取材=古後登志夫 構成=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE鶴田美勇士は東海大から京都ハンナリーズに加わった日本人ビッグマンで、198cm102kgの恵まれた体格に加え、走力とスキルを兼ね備えた23歳だ。特別指定選手として途中加入した昨シーズ…

取材=古後登志夫 構成=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

鶴田美勇士は東海大から京都ハンナリーズに加わった日本人ビッグマンで、198cm102kgの恵まれた体格に加え、走力とスキルを兼ね備えた23歳だ。特別指定選手として途中加入した昨シーズンはプレータイム確保に苦しんだが、このチームでは伊藤達哉がそうだったように、特別指定選手では出場機会がほとんどなくても、プロ契約となった途端に主力として起用されることがある。外国籍選手との併用で、またプレーの幅を広げて3番ポジションでと、若い鶴田の意欲は強い。「見返してやる」という気持ちを胸に、プロの世界に飛び込んだ彼に話を聞いた。

「Bリーグはそんなに甘くなかったです」

──昨シーズンは東海大でインカレ制覇を果たし、年明けすぐに特別指定選手として京都に加入しました。9試合出場、そのほとんどが数分だけのプレーでなかなか難しかったと思います。

そうですね、途中から参加したのにチームへの合流が遅れてしまい、短い時間で出させてもらったのですがパフォーマンスがまだできていなくて。大学でのほうが自分に合ったバスケットができていたし、パフォーマンスも良かったと思います。大学である程度の経験はしてきたので、プロでもやれる自信は結構あったんですけど、Bリーグはそんなに甘くなかったです。「なんで出られないんだ」とか「悔しい」とはあまり思っていませんでしたが、「見返してやる」という気持ちは強く持っていました。

練習を一生懸命にやっても試合に出られない経験は大学時代にもありました。ただ、プロになったからには自分の足りないところが何なのか、今まで以上にしっかり考えるようになりました。身体の当たりの部分は慣れているというか、ゴール下での外国籍選手とのマッチアップ以上に、3ポイントシュートエリアとかでボールをもらった時のディナイの激しさだったり、大学生にはない圧力がありました。

──フィジカルの面ではBリーグで外国籍選手とやっても負けないと感じましたか?

トレーニングは今までもずっと、大学でもものすごくやってきました。フィジカルは自信があります。外のシュートもそれなりに得意なので、「デカい割には入る」と思われるように、今もっとシュート力を磨いているところです。

「なるべく多くの試合に出ることがまずは目標です」

──特別指定選手は、大学でやることを免除されるわけではありませんよね。東海大と京都の掛け持ち、しかもプロの新しいチームに馴染まなくてはいけないから大変ですね。

大学の大会がすべて終わった後の1月にチームに合流したのですが、学校の行事はまだまだあったので、行ってもすぐに帰る感じで結構忙しかったです。神奈川から京都と移動距離も長かったので、移動するだけで疲れましたね(笑)。京都まで行って2日間いて、そして戻って、みたいな繰り返しでした。

──チームに馴染むのに苦労はありましたか?

大学だと学校と部活と、寮まで一緒なのでコミュニケーションはずっと取れていたんですけど、それと比べるとコミュニケーションが取りづらくて戸惑った部分はあります。でももう京都に引っ越して来たので、これからですね。

──昨シーズンは現場研修のようなものでしたが、これからは勝負の世界になります。学ばなきゃいけないけど、結果も出さなくてはいけない。どんな気持ちで臨みますか?

なるべく多くの試合に出ることがまずは目標です。いろいろと学ばなければいけない部分はありますが、コートに立った以上は全力でプレーして、なおかつ自分の勉強にもなるように。昨シーズンに(浜口炎)ヘッドコーチに言われていたのは、とにかくコートの端から端まで全力で走ること、ブレイクには積極的に参加すること、持ち味のリバウンドを頑張ることでした。ここに加えて得点も取れればいいんですけど、まずはそういう泥臭い部分でチームに絡めたらいいと思います。

また試合に出ていない時にも学ぶことはたくさんあります。チームに合流してコートの外から試合を見ることが多かったんですけど、相手がどういうプレーヤーなのかをしっかり見て。大学の時も相手の映像を見て、1人でスカウティングみたいなことをやっていました。Bリーグ以外にもNBAや大学のNCAAも結構見ています。単純にバスケが好きだから見ているのもありますが、そういう努力は怠らないようにしたいです。

「プロで通用するマルチプレーヤーになりたい」

──バスケットボールから離れた時の鶴田選手はどんな感じですか?

人見知りで話すのも下手ですが、こういう取材だと頑張っています(笑)。そんなにガツガツしたところはなく、仲良くなると次第に自分の性格が出していける感じです。人からはよくクールだと言われますが、そんなに自覚はないですね。

──京都での暮らしも本格的にスタートしましたが、どんな感じですか?

休みは結構アウトドアというか、出掛ける方です。京都なのでお寺を巡ったりしたいですね。体育館が使えずに練習できない時にはいろんなところに行きます。京都ではチームメート以外はあまり友達がいないので、友達を作りたいんですけど、まだなかなか。意外と一人の時間も好きなので、自分でどこかに行くんですけど。

あと僕は結構、料理とかするんです。得意料理は肉じゃが。大学の時も誰にでもできるような簡単な料理はちょいちょい作っていたんですけど、今回は本格的に一人暮らしを始めたので、料理も凝ったものを始めようと。味にこだわったり、まず調味料とかいろいろ買いこんだりして。意外とマメなんですよ(笑)。

──ではあらためて、新シーズンに向けた意気込みを教えてください。

昨シーズンは外国籍選手の控えとして出ていましたが、入れ替わりで出るのではなくて一緒に出て、自分が『ストレッチ4』とか、シュートレンジを広げてポジションを4番から3番にコンバートするとか、それぐらいの気持ちでやっていきたいと思っています。プロで通用するマルチプレーヤーになりたいですね。

ファンの方からは、コートではすごくクールで、試合後はんニャリンと絡んでいるお茶目な感じのギャップ萌えみたいに言われます。でも、まずは自分が輝いているところを見てもらいたいので、たくさん試合に出てコート上でカッコ良い姿を見せたいです。