大学生男子個人王者を決める大舞台、第67回全日本学生選手権(全日本)が幕を開けた。早大からは激戦区・関東地区を勝ち抜いた秋山健太主将(スポ4=福岡・福大大濠)、中嶋優樹副将(法4=東京・國學院久我山)、藤田啓人(スポ3=東福岡)の三剣士が…

 大学生男子個人王者を決める大舞台、第67回全日本学生選手権(全日本)が幕を開けた。早大からは激戦区・関東地区を勝ち抜いた秋山健太主将(スポ4=福岡・福大大濠)、中嶋優樹副将(法4=東京・國學院久我山)、藤田啓人(スポ3=東福岡)の三剣士が出場。秋山と中嶋にとってはそれぞれチームを先導する主将、副将として迎えた大学生活最後の個人戦、藤田にとっては大学生活初の全日本での個人戦挑戦の場。気合十分で臨んだ3人だったが、中嶋と秋山は3回戦敗退、藤田は2回戦敗退と、団体戦に向け課題の残る結果となった。

 予選である関東学生選手権においてベスト8の好成績を収めた藤田。1回戦で相手の反則により勝利を得ると、2回戦では九州地区で準優勝の難敵・曽田俊平(鹿屋体大)と激突。緊迫した空気に包まれた延長戦の中、一瞬の隙に引きメンを決められまさかの2回戦敗退。一方、副将の中嶋は「しぶとく試合をして最後に一本取る気持ちで試合に臨みました」と粘り強い試合を展開し1,2回戦ともに延長戦に突入。「ちょっと狙っていました」と1、2回戦いずれもツキにて一本を決め連勝。しかし、続く3回戦では日体大の杉本航輝に遠い間合いから飛び込んできたコテメン技でメンを許し、無念の一本負け。3回戦で姿を消す事となった。


粘り強く一本を狙う中嶋

 持ち味である安定した剣道で1,2回戦にメンで勝利を重ねた秋山は3回戦で強豪・中央大学の清家羅偉と対戦。「良い流れのままいけるかなと思った」と1、2回戦の流れに乗って自分のペースの剣道を貫くも、延長戦でメンを決められ3回戦敗退。惜しい技もあったもののあと一歩及ばず、悔しい結果となった。


攻めを緩めない秋山

 日本全国から選りすぐりの剣豪が集まった今大会。「みんな練習では出せている実力が試合になると出せていない」(秋山)。出場した3人が2回戦もしくは3回戦で敗退を喫し、不本意な結果となった。秋には『日本一』を目指す団体戦が控えている。「覚悟を持って団体戦に臨みたい」(中嶋)「しっかりと次の大会に向けて切り替えたい」(藤田)。早大剣士たちの姿は早くも秋の団体戦での挽回を狙う気迫で溢れていた。厳しい夏の鍛錬を経て成長した早大剣士たちの姿に期待が高まる。

(記事、写真 湯口尊)

結果

秋山 3回戦敗退

中嶋 3回戦敗退

藤田 2回戦敗退

★秋山が東西対抗試合に出場

 全日本学生選手権(全日本)終了後、同会場にて全日本学生東西対抗試合(東西戦)が行われた。全国から選ばれた有力選手が20人ずつ東軍と西軍に分かれ、延長なしの勝ち抜き形式で戦う。早大からは秋山健太主将が東軍十二将として出場した。秋山は、11試合を終え東軍が3人ビハインドの状態で迎えた12戦目に出場。西軍十五将の徳永寛司(西南大)にメン2本で勝利した後、西軍十四将の宮崎大輝(朝日大)に引き分け、11将へ引導を渡す形に。最終的に東軍が西軍に勝利するも「本当はもっと相手を抜きたかった」と、秋山は少し悔しそうな表情を浮かべた。今春の悔しさをバネとして一回りも二回りも殻を破り成長するために、早大主将の新たな戦いがここから始まる。

コメント

秋山健太(スポ4=福岡・福岡大大濠)

――試合全体を振り返ってみていかがでしたか

2試合目くらいまで良くて、3試合目も良い流れのままいけるかなと思っていたら打たれて負けたので悔しいです。決して悪くはなかったとは思っていたいんですけど、単に実力不足でした。

――本大会は大学剣道生活最後の個人戦でしたが、今どのような心境ですか

大学では個人戦で勝てていなかったので、できれば個人戦でも結果を残せたら良かったなと思うのが素直な気持ちです。

――これから団体戦の大会が始まりますが、個人戦よりも団体戦において求められる能力は何だとお考えですか

シチュエーションごとに応じた能力が求められることだと思います。攻撃力を上げて一本を取りに行かなければいかない時、防御力を上げて守らなければいけない時とか。あと特に副将や大将など後ろの立場になったら同本数の時に粘り強く勝つ能力も求められると思います。

――今日の試合を通して団体戦までに克服すべきことは何だと感じましたか

みんな練習では出せている実力もどうしても試合になると出せていない部分が多く、あともうひとつの詰めが足りないと思うので、この夏しっかりと稽古に励みたいと思います。

――東西対抗試合を振り返っていかがでしたか

本当はもっと相手を抜きたかったんですけど、体力が切れました笑。

中嶋優樹(法4=東京・國學院久我山)

――試合全体を振り返ってみていかがでしたか

もともと最近あまり調子が良くなくて、しぶとく試合をして最後に一本取るという気持ちで試合に臨みました。最後は受けにまわってしまい、やられたなぁって感じです。

――1回戦、2回戦では延長線でツキを決めましたが

あれはちょっと狙っていました。得意技のメンがなかなか出なかったんですけど、何で決めようかなと考えた時にツキあたるんじゃないかなと感じて出しました。決まったので良かったです。

――初戦から3回戦にかけて惜しい技が多くあったように感じましたが、振り返ってみていかがですか

個人戦ということもあって、慎重になりすぎて前に攻めきれていなかった部分があったように思います。また、普段練習している道場が滑る床なんですけど、今回の試合会場が滑らない床で慣れていなかったので、少し足をもっていかれて攻めきれていなかったのかもしれないです。

――大学個人戦の最後として何か得られたことはありますか

普段あまり長い時間を使って試合をすることがなかったのですけど、2回戦では実績ある選手に粘り強く勝利することができたので少し自信になりました。

――最後に、団体戦に向けて意気込みをお願いします。

今年は副主将で自分にとって最後の年、自分がチームを引っ張って結果を出さなければいけないと覚悟を持って団体戦に臨みたいと思います。

藤田啓人(スポ3=東福岡)

――試合全体を振り返ってみていかがでしたか

結果としては2回戦敗退となってしまったのですが、試合の入りとしてはそんなに悪くはありませんでした。試合中も自分の中では、いけそうな感じがあったのですけど一瞬気が抜けたところを打たれてしまいました。反省しています。もう負けたことは仕方ないので、しっかりと次の大会に向けて切り替えてやっていきたいと思います。

――今大会に向けて準備してきたことはありますか

攻め方を変えたり、攻めに工夫を加えたりする練習をしてきました。また、打った技を一本にできるように、無駄打ちがなるべく少なくなるようにすることも稽古の中で意識してきました。

――今後の課題は本大会で見つけられましたか

最後に打たれた場面もそうなんですけど、やはり一瞬の差で勝負が決まると思うので、気の張り方や試合の進め方を見直して、試合時間である4分間をより集中できるようにしたいと思います。