したこと。■3000安打で殿堂…

8月7日(日本時間8日)、メジャーでは2つの大きなニュースが駆け巡った。1つはマーリンズのイチローが通算3000安打に達成したこと。そして、もう1つはA・ロッドことヤンキースのアレックス・ロドリゲスが引退を発表したこと。

■3000安打で殿堂当確のイチロー、実績十分も殿堂疑問のA・ロッドを米紙が比較

 8月7日(日本時間8日)、メジャーでは2つの大きなニュースが駆け巡った。1つはマーリンズのイチローが通算3000安打に達成したこと。そして、もう1つはA・ロッドことヤンキースのアレックス・ロドリゲスが引退を発表したこと。ともに殿堂入りにふさわしい成績を残す両者は、マリナーズでデビューした共通点を持つ。だが、この日のニュースは実に対照的なものだった。米主要紙「ニューヨーク・タイムス」電子版では「イチローの栄光、そしてA・ロッドの終焉」と題した編集コラムを掲載している。

 7日のロッキーズ戦で三塁打を放ち、3000安打の金字塔に達したイチローは、敵地ながらスタンディングオベーションを受け、チームメイトから心温まる祝福も受けた。殿堂入りを確実にした一打が生まれる数時間前、ニューヨークではA・ロッドが引退を発表。だが、記事では会見場の様子を「彼(A・ロッド)以外に涙目になった人はなく、本当に別れを告げていると言っても、ほとんどの人が信用しなかった」とし、実は白々とした会見だったことを明かしている。

 会見では、ヤンキースのキャッシュマンGMが「彼は得るべきものは全て手に入れる」と残りの契約金が支払われることを保証したが、記事では“言葉の裏側”を分析。「チームは彼を追い出すために金を払う」「数字上は殿堂にふさわしい功績が、いかに汚されたものか、スポーツライターたちの格好のネタになる」といったネガティブな意味も含まれていただろうとしている。

■イチローは「謙虚で優秀、他の模範」、A・ロッドは「嘘つきで詐欺師」

 A・ロッドが正面から受け止めてもらえないのはなぜか。それは「彼が長い間、嘘つきで詐欺師であり続けたため、そして禁止薬物は使用していないと主張した挙げ句、2014年に禁止薬物使用で1年出場停止を受ける羽目になった意固地な人物だからだ」と一刀両断。一方で、イチローが殿堂のあるクーパーズタウンに何度も足を運び、先人たちに学ぼうとした姿勢を紹介しながら、「イチローは安打、成績、勝利、リスペクトを着実に積み重ねるキャリアを送っている」と、あたかも明暗を分けるように両者のキャリアを対比させている。

 初代大統領ワシントンにまつわる有名な桜の木の逸話に代表されるように、アメリカ人は嘘つきを徹底的に嫌い、正直者には寛大な心を見せる。記事では「謙虚で優秀、他の模範となるようなイチロー」がたゆまぬ努力で3000安打の功績を築いたと称賛。一方で「アレックス・ロドリゲスは、ルー・ゲーリックやサーマン・ムンソン、ロベルト・クレメンテのように偉大で尊敬される人物になれたし、成功するために懸命に働き続けた」としながらも「だが、ウソとペテンを重ねたことで、自らこの終焉を招いた」とバッサリ切り捨てた。

 シアトルで同じようにメジャーリーガーとしての一歩を踏み出した両者だが、長い年月を重ね、たどり着いた先はあまりにもかけ離れたものになってしまったようだ。