単なる経験では終わらせない、「人生を掴みに行く」戦いが始まろうとしている。 天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会2次ラウンド。7月3日、明治大学サッカー部は昨年と一昨年のJ1王者川崎フロンターレと対戦する。チームは6月12日(水)の総理大臣…
単なる経験では終わらせない、「人生を掴みに行く」戦いが始まろうとしている。
天皇杯JFA全日本サッカー選手権大会2次ラウンド。7月3日、明治大学サッカー部は昨年と一昨年のJ1王者川崎フロンターレと対戦する。チームは6月12日(水)の総理大臣杯でベスト8進出を決めてから、完全にスイッチを切り替えこの日に照準を合わせ練習を積んでいる。
大学年代がJ1王者相手にどこまでできるのか、それはただの勝敗だけではない。「臆さずにプレーをすることで日本のサッカーそのものに刺激を与えられるかもしれない」と、栗田大輔監督は話す。選手たちにはこの1戦、全てを懸けて戦いもし勝利を掴むことができたのならば、次の日の人生が変わるかもしれない。そのくらいの覚悟を持って臨めと意識づけている。
選手達の気持ちも同じだ。佐藤亮キャプテンは4年生にして初めて天皇杯に出場しビッククラブと対戦する権利を得た。2019シーズンが始まる前、4年生で毎週定期的に行うミーティングの中で選手達から自然と言葉が出た。「天皇杯に出場して、J1を倒そう」4年生16人全員の意志は固かった。
シーズン序盤は怪我のため試合に出場することすらできなかった佐藤。そこから復帰し、FWとして得点を取り続け再びスタメンの座を掴んだ。厳しい研鑽を積んだ集大成となる4年目、成し遂げたい目標のひとつが、もう目の前までやってきている。
「最後は自分が点を取ってチームを勝たせる」背中で見せる覚悟はできている。
川崎との対戦、当日は明大イレブンが経験したことのない大歓声に包まれるだろう。
どんな雰囲気となるのか、一足早く経験をしているのは来季FC東京の加入が内定している安部柊斗。6月15日Jリーグ第15節ヴイッセル神戸との試合に特別指定選手として途中出場した。38506人が入ったスタジアム。ビジャやイニエスタと同じピッチに立った。あの雰囲気、大歓声はずっと忘れることはない、と振り返る。経験したことを糧に、緊張せず天皇杯にも臨めると自信を覗かせる。
今年の明大はシーズン当初から監督の閃きで特殊なシステムを採用している。日本のサッカーでは珍しい3-2-3-2。攻撃の時はサイドが上がり4人のFWにトップ下、極端に言うと5人で攻撃するというかたちになる。5人で攻撃し、5人で守備をする。栗田監督は今年のメンバーの特徴を見た時にこの形ができるのではないかと考え遂行しているのだ。2019シーズンここまで公式戦16試合戦い15勝1敗。そのうち12試合無失点というのがこのシステムの浸透、今の明大の強さを表している。
いざJ1王者との決戦へ。
2009年、天皇杯で明大は当時J1のモンテディオ山形と対戦し、長い歴史の中で初めてJ1クラブに勝利した大学サッカー部となった。
再び歴史を刻む瞬間を求めて。「王者の壁を扉に変えろ」を合言葉に、それぞれが人生を変える戦いに挑む。
天皇杯JFA第99回全日本サッカー選手権大会2回戦 川崎フロンターレVS明治大学の試合は7月3日(水)19時から等々力陸上競技場で行われる。
取材・文 / スポーツブル編集部
撮影 / 運動通信社
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