J1リーグ第17節。トルステン・フィンク監督になって3戦目となるヴィッセル神戸が、ここ5試合勝利がない名古屋グラン…

 J1リーグ第17節。トルステン・フィンク監督になって3戦目となるヴィッセル神戸が、ここ5試合勝利がない名古屋グランパスをホームに迎えた。

 神戸はアンドレス・イニエスタが復帰し、三田啓貴、小川慶治朗に代えて古橋亨梧、郷家友太を先発で起用。一方の名古屋はルヴァン杯でケガをした丸山祐一の代わりに、本来はボランチのジョアン・シミッチをセンターバックに入れ、ボランチにエドゥアルド・ネットを、さらに左サイドバックには2列目の和泉竜司を入れて臨んだ。



名古屋グランパスを下し、ガッツポーズを見せたアンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)

 試合は予想どおり、名古屋が主導権を握る。これに対して神戸は、ジョーへの縦パスをダンクレー、宮大樹が徹底的に潰す。攻撃では名古屋のハイラインの裏をダビド・ビジャが何度も狙うが、オフサイドになる。

 均衡が破れたのは前半27分。左サイドで初瀬亮のスルーパスに抜け出したビジャが、1対1で対応したシミッチにドリブルを仕掛け、シュートをゴール右隅に決めて神戸が先制し、前半を折り返す。

 後半に入ると、スコアは一気に動き出す。後半13分、エドゥアルド・ネットの縦パスをエリア内で受けたジョーが、一度タメを作ってから左サイドの和泉にパス。和泉がこれを冷静に決めて同点に。しかし神戸も後半18分、イニエスタが見事なミドルシュートを決め、再びリードする。

 名古屋は後半20分に相馬勇紀を投入。すると、すぐに効果が表れる。左サイドからカットインして打った相馬のシュートはDFに当たったが、そのボールを初瀬とGKキム・スンギュが譲り合う間に、宮原和也が押し込んで2-2に。しかし、その3分後にはイニエスタの絶妙なスルーパスを受けた郷家がエリア内で倒されPK。これをイニエスタが沈め、神戸が再びリードする。

 乱打戦はこのままでは終わらなかった。後半32分、名古屋は再び相馬のシュートがDFに当たり、そのボールをジョーがヘッドで落とすと、中谷進之介がヘディングで押し込んで、三たび同点に追いついた。

 だが、最後に勝利をつかんだのは神戸。後半34分、最終ラインでボールを運ぶシミッチからビジャがボールを奪い、ペナルティエリア内に侵入すると、GKランゲラックに倒されPKを獲得。これを自ら決めて4-3と勝ち越しに成功。最後は途中出場の小川が豪快なシュートを決めてトドメを刺した。

 神戸はフィンク監督が就任して、これで2勝1分けと、順調に勝ち点を挙げている。その理由は、対戦相手のスカウティングを徹底していることだと思われる。FC東京戦は相手のショートカウンター、大分トリニータ戦はハイプレッシャーへの対応が奏功した。そして名古屋戦で徹底したのは、ジョーへの縦パスを潰すことと、ハイラインの裏を突くことだった。相手のストロングポイントを潰して、ウィークポイントを突く。それがうまくいっている。

 さらに、選手起用でも、各選手の特徴を活かしている。チームで一番決定力のあるビジャはワントップ。チームで一番ボール奪取能力がある山口蛍はアンカー。そして攻撃の中心であるイニエスタを活かすために、両ワイドに運動量のある選手を置き、守備の時は中に絞らせてイニエスタの負担を減らしている。

 また、ウェリントンのポジションにも注目したい。本人自ら「新しい発見だ」と言うように、トップ下で起用されている。彼にボールが収まることで、イニエスタが前を向いてプレーでき、場合によってはビジャを裏に走らせることもできる。まさにイニエスタとビジャのつなぎ役として効いている。

 バルサ化を標榜していた頃の神戸は、全員でパスを回して崩すというサッカーを目指していた。とはいえ、崩せなければ横パスばかりになり、そこからカウンターを受けることもしばしばだった。フィンク監督が就任してからは、選手個々の特徴を活かし、それがチームの力になるようなサッカーに変わりつつある。

 フィンク監督になってここまで3試合で、それぞれ違う顔を見せる神戸。ここからどこまで巻き返せるのか注目したい。