今季、主将としてチームの先頭に立つ大芦知央(スポ4=大阪・関大北陽)。けがの影響で早慶戦への出場は不透明だが、連覇に懸ける思いは非常に強い。チームの集大成である日本学生選手権(インカレ)に向けても、王座は絶対に守ってみせる。いよいよ翌日に迫った早慶戦へ、チームとしての意気込みを伺った。

※この取材は6月15日に行われたものです。

「(記録が)出せる状態にみんなきている」


主将としてチームをけん引する大芦

――インターナショナル標準を切っている選手と一緒に、練習されていると伺いましたが

 今はけがをしてしまって…。(ジャパンオープンは)棄権をしてしまいました。でも一応所属はインターグループで練習をしていました。今はリハビリ中で外れていて、また復活したら(インターグループでの練習を)できると思います。頑張ります。

――どこをけがされているのですか

 腰です。元々持っていたヘルニアが悪化してしまって。

――いつ頃から悪化したのですか

 ジャパンオープンのちょうど1週間前ぐらいにひどくなってしまって、今はまだリハビリ中です。早慶戦には出たいなと思って頑張っていますが、(出られるか)分からないですね。

――ゴールデンウィークの強化期間まではけがに問題はなかったのですね

 はい、一生懸命頑張りました。

――強化期間ではどういうことに取り組まれましたか

 就職活動で練習を抜けていることが多かったので、体力強化の泳ぎ込みであったり、一本一本の強度を高めて泳いでいました。

――就職活動はもう終わっているのですか

 終わりました。

――就職活動中の練習はどのように取り組まれていましたか

 みんなと一緒にできない時間帯であれば他の時間帯で、マネジャーさんにも迷惑をかけましたが、1人でやったりしていました。できるときはみんなと一緒にやっていました。

――十分には練習できていなかったのですか

 そうですね。1人でやるのとみんなでやるのでは気持ちの面などが変わってくるかなと思います。

――練習でも競争するという意識が泳ぎにいい影響を与えるのですか

 そうですね、競争するというところであったり、つらいときに声を掛け合って助けてもらうという面では、みんなと練習する方が(練習が)いいものになるのではないかと思います。

――ゴールデンウィークで主に強化できたと考えるポイントは何ですか

 基本的に体力はすごく向上したかなと思うのと、泳ぎも2月くらいから変えて意識して泳いでいて、そういったところはしっくり来ていて、いい状態でした。

――泳ぎではどういった点を変えたのですか

 以前から1ストローク当たりの力をすごく大事にしていて、一かき一かきでもっと力が入るように、全体重を片方に乗せるという体重移動を意識して泳いでいました。すごくはまってきていたので、良かったなと思っていました。

――日本選手権ではその泳ぎはうまくできましたか

 日本選手権ではみんなと練習できていなくて、少し不安なところがありましたね。1人で出せる力とみんなと練習しているときに出せる力が違うのもあって、去年の日本選手権ほどの自信はありませんでした。でも、その時できることをしっかりやることと、レースの時にそういった泳ぎを意識してできたら、結果自体は良くないかもしれませんが次につながるレースになると思って臨みました。

――日本選手権で得た収穫はありますか

 泳ぎの面では、完全ではないですが体重移動でワンストロークずつ乗せて泳ぐというところであったり、100のレースでいうと前半に焦ってバテてしまうということがあったので、力みを取ってリラックスして前半を入るということはできたのではないかと思います。

――日本選手権の1週間後にあった東京六大学春季対抗戦についてはいかがですか

 六大学は短水路で多少なりともスピードが出るので、壁を蹴る力に任せることができました。でも最後の六大学、人生最後の短水路の試合ということで、自分自身が最後に頑張ろうという気持ちで臨めたので、2種目でベストが出て良かったと思います。

――現時点での課題は何ですか

 前からけがの影響で足の力が入りにくい部分があったので、下半身強化というのは課題にずっと挙げています。あとは高校生の時とは体格が全然違って泳ぎも変わったので、それに対応して1かきごとに進むというのは課題だったかなと思います。いい意味でも悪い意味でも、(体が)大きくなったかなというところはあります(笑)。

――日本選手権の時に「体重が増えている」とおっしゃっていましたが

 そうですね、予定よりも増えてしまいました。でもコンディションという面ではそこらへんはしっかり管理してやっているので、日本選手権ではうまくいきませんでしたが、インカレの時には腰のけがを治して、体重もベストな状態にしてやっていければいいのではないかなと思います。

――ここからはチームの話になりますが、ここまでの全体的な戦いぶりを振り返っていかがですか

 12月頃のウインターカップ(関東学生ウインターカップ公認記録会)では結構みんなベストも出て良かったと思いますが、日本選手権とジャパンオープンという長水路の大きい大会ではあまり(好記録に)つながってこなかったかなというのは僕の中で思っていて。でもその中でも丸山(優稀、法3=埼玉・大宮)であったり、自由形のスプリントで伊藤新盛(スポ2=岐阜・中京学院大中京)、村上雅弥(スポ2=香川・坂出)、日本選手権に出られなかった組では平河楓(スポ1=福岡・筑陽学園)というところがベスト、それも高いレベルのタイムを出してくれました。そういった子たちが頑張ってくれることによって他の選手も刺激になっているので、早慶戦ではみんな期待してもらっていいのではないかなと僕は思っています。

――短水路の大会では結果を残している選手が多いですね

 短水路はいいと思いますが、そこがもう少し長水路につながってくればというのが個々の課題にはなります。練習でみんなが意見を出し合ったり、アドバイスをし合ったりと、いい練習を積めていると思うので、まだ(記録が)出ないだけであって、出せる状態にみんなきているのではないかなと思います。

――意見は学年問わず出し合っているのですか

 そうですね、チームごと、種目ごとにみんなでアドバイスし合ったりしていますね。僕も最近練習ができていないので、上から見て気付いたことを、マネジャーでは言いにくいところもあったと思うので、選手として積極的にアドバイスをしています。

――丸山選手は専門種目が同じですが、活躍は刺激になっていますか

 日本選手権の時は負けたというショックがありましたが、個人的にはショックかもしれなくてもチームのことを考えればすごくいいことで、すごく刺激にはなっています。インカレでは引退レースなので負けないように頑張らないとなという刺激にはなっているので、すごくレベルの高いタイムですが、負けたくないので頑張りたいと思います。

――チームの雰囲気はいかがですか

 みんな楽しそうにやっているのではないかなと思います。

――主将に決まったのはいつ頃ですか

 去年の早慶戦の前日に主将選挙がありました。後輩からの投票です。

――チームをまとめる上で意識されていることはありますか

 僕は去年の主将(井上奨真氏、平31スポ卒)みたいに競技力で引っ張るタイプではなく、一昨年の主将の阿久津さん(直希氏、平30スポ卒)みたいに黙々と真面目に頑張るというタイプでもなく、割とみんなと全体的にバランスを取る方かなというのは思うので、一人一人を見てしっかり話をすることは意識しているかなと思います。

――「主将が明るい」という声をよく耳にしましたが、いかがですか

 歴代の(主将の)中だと一番元気な方だと思います(笑)。

――主将に就任する前と後で意識は変化しましたか

 (チームの)柱にならないといけないと思うので責任感であったり、自覚という面では変わったと思います。

――チームとして新しく取り組むようになったことはありますか

 僕自身けがが多かったというのもあり、けがをするともったいないという思いがあって、後輩にもそういう思いをしてほしくないので、練習後にみんなでストレッチをしています。そこでコミュニケーションも増えますし、けがの予防にもつながるということでやっています。あとあまり最近はできていませんが、レース前にすれ違ったり控えにいる人と、「行ってきます」、「頑張るよ」という感じでハイタッチをします。直接言うのもいいですが、肌と肌が触れ合うと熱が手を通して伝わるのではないかなと思ったので、そういったことをやってみました。

――インカレではシード校の選手は入場のときにハイタッチしますよね

 基本あそこでは最後(決勝で)できますが、予選はハイタッチができないので。控えにいる選手が今からでもできることなので、やっていけたらなと。

――ここからはプライベートな話題に移ります。最近オフの日はどこかへ遊びに行かれましたか

 あしたは富士急(富士急ハイランド)に行こうと思っていたのですが、雨が降りそうなのでなくなりそうです。先週は野球に行って髪を切ってパーマも当てて、その前は野球かな(笑)。僕ひたすら野球に行くんですよね(笑)。西武ドームも行きますし、先週は東京ドームにも行ったり…。でも基本西武ドームですね。

――以前阪神タイガース(阪神)と埼玉西武ライオンズ(西武)のファンだと伺いましたが

 そうですね、どっちなんだという話になると思うんですけど(笑)。一応阪神ファンです。でも6対4ぐらいですね、6が阪神で。

――阪神で好きな選手は誰ですか

 北條選手(史也)は光星学院の時からずっと好きで見ていて、すごくいい選手だなと思っていて、プロに入って2軍の試合も見ていて、知り合いもいて。あと岩田選手(稔)は、僕のスイミングのOBが専属トレーナーをしていて、その関係もあって2回ぐらい会ったことがあって、岩田選手も大好きです。もちろん鳥谷さん(敬、平16人卒)はうちのOBなので大好きで、選べないですね。

――今寮はどなたと同じ部屋ですか

 今は2年生の髙野大祐(教2=東京・立教池袋)と、1年生の簑田圭太(スポ1=大阪・太成学院大高)と、1年生の峯野友輔(スポ1=大阪・関大北陽)で4人部屋です。(学年は)4—2—1—1です。

――峯野選手は同じ高校出身ですね

 はい、同じ高校です。入れ違いなんですけどね。

――簑田選手も大阪の高校出身ですが

 はい、結構強い高校で。僕が簑田くんのお姉さんとお兄さんにすごくお世話になっていて、その関係で圭太も知っていました。ちょうど僕が(1年生の)勧誘をやっていたので、来てくれたらいいなと思っていました。

――部屋会は開かれましたか

 開きました。焼肉ともんじゃを食べに行って…。何回か開いたと思います。あした部屋会で富士急に行こうとしているのは流れそうですが、来月ぐらいに部屋会で野球を見に行こうと思っていて。最後は4分の3が大阪(出身)なので、9月に大祐を大阪に呼んでユニバ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)にでも行こうかなと。(インカレ終了後の)解散中に行けたらいいなと思っています。

――現在マイブームはありますか

 前から好きですが、漫画は最近よく読むようになりました。あと本もよく読むようになりましたね。最近、三億円事件の真相についてを、「私が真犯人です」という人が書いている本(『府中三億円事件を計画・実行したのは私です。』)です。結構いろいろ書いていました。(事件当時)僕は生まれていないですが、「へー」と思いながら読みました。「犯人が書くというからどんなもんやろ」と思って。(作者は)真犯人だと思います。でももう時効で、名前も出さないので。

――フォームを参考にしている選手はいますか

 入江さん(陵介、イトマン東進)はすご過ぎて真似できないなとは思いますが、最近は砂間敬太さん(イトマン東進)であったり、あとは同期で法政の内藤(良太)や中京の宇野(柊平)とはよく意見交換をしているので、参考にしているかなと思います。試合のときなどしか会わないですが、「どんな感じで泳いでる?」とよく聞いています。あと、江戸勇馬さん(八神製作所)です。中京のOBで大阪の先輩ですが、すごく優しくてお世話になっています。最近すごく速くて、一番アドバイスを聞いているかな。2月のきららカップの時もストロークだけではなくてスタートであったり、いろいろ意見を聞きました。

――砂間選手や内藤選手らのアドバイスで取り入れているポイントは何ですか

 ストロークのキャッチの部分や、ストロークのかくところの力の入れ方などを内藤や宇野に聞きました。内藤や宇野は同期なのですごく聞きやすいですね。

――レース前に曲は聴きますか

 レース前は僕曲は聴かなくて。「あわわわわ」ってなっちゃうんですよ。「どうしよう、どうしよう」って。僕こう見えて結構心配性で、(レース前は)リラックスできるように深呼吸をしています。アップテンポの曲を聴いてしまうと余計焦ってしまうような気がしますね。めちゃくちゃ好きな曲はあんまりなくて、これという歌手もいなくて、ライブにも行ったことがないんですよ。そのときのはやりの曲は聴くかもしれないですけどね。でも、基本レース前はみんなと会話をします。(招集所で)うるさいと言われます(笑)。みんなと会話する方が落ち着くというか、自然になれますね。

――大会の直前期間から曲を聴かないのですか

 それはないですね。僕練習に車で行きますが、勝手に(曲が)流れるので聴いたりはします。

「慶応には絶対に負けてはいけない」


インカレも見据え、おのおのが好記録を残したい

――ここからは早慶戦の話になります。ユニバーシアードで男子部では竹内智哉選手(スポ3=神奈川・湘南工大付)と幌村尚選手(スポ3=兵庫・西脇工)がいない中での試合になりますが、その点ではいかがですか

 危機感を持ってやっているというのは正直なところです。もちろんあの2人がいないというのはすごく痛くて。リレーでも個人でもフル活動してもらおうと思っていたので痛いなとは思います。でもその分残っているメンバーが一人一人頑張らないといけないし、慶応には絶対に負けてはいけない試合だと思うので、そういった面ではみんな気を引き締めてやっているのではないかなと思います。

――早慶戦優勝に対する危機感はありますか

 そうですね。特に平泳ぎだと佐藤翔馬、深沢大和という慶応のすごいルーキーがいるのと、フリー(自由形)では成田虎太郎が去年伊東隼汰(社2=東京・早大学院)と(男子100メートル自由形で)同着というのもあったので、そういったところで絶対に勝つというのと、そもそも人数が少ないですが、それでも負けてはいけないと思うので、頑張ります。

――インカレの早稲田基準突破のラストチャンスの大会ですか

 いや、今年は7月末ぐらいまで待つので最後のチャンスではありませんが、みんなで気合を入れて調整をして出る試合となると早慶戦が最後になるので、(インカレレギュラーの)当落線上にいる選手の頑張りにはすごく期待していますし、もちろん早稲田基準を切ってくるかどうかの頑張りが早慶戦の結果にもつながると思うので。どっちもですね。早慶戦で活躍するということを徹底的にできれば、早稲田基準も見えてくると思いますし、早稲田基準を切ることができれば、早慶戦でも勝ちにつながると思うので、両方意識して頑張ってもらえたらなと思います。

――その中で注目している選手は誰ですか

 いっぱいいますが…、誰がいいだろう(笑)。フリーにはすごく頑張ってほしいと思っています。村上の1フリ(男子100メートル自由形)、今野(太介、スポ1=山形・羽黒)の1フリ、伊藤新盛の1フリ、伊東隼汰は安定して速いのでそんなに心配していませんが、あとは田中航希(スポ2=埼玉・春日部共栄)の2フリ(男子200メートル自由形)、簑田圭太の2フリと4フリ(男子400メートル自由形)、古畑(海生、スポ2=兵庫・市川)の4フリと、2フリぐらいまで頑張ってくれたらなと思っています。自由形を僕はすごく注目しています。

――伊東選手以外で男子100メートル自由形の早稲田基準を突破している選手はいませんか

 そうですね、今まだ切っている人はいないので、もちろん早稲田基準を切ってほしいというのが切実な願いです。そこを切らないとインカレでは戦えないですし、リレーがあるのでそこに直接関わってくる種目は1フリと2フリで、そこにダイレクトに関わるのは今名前を挙げた選手だと思うので、そういった選手の活躍はインカレに向けても大事だと思います。

――大芦選手は早稲田基準を切っていますか

 はい、100と200の背泳ぎで一応切ったので。今無理をしてインカレに出られないとまずいので、今はためて、インカレには絶対に間に合わせるための休憩だと思っています。正直なところ(早慶戦に)出られるかは分かりません。もちろん出て点数を稼がないといけないので出たいですが、インカレに出られない方が駄目なので、状態を見ながらかなというのはあります。

――もし出場された場合、慶大の背泳ぎで意識している選手はいますか

 高橋海輝ですね。去年までは総将をしていた夏目大志さん(KEIO)がいましたが、今は高橋海輝ですね。

――個人での目標はありますか

 ずばり、打倒丸山で。チームが勝つために、自分が点数を稼げたらいいなという。正直僕が1位でも丸山が1位でもどっちでもいいですが、取りあえずワンツーというのは絶対ですね。その上で丸山に勝てればうれしいです。

――最後にチームとしての意気込みをお願いします

 絶対勝利の一言以外は何もないと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 宇根加菜葉)


目指すは「絶対勝利」のみです!

◆大芦知央(おおあし・あきお)

1997(平9)年11月1日生まれのO型。178センチ、77キロ。大阪・関大北陽高出身。スポーツ科学部4年。専門種目は背泳ぎ。『DAYS』というサッカー漫画が好きだという大芦選手。やる気を引き起こしてくれる作品で、ある巻の帯の「99.99%報われないとしても努力しなくていい理由にはならない」という言葉は、心の支えになっているそうです。最後のインカレで、これまでの努力が報われると信じています!