普段は見ることができない選手同士の夢の競演。関東大学オールスターが開催された。関東大学春季大会で活躍した選手が関東大学リーグ選抜(リーグ選抜)と関東大学対抗戦(対抗戦選抜)のエキシビジョンマッチが行われ、ハイレベルの攻防を観に多くの観客が…

 普段は見ることができない選手同士の夢の競演。関東大学オールスターが開催された。関東大学春季大会で活躍した選手が関東大学リーグ選抜(リーグ選抜)と関東大学対抗戦(対抗戦選抜)のエキシビジョンマッチが行われ、ハイレベルの攻防を観に多くの観客が会場に詰めかけた。両チームともに気合十分で挑んだ試合。早大からは対抗戦選抜にSO岸岡智樹(教4=大阪・東海大仰星)、CTB中野将伍(スポ4=福岡・東筑)、ロック星谷俊輔(スポ3=東京・国学院久我山)の3名が選手として選抜された。対抗戦選抜は12-0と試合をリードして折り返す。エンドが変わった後半、対抗戦選抜は4トライを挙げ、相手を圧倒。大雨が降りしきる中、キックを有効的に使い、試合を優位に進めていく。最後まで相手の反撃を許さず、38-0で試合を終えた。


パスやキックなどのプレーで存在感を示した中野将

 序盤はリーグ戦選抜の強烈なタックルに阻まれる。しかし、徐々にボールを展開し、相手をかわしていく。すると、前半13分岸岡のロングパスから好機を演出。敵陣奥深くのラインアウトモールに持ち込むと、そこから展開。またも岸岡が大きくパスをつなぎ、WTB山村知也(明大)が左隅に飛び込む。このまま得点を重ねるかと思われたが、両者反則や、連携ミスなので得点することができない。終盤にタックルからこぼれ球を拾う。またも山村につなぎ、インゴールを駆け抜ける。このまま、リードを保ち12-0で前半を終えた。


前進を試みる星谷

 後半3分、対抗戦選抜は敵陣奥深くに攻め入る。ラインアウトからモールを組み、リーグ戦選抜のペナルティーを誘う。スクラムを選択し、得点を奪おうと図るもリーグ戦選抜が意地を見せ、トライにはつながらない。11分スクラムから岸岡が相手ディフェンスにギャップを見逃さず、ビックゲイン。その後ラックサイドを突破し、プロップ細木康太郎(帝京大)がインゴールでボールを押さえる。17分にも山村がこの試合ハットトリックとなるトライを決める。28分には岸岡が右にキックパスし、競り合ったボールをCTB栗原由太(慶大)がインゴールでグラウンディング。そのまま相手を寄せ付けることなく、終盤にも1トライを加えて完封で勝利を収めた。


MVPに選ばれた岸岡(写真左)

 普段、選手たちは早大内でしか練習しない。他大学の敵同士で対戦するトップレベルの選手と試合をすることは「自分が早大に帰っても僕も小さい部分、細かい部分にこだわっていきたいなと思います」(星谷)と語るように刺激になったのではないだろうか。この大会で春シーズンは終了。次は夏合宿、ひいては関東大学対抗戦(対抗戦)だ。例年と比べ、変則的な日程で行われる今季の対抗戦。例年以上に長いシーズンになる。そのため、今まで以上に早い準備が必要だろう。夏に選手たちがどんな成長を見せるのだろうか。

(記事 小田真史 写真 千葉洋介、安岡菜月)

コメント

ロック星谷俊輔(スポ3=東京・国学院久我山)※囲み取材から抜粋

――オールスターに選出されたことを知ったのはいつでしょうか

 一昨日ですかね。

――選出された時の心境はいかがですか

 まず一番最初はびっくりしました。ですが、「選ばれたからには頑張らなければいけないな」という思いでした。

――この試合で心掛けていたプレーはありましたか

 僕自身は春のシーズンでディフェンスなど課題が色々と出てしまったので、そこの部分はこういう試合を利用して改善していければいいなと思っていました。ディフェンスを意識していました。

――他大学の選手と実際にプレーしてみて感じことはありますか

 すごくラグビーの細かい部分にこだわってるなと試合前の流しのような練習でもしっかりとこだわっていました。この部分は自分が早大に帰っても僕も小さい部分、細かい部分にこだわっていきたいなと思います。

――印象的だった「細かい部分にこだわっている部分」はありますか

 ブレイクダウンの姿勢とかですね。低さとかそういう部分ですね。あとは急造チームだったのに、すぐに打ち解けるようなコミュニケーションの質とか量。そういった部分です。

――ご自身のプレーを振り返ってみていかがですか

 1回、外国人留学生の選手とコンタクトした時にまだまだですけど、止めることができました。短い出場時間でしたが、タックルの質とかはもっともっと上げていければなと思います。

――春シーズンを振り返っていただけますか

 ディフェンスのところですごく自分的に個人として課題が出ました。なので、これからはスケジュールがイレギュラーの部分も多く、準備する期間が短いです。自分の中で課題として出た部分を磨いて弱みを強みにしていければいいなと思います。

――関東大学春季大会は全試合出場されましたが、自信につながりましたか

 そうですね。出してはいただいたのですが、けが人の状況ですとかそういった都合で出ただけなので。上のレベルだと課題がどんどん明確化してくるということが分かったので、ある意味でいい経験をさせてもらいました。そこを次につなげれるようにやっていきたいです。

――ご自身の強みとしている部分はどこでしょうか

 僕自身はボールキャリーの部分です。できていたかと言われると微妙ですが、そこ自体は得意にしているので、どんどん伸ばしていければと思います。

――春シーズン、アドバイスを受けることはありましたか

 早大の先輩には色々言われますね。色々怒られているので、まずは人から信頼されるような人になること。尊敬する選手は大野均選手(東芝)です。あんなに動けて、すごくハードワークしますし、ずっと味方から信頼され続けている。僕にとって足りないものを多く持ってる人なので、尊敬もしてますし、参考にもします。

――現状をどのように捉えてますか

 春シーズン僕は全然だめでした。試合に出ていたというかたちだけで、内容は全然チーム的にも納得いっていない試合ばっかりでした。ディフェンスの課題が明確化したということを突き詰めていかないとリザーブで出たり、スタメンで出たり、今不安定な状態を脱却できないと思います。普段の練習から意識して課題を克服していきたいです。

SO岸岡智樹(教4=大阪・東海大仰星)

――オールスターに選出されましたがいかがでしたか

 僕自身オールスターで出場は初めてで、やはり大学で関東でラグビーやってる身としては、この舞台に出たいなって気持ちがこの4年間あって。この舞台立てたということがきょうの1番嬉しいことです。MVPというかたちで選んでいただいたんですが、正直なところ教育実習明けということでコンディションにちょっと不安がありました。でも選んでいただいたことにまず、嬉しさがあったので、全力でやろうと思いました。

――今回その不安があった部分の中、どういうプレーが評価されたと思いますか

 選出理由について最初はゲームメークだと言ってくださったのですが、僕自身としては微妙で。個々の能力が高い選手が集まっていた中で、まとめられたというところを評価された理由と聞きました。

――個々の能力が高い選手ということでしたが、一緒に試合をやってみていかがでしたか

 高校代表だったり、世代別代表で合宿で一緒だったりする選手が多かったので、コミュニケーションについては緊張することもなかったです。副キャプテンも任されていたので、試合のゲームメークはほぼほぼ任されていました。僕がこうしたいということはみんな理解してくれて、やり易かったということが大きかったですね。

――キックパスからのトライにつながったシーン、振り返っていかがですか

 「スペースにボールを運ぶ」ということがきょうのモットーでした。なので、アタックで攻めてトライを取るということをきょうのキーポイントとして評価していたので、最終的なパス手段としてキックパスは華やかですが、あくまでパスでトライを取るための方法なので。僕としてはパスとキックは難易度では差があるんですけど、ツールだけの話なので目的としては前に進む、トライを取るためと一貫してプレーの選択をしているつもりなので、その点で振り返るとあの場面はコミュニケーションもしっかりと取れたいい選択だったと思います。

――きょうの試合でFWよりBKを使う場面が多かったですが、そこはやはり意識してですか

 エキシビションマッチなのでボール展開して絡んでいくのが、僕の中ではマストだったので。試合展開としては雨だったり、スクラムが競っていた上に、FWが消耗戦だと感じていたので。個々の能力が高い、山村選手(WTB山村知也、明大)が3トライ取ってくれた結果もありましたので、BKで勝負するのが妥当かなというところもあったのでそういう選択はしました。

――春シーズンの総括をお願いします

 早大はシーズン明けてから練習始まったばかりですけど、タレントがそろってると言われてる中で、外からはFWが辛いと言われますけど自分たちがスキルアップしていきたいと思ってるのが、得点力だったりというところが着々と目に見えた結果として出ているので、そこの精度というか自分たちが間違っていないということは実感しているところがあるので、そこはやっていけたらなと思います。

――最後に夏に向けての早大としての課題と個人の課題をお願いします

 早大の課題としてはスクラムが一番のところですけど、個人としてはもう少しチームとしてのやるべきこと、SOというゲームメークをする役割を担っているので、得点力は上がってるんですけど自分たちの強みをもっと、失点も取られてるとこがあるのでそこをしっかりとできればなと思います。

関東大学オールスター
対抗戦選抜スコアリーグ戦選抜
前半後半得点前半後半
1226
38合計
【得点】▽トライ  ▽ゴール ※得点者は早大のみ記載

   

早大メンバー
背番号名前学部学年出身校
10岸岡 智樹教4大阪・東海大仰星
12中野 将伍スポ4福岡・東筑
21星谷 俊輔スポ3東京・国学院久我山
※監督は相良南海夫(平4政経卒=東京・早大学院)